【ショートショート】くまさんとうさぎさん
とっっっても悔しい。
書き方から語彙まで、ついでに技術やアイデアまで、全部まだまだ沢山さらに向上させるぞー!おーー!と思いました。
いつか誰かの目に留まる素敵な作品が書けますように。
供養!!!!!
ふわふわ、もふもふ。
くまさんとうさぎさん。
ふわふわ、わくわく。
今日も楽しく暮らしてる。
ようこそ、メルヘン王国へ。
星の形をしたお花が一面に広がる幸運の丘、傍には水風船を垂らしたような実をつける果樹の道が続きます。赤い暑い太陽の下、緑生い茂る木々に囲まれたこの地に、沢山の個性豊かな動物たちが暮らしています。
小鳥さん「うさぎさ~ん!くまさ~ん!」
コツコツと、ドアを小突く音が聞こえた。
うさぎさん「はーい!今いきまーす!」「こんにちは~!」
小鳥さん「あれ、くまさんは?」
うさぎさん「なんだかまだ寝てるみたいで」
小鳥さん「ええ!もうお昼だよ~。仕方ないな~」「それじゃあ、みんな待ってるから!」
メルヘン王国の首都、パンツ・ユルユル。この街に住む動物たちはみんな仲良し。街の中心地にある大きな広場へ毎日のように集まっては、歌ったり踊ったり、とても楽しそう。おしゃれで黄色いリボンの耳飾りがよく似合う、ダンス大好きうさぎさん。汗っかきで首元に巻かれたタオルが手放せない、お喋り大好きくまさん。二人はお互いをうーちゃん・くーちゃんと呼び合う仲で、周りからは「すごくお似合い」「理想のパートナー」と憧れの眼差しを向けられる存在です。
チュン、チュン、チュチュチュン。いつものように小鳥さんが歌い出しました。心地よく馴染むさえずり。風に乗ってどこまでも届きそう。リズムに合わせて、ほら。ぴょん、ぴょん、ぴょぴょぴょん。白い踊り子の魔法にかかれば、あっという間に広場は笑顔に包まれます。見様見真似で一緒に踊ってくれるお友達。楽しくなって自由になっちゃってるお友達。通りがかった街外の動物たちも続々と集まってきました。手拍子と拍手が混ざり合った形のないリズムでさえ心が踊ります。ぴょん、ぴょん、ぴょぴょぴょん。
くまさん「やあ、みんな!こんにちは~!」
「あ、くまさんだ~」
「待ってたよ~」
うさぎさんに手招きされるがまま横につくと、向かい合って少し照れくさそうなくまさん。膝をバウンドさせて一緒にジャンプ、ジャンプ。地面からおよそ十センチの特大ジャンプです。
「はあ~、楽しかった!」とうさぎさん。
くまさん「楽しかったね!」
うさぎさん「楽しかったねじゃないよ~!来るのずっと待ってたんだから~!」と冗談っぽく怒ってみせます。
くまさん「いや~、寝すぎちゃった~」「こうして時代が変わった今も冬眠癖が抜けなくてさ~。若いみんなのパワーを分けてほしいよ」
うさぎさん「おじさんっ」
くまさん「そうそう、まさに」「って!違う違う!」
うさぎさん「出会った頃はもっとかっこよかったのに!」
くまさん「あ~、実は最近薄毛に悩んでて、ほらこのあたりが」と、ペコリ。頭頂部を指さした。
アハハ。ワハハ。
二人の会話をみんなが楽しんでいます。嬉しくなったくまさんは満足げに「ほんま、くまから毛深さ取ったら何も残りませんわ!」と少し浮ついてみせた。
そんな楽しい時間もあっという間、気づけばもう手が届きそうなところにまで太陽が降りてきていました。
小鳥さん「それじゃあそろそろ~」
「今日も楽しかった~」
「またね~」
くまさん「また明日!じゃあね~」
うさぎさん「みんなまたね~」
二人は仲良く並んで帰路につきました。
家に着き、ドアを閉めてすぐのことでした。
くまさん「なに怒ってるの」
うさぎさん「別に怒ってない」
くまさん「怒ってるじゃん」「別に怒ってないの言い方がもう怒ってる」
うさぎさん「しつこい!」
くまさん「しつこいじゃなくて」「なに?言って?言ってくれなきゃ分からないよ」
うさぎさん「うるさい!」
うさぎさんは泣きだしてしまいました。
うさぎさん「—— 私、最近みんなに笑われてる気がするの」「みんな私たちのこと、見せ物かなにかだと思ってるのよ」
くまさん「急に何を言い出すんだ。そんなことないよ」「笑われてるんじゃなくて、僕たちが笑わせてるんだ」「それに、もし笑われてるんだとしても、僕は構わない」「みんなが笑顔になってくれるなら、それでいいじゃない」
うさぎさん「ほら、やっぱり。くーちゃんは何も分かってない!」「毎日毎日似たようなことの繰り返し、もういやなの!」「小鳥さんの聞き飽きたさえずりも、もううんざり!」
くまさん「何だよそれ。だったらもうずっと家にいればいい」「ずっとひとりでいればいい!」「泣くなよ。めんどくさいな」
どんなときも優しく寄り添ってくれるくまさん、つい思ってもいない言葉がこぼれてしまいました。うさぎさんは少し驚いた顔をみせると、勢いよく家から飛び出していきました。「あ!ちが、、っ」反射的に前へ出ようとした体を見えない何かが邪魔をします。動き方を忘れてしまったそれは今までの自分が知るものではありませんでした。
音の無い時間が続く中、一つの深いため息がその終わりを告げました。くまさんは、何かを決めたかのようにドアを叩き開けると、街灯が照らす僅かな光の中へ駆け出していきました。
—— ガチャ。帰ってきたのはうさぎさん一人でした。
(あれ?くまさんがいない)
(こんな時間にどこへ —— 。もしかして私を探しに?)
(いやいや・・・そんなわけないよね)
(でも、もしかしたら)
視線の先には、背の低い一輪挿しの花瓶にそっと佇む流金花がありました。喧嘩をしたとき、決まっていつもお詫びの気持ちとしてお花を摘んできてくれるくまさん。うさぎさんは何かを想像して「ふふっ」と少し口元を緩ませました。
(帰ってきたら私から謝ろう)
♪:タータータタータータタータタータター
午後八時のニュース。まずは速報です。
「くまの着ぐるみ男が猟師に撃たれ死亡」
全身の血液が一瞬にして青色に変わったかのよう。それまで気にも留めていなかったテレビの音がやけに大きく聞こえた。
定年退職後、狩猟を生業としていた男性。「以前からこの森に熊が出没することは知っていた。清流近くで休んでいたところ、突然目の前に現れ、暗かったので本物の熊だと思った。判断を誤ってしまった」と述べている。
着ぐるみを被った男性が森にいた経緯は現在調査中。
ヘリコプターから中継される画面には、山笑う森が心模様を映し出すかのようにバサバサと音を立て揺れていた。
ゴトっ。
夜風で冷えた床に、うさぎさん、いや、—— うさぎの頭が転がった。
初めての公募(第21回坊っちゃん文学賞)の感想:
手を合わせて祈るタイミングどこ?!
発表までのどきどきわくわくタイムいつ?!
自身のリサーチ不足により、結果以外にも色々逃した(^^)けど、書くの楽しかったから100点