四男、将来の夢を語る
幼稚園からの帰り道、自転車の後ろに乗せた四男が「四男な、大きくなったらBuilder(建築者)になりたいねん」と言ってきた。
ほぉ。Builderとな。
当時マインクラフトにはまっていたことや絵を描くことが好きだということを思うと、彼がそういった道に進みたいというのはなかなか悪くないのではないか。
「なんでまたBuilderなん?何を作りたいの?」と聞くと「四男、Builderになって、でぃーしゃんにおうちを作ってあげるねん」という答えが返ってきた。
予想もしない嬉しい答えに、私は自転車を立ちこぎしながら必死に涙をこらえた。
「そうか、そうか。四男はでぃーしゃんのためにおうちを建ててくれるんや。どんなおうちを建ててくれるんやろなー。楽しみやわー」と言う私に四男は「おうちの前にな、でぃーしゃんのstatueを作るわ!」と、とても興奮した様子で構想を語ってくれた。
英辞郎によるとStatueとは彫像・塑像 のことである。
彼はなぜ私の像なんぞを建設し、設置しようとしているのか。
二宮金次郎的な?狛犬的な?
色んな思いが一瞬にして駆け巡った結果、出かかっていた涙は引っ込み、私はサドルに尻を戻した。
「お、おぅ。スタチューか…それは楽しみやな…」と言う私の背中越しに
「どこに置こう。やっぱりお庭にしよかな。どんなんにしよかな」と四男のワクワクが伝わってくる。
肝心の家については一切言及されなかったが、彼の熱い想いは尊重したいし応援したい。
一方で自分のスタチューが立っている以外なんのヒントもない謎めいた家で毎日を過ごすことを考えると、少し複雑な気持ちになるのであった。