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銀河フェニックス物語 <恋愛編>  第三話 大切なことの順番(2)

楽しみにしていたデートをレイターにキャンセルされたティリーは腹を立てていた。
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<恋愛編>第二話「麻薬王の摘発」まとめ読み版 

 楽しみに浮かれていたのがバカみたいだ。
 何のためにこんなに早くから準備してたのか、と言えばレイターのためだったんだから、このくらいの慰謝料をもらったって罰はあたらない。

 渋い顔のレイターに、かかった料金の支払いを彼の口座から引き落とす手続きをさせた。

 それでも気は晴れなかった。

「ごめんティリー、また誘って」
 週末の夜、友人のベルもチャムールもみんな予定が入っていた。

ベルとチャムール

 当日、突然に夕飯に誘える人、というのも結構限られている。
 折角のアンタレス料理。
 気を使わなくちゃいけないような人とは行きたくない。でも、一人で行くのも悲しい。

 その時、わたしの頭にとっておきの人物が浮かんだ。レイターのお金だし彼は適任だ。


「いやあ、ティリーさんから誘われるとは思わなかったなぁ」
 思った通り、と言っては失礼だけど、ロッキーさんは週末の夜に空いていた。

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 時間通りにお店へやってきた。

 ロッキーさんは本当にいい人だ。レイターとは大違い。
 ハイスクールの同級生だった、というレイターとこの人が、どうして友人なのか、今でも理解に苦しむ。

「レイターのおごりですから。好きなだけ食べてください」
「どうしたんだい? きょうはレイターとデートだったんだろ?」
「船のパーツが届いたんです」
 その一言でロッキーさんは大きくうなずいた。

「ははあ、そりゃあいつにとっちゃ大変だ。なんせ、テストの答案用紙に船の絵を描いて出しちゃうような奴だったんだから、仕方ないよ」

正面ゆる制服にやり

 レイターにとって船が大切なのは、わたしだってわかっている。でも、
「変なパーツなのに、何十万リルとかするんですよ」

 わたしは宇宙船メーカーに勤めている。
 船は好きだし、改造に理解はある。レイターが作業する姿を見るのも好きだ。けれど、あれはよくわからない部品だった。
 全然、レイターに必要ない。そんなもののために…。
 考えれば考えるほど、理不尽で腹が立ってきた。

「何もデートの日に取り付けなくてもいいと思いません? レイターは、わたしより船の方が大事なんです」

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 ため息が出る。

「いやあ、オレも昔、あいつに聞いたことあるよ。オレと船、どっちが大事なんだ? って、そしたらあいつ『船に決まってるだろ、銀河一の操縦士は船なしには生きていけねぇんだ』って即答してさぁ」

 ロッキーさんは明るく話すけれど、決してそれは、わたしにとって楽しい話じゃない。
 『銀河一の操縦士』にとっては、彼女も船以下、ということなのだ。

「まあ、そのおかげでティリーさんとこうしてご飯食べられるんだから、感謝しようかな」
 と言ってロッキーさんは笑った。

 確かに怒っていても仕方がない。楽しまなくちゃ損だ。気持ちを切り替えよう。

 銀河三大料理の三つめは「故郷の料理」とよく言われるけれど、ほんとにその通りだと思う。
 アンタレス料理は派手さはないのだけれど、発酵調味料をベースにした味付けは、どの星系の料理にも負けない旨さだ。

 久しぶりの故郷の料理はおいしいし、映像制作会社に勤めているロッキーさんは流行のドラマや芸能人の話とか詳しくて退屈しない。

 だけど、何かが違う。      (3)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ)
ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」

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