いい術者とそのモラルを育てるには
最近世間を騒がせている、例のSNSに不謹慎な画像を上げちゃった件にちなんで今回はこのテーマ。
我々直形(研修医のあと直で形成外科入局)の医師に言わせれば、手術は長い下積みを経てやっとやらせてもらえるもの。
術前後の管理から、手術前のプレゼン、術後のオペレコ、血管神経の走行と血行動態、レイヤーの把握はマスト。
紙の上でオペが遂行できなければ、実際のオペは不可能。
うまく行かないときのプランを3パターンは事前に考えておく。
その過程で、患者さんの急変や死、家族への説明などを経験して命の尊さを知り、医療人としてのモラルを身に付けていく。
僕らは人を救うために医者になったんだろ。
件の女医は経歴からするに、直美といってもいいだろう。
こういったベースとなるトレーニングを受けなくても、SNSを使えば、あたかも凄腕のように見えてしまうのが美容医療の世界。
しかし、実際の技術、知識、モラルはほぼ素人と変わらないこともしばしば。
今回の件はそれが一部垣間見えただけで、実際にはこういう医師は他にも多数存在する。
ベースができてないのに、フレッシュキャダバーを使って勉強させたところで何か意味はあるのだろうか。
そして、商品を売るためなら、このような医師を持ち上げるフィラーなどの業者群も問題。
直美が全て悪とは思わないが、国は、本気で医療の技術とモラルの水準を維持しようと思うなら、開業や標榜、保険医登録の審査など何らかの形で制限をかけるべき。
放置してたら保険制度やお金があっても、様々な病気を治療できる医者がいなくなるよ。