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48ノ月の壁新聞 今日の短歌
48ノ月(ヨハノツキ)です。
普段は「銀河フェニックス物語」を連載しています。
困りましたね。きょうのお題。短歌、ですか……
今月はクリエイターフェスのお題をリンクさせた「銀河フェニックス物語」の<番外編>にチャレンジしてます。専用のマガジンを作ってみました。
悩ましいことに、銀河フェニックス物語の世界にお題の「短歌」は存在していないのですよね。
なので、きょうは48ノ月(ヨハノツキ)のひとりごとです。
ヨハノツキは「夜半の月」です。「夜半」は真夜中。
ここで一首。
千年を 超えて憧る物語 打つ手を照らす 夜半の月かな 48ノ月
*
さて、「夜半の月」は百人一首で紫式部が詠んでいます。
めぐり逢ひて 見しやそれともわかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな
「銀河フェニックス物語」は当初、紫式部が記した「源氏物語」の百万字を目標にしていました。百万字を達成したときの記事がこちら。ほぼ一年前ですね。
「源氏物語絵巻」から着想した「銀河フェニックス物語絵巻」も作ってます。
*
ところで、百人一首にはもう一首「夜半の月」が出てきます
心にも あらでうき世にながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな
作者は三条院です。
三条天皇が藤原道長に退位を迫られ、その譲位の際に詠んだ歌とされています。
目の病に侵されながら、美しい月を見て人生を詠む。
不本意ながらも生きていれば、いつか今宵の月を恋しく思うに違いない。物悲しさが漂っています。
一方の藤原道長と言えば、この世は自分のためにある、と月の歌を詠みました。
この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば
権力者の道長に見込まれて、紫式部は道長の娘彰子に仕え源氏物語を執筆。
月と和歌と世界がつながっていますね。
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銀河フェニックス物語では、月には将軍家の居宅『月の御屋敷』があり、重要な舞台となっています。
主人公レイターの後見人となっているトライムス将軍家は巨大な権力を持っていますが、地球を追い出された分家です。地球には、連邦評議会の統治院を世襲するトライムス本家があり、純正地球人の彼らからアーサーやジャック将軍は疎まれてます。
道長の時代と似たような権力争いは、いつの世にもあると……
「銀河フェニックス物語」のハイスクール編はほとんどが月の物語です。
アリオロン銀河との間に停戦協定が結ばれて、少年士官のアーサーが前線から『月の御屋敷』へ帰還。この御屋敷にレイターが居候することになり、お嬢様のフローラと仲睦まじく暮らすというお話。
紫式部が見上げてから千年。
人類が降り立って半世紀。
月は、今なお想像力を掻き立てる存在なのです。
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