個人的レトロなビデオゲーム良作24日目「エメラルドドラゴン」
個人的レトロなビデオゲーム良作 Advent Calendar 2017 24日目。
最終的にスーパーファミコンでも移植されたが、今回はPCエンジン スーパーCD ROMROM DUO-R(以下PC-E)でリリースされた「エメラルドドラゴン」というゲームについて語りたい。
エメラルドドラゴンはPC版やMSX版などもあるが、コンシューマーハードで言えばPC-E版が一番有名ではないかと思う。
当時のRPGでは非常に珍しい音声ありの作品となっており、まだプレイステーションもセガサターンもPC-FXも出ていない時代だったので、ちゃんとした音声付きのゲームなんてほとんどなかったし、タイミング的に90年代アイドル声優ブームが到来した頃だったので、その恩恵もあやかって注目を集めることにも成功したんじゃないかと思う。スーパーファミコンにまで移植されたくらいだし。
物語としては、とあるドラゴンだけが住む島に流れ着いた人間の孤児(後のヒロインである)と幼い竜との出会いから別れがオープニングとしてあり、その後、人間の世界に戻ったヒロインからの助けを求める声に呼応した、かつての幼き竜が人間の姿となり、ともに旅立つ とう流れ。
割と王道を行くストーリーではあるが、魅力的な仲間、そしてなにより「喋る」というのは感情移入しやすく、サクサク進められる難易度ということもあってクリアまでスムーズに物語が楽しめた。
ちなみに、CD-ROMの性能を存分に生かしており、劇中に多数のアニメーションも挿入されて迫力もある。スーパーファミコン版では音声やアニメーションが再現できないことから結構端折られてるので、やはりPC-E版が一番というのもこの辺りが理由だったりする。
基本的には従来のRPGのシステムそのままだが、戦闘に関してはエンカウントバトルながら、オートで進行するものとなっており、基本的にコマンドレス(隊列や基本方針、途中でコマンド挿入はできる)で勝手に進めてくれる。
ボスともなると、途中で細かい指示を入れていかなければならないが、雑魚敵だと何もせずとも勝手に倒してくれるのは便利。ただ、ドラクエ的なバトル画面ではなく、自動で動くシミュレーションバトルみたいな感じで、1戦闘が地味に増長に感じられるところもあるかもしんない。
音声についても豪華声優陣が揃っており、今となっては大御所、ベテラン勢が「若手声優」枠として活躍しているところも見どころだ。こういうのを見ると、これからの時代はCD-ROMだよなーってなっちゃうんだよねぇ。
どうでもいい話ではあるが、このエメラルドドラゴン、小説家もされており、もうすでに絶盤となっているとは思うが、全く別の物語を読むことができる。
…のだが、全く別どころか基本ストーリーの原型すら留めていない上に物語としても粗悪な、なぜこんなものを書こうとした、なぜ編集部はこれを止めようとしなかった。なぜ出版社はこのまま出版してしまったのか と言わんばかりの本当にひどい作品で、僕の中では「人生で出会った最低のライトノベル」と思ってるのだけれども、作者も大概なんというかツッコミ所しかなかったので興味のある人は自分で調べてみてね。
また、このゲームというか、エメラルドドラゴンのCD-ROMにはもう一つの役割がある。
今の時代を生きる方なら当然の話ではあるのだが、CD-ROMゲーム機には、実はセーブ機能が無い。いや、語弊があった。あるにはあるんだけど、ファミコン時代を生きてる僕らにとって、ゲームのセーブデータは「ソフト」が持つものであり、それぞれ手持ちのゲームそのものにデータが保存される仕組みなわけだが、CD-ROMのゲーム機種の場合、CDにバックアップデータを入れることができないため、本体に保存することになる。
CD-ROM機であればまだいいが、それ以前の普通のPCエンジンの場合はHuカードという、いわゆるファミコンの接続端子をきれいに整えてむき出しにしたような薄いカードがソフトとなっており、当然これではセーブができないし、さらに本体内にすらバックアップが取れないため、専用のバックアップユニットを購入しなければならなかった。
PC-E スーパーCD ROMROMの場合は、流石に本体にバックアップ機能が付いていたが、保存領域が強烈に少ないため、幾つものゲームを入れておくということができず、さらにバックアップユニットの装着もできないため、保存数を増やしたいならHuカード版のバックアップソフト「天の声バンク(要するにメモリーカード)」をセットしておかなければならなかった。
それでも当時の保存技術では足りたいため、さらに大きなユニットとなる「メモリーベース」というものがあるのだが、これがまた厄介な仕様で、特定の対応ゲームしかセーブができないとか、セーブとロードしかできないため、コピーや消去もできないと言った、なんだそれ というものだったところ、エメラルドドラゴンのゲームCD(あとリンダキューブ)があれば、これを拡張してセーブデータの入れ替えやコピーなどもできるようになるというちょっとした方法があった。
と、いうわけで、メモリーベースを活用するためには都度エメラルドドラゴンのゲームCDが必要となるため、クリア後も手放すことができず、いまだに実家に置きっぱなしになっていたりするのだが、いろんな意味で時代を生きたゲームだったなぁって今更ながら思う。
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