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銀河フェニックス物語【出会い編】 第三十三話 宇宙に花火が打ち上がる まとめ読み版②
・銀河フェニックス物語 総目次
・第三十三話まとめ読み版①
こんなところへ食事に来るのだったら、もっとちゃんとした格好をしてくればよかった。
気後れする。
エースは常連客のようだ。
「こちらでございます」
案内された個室の窓側に席が用意されていた。
人工太陽が消された今は、街の明かりが上下左右三百六十度きらめくムード満点のロケーション。
あれ? 椅子が二つしかない。
フェルナンドさんはすっと入口に立ったまま動かない。
も、もしや、食事というのはエースとわたしの二人きりということ?
エースの正面に座る。
整った『無敗の貴公子』の顔が近い。まるで、デートだ。
夢のようなシチュエーションなのに、喜びより緊張が先に来る。
これは仕事だ。
「ティリーはお酒は飲めるのかい?」
「は、はいアンタレスは十六で成人ですから」
エースがぷっと吹き出すように笑った。
「成人年齢を聞いた訳じゃないんだ。アルコールが好きかどうかを知りたかったんだけれど」
失敗した。
「少しなら好きです」
正直に答えた。たくさんは飲めないけれど、嫌いではない。
「じゃあ、乾杯しよう」
エースが選んだ食前酒のシャンパンはほんのり甘くておいしかった。おそらく、わたしがこれまでに飲んだことがないほど高級に違いない。
アルコールのせいか緊張感が溶けていく。
「ずっと会いたかったよ」
エースがわたしの目を見て微笑んだ。
息が止まって倒れそうだ。呼吸の仕方を思い出す。社交辞令だろうか。
わたしの大好きな無敗の貴公子が、こんな雰囲気のある場所で、あんな素敵な笑顔で。一体何が起きているのだろう。
現実感がない。
どっきりカメラ、といういたずらじゃないだろうか。エースのファンだと公言しているわたしをどこかから隠し撮りしているのだ。いや、そんなことを専務がする必要が無い。
「わたしは、専務のレースをとにかく楽しみに生きてます」
「それはうれしいな」
エースは言葉通りうれしそうに笑った。
テレビの中と変わらずかっこいい。
けれど、何だろう。この現実のエースを前に感じる、居心地の悪さ。
「ここの料理はおいしいから、遠慮なく食べてくれ」
料理が運ばれてきた。
メニューには、産地にこだわった極上の食材だという説明が、小さな文字でびっしり書かれていた。
前菜のサラダもおしゃれで凝った盛り付け。
美味な個性的な味のドレッシング。
「どう?」
「おいしいです」
「よかった。ここの店は僕が学生時代から懇意にしていてね。創作料理の発想に刺激を受けるんだ」
わたしの学生時代の外食と言えば、ハンバーガーショップか格安のファミリーレストランだった。
住む世界の違いを感じて安心する。
「ティリー、君と食事をしてみたかったんだ」
「光栄です」
このところエースは接待が続いていた。
わたしの前では取り繕う必要が無いから、食事をするのに気が楽なのだろう。
「君は、僕の弱いところもすべて知っている」
前回、専務の付き人を担当した時に、わたしはエースの心の弱さを知ることになった。
エースはS1プライムのレース前に、命が狙われていることを自作自演したのだ。
そのことは、レイターとわたししか知らない。
この人はいつも完璧を求められていて、それに応えるため大変なプレッシャーと戦っていた。
「そういう人がいてくれることが、僕には救いになっている」
「恐れ多いです」
ファンにはうれしすぎるお言葉だ。
でもダメ。これ以上近づいてはいけない。エースはわたしと同じ世界へ降りてきてはダメなのだ。
「先月のレースは大変でしたね」
わたしは話題を変えた。
「スタートでぶつけられてしまったからね」
「でも、挽回されたのは。流石です。接触の影響でブースターの調子がよくなかったんですよね」
「よくわかったね」
わたし一人で気づいたわけではない。
「レイターがそう言ってたんです」
レイターの名前を出した瞬間、エースの食事をとる手が止まった。
しまった。
「僕はね、レイターと勝負したいと思ってる」
「勝負・・・、ですか」
「銀河最速がどちらなのか、はっきりさせたいんだ」
エースの気持ちが伝わる。『無敗の貴公子』のプライド。
レイターがクロノスの社員だった五年前、エースとレイターは社内のコースでS1機を使いバトルをした。
結果、レイターの方が速かったけれど、飛行が危険だったとしてエースに勝利の判定が下った。
エースはレイターに負けたと思っている。
レイターはどう思っているのだろう。
レイターの言う『銀河一の操縦士』とは、抽象的でよくわからない。一方で、エースの言う『銀河最速』という言葉は単純明快だ。
「ティリーとレイターはどういう関係なの?」
レイターがわたしのことを「俺のティリーさん」と呼ぶせいで、わたしたちがつきあっていると社内で勘違いしている人はいる。
専務はそのことを知った上で聞いているのだろうか。
レイターとわたしの関係。
最近よく聞かれるけれど、答えは出ていない。
きょうの昼間、SSショーを回っている時は楽しかった。
あの時の二人を誰かに見られたら、つきあってると誤解されたかもしれない。
「営業部員とボディーガードです」
とりあえず客観的事実を述べる。
「でも、彼は君のことが好きなんだろ」
『ティリーさん、大好きだよ』と喧嘩の最中にウィンクしたレイターの顔が浮かんだ。
あれは本気だったのかどうなのか。
好きという言葉は範囲が広い。
その中で、エースが指す「好き」という言葉は絞り込んでいる。恋愛対象の「好き」。
レイターにとっての恋愛対象は、前の彼女のフローラさんだ。亡くなって何年も経つけれど、揺るぎない愛を感じる。
「よくわかりません。レースの観戦仲間というかそんな感じです」
そう答えてから、この部屋にフェルナンドさんがいることを思い出した。
フェルナンドさんは、わたしとレイターの微妙な関係のことをよく知っている。
「僕が、君とつきあいたいと言ったら?」
「え?」
エースの言っている意味がわからなかった。
今だってお食事に付き合っている。でも、多分、そういう意味じゃない。
あり得ない。『無敗の貴公子』がわたしに告白している。
「僕のこと嫌いですか?」
「と、とんでもないです」
「では好きですか?」
「はい、大好きです」
「じゃあ、話は簡単だ。今から君は僕の彼女だ」
「ええええっ。ちょ、ちょっと待ってください」
わたしはあわててエースの言葉をさえぎった。
「何か困ることがある? ほかに好きな人がいるのかい?」
困ること? 困ることは何も無い。エース一筋だ。
でも、反射的に抵抗している。心の防護壁が。
「あ、あの時間を下さい。突然のことで何とお答えしていいか・・・」
「わかった。いい返事を待ってるよ」
あこがれのエース・ギリアムが、わたしの推しが、現実にわたしに交際を申し込んでいる。
こんなことがあるだろうか?
わたしは夢をみているのだろうか?
学生時代の友だちに聞かせたい。「エースの会社に入ったからってエースに会える訳じゃないでしょ」と、散々笑われた。
そのエースが今、目の前でわたしに告白している。
だけど、わたしは「はい」と即答できなかった。
これは、あってはいけない。神を穢すような行為だ。
それだけじゃない。
昨晩のレイターが頭に浮かぶ。
あんな喧嘩の最中に『大好きだ』なんて言うんじゃなく、レイターがエースのようにきちんと告白してくれたら・・・。
そうしたら、わたしはどう答えるのだろう。
*
翌日、わたしは昨夜のことをとりあえず心の奥に仕舞い込んだ。
とにかく仕事モードに徹しなくては。
きょうは大きな仕事。『無敗の貴公子』のサイン会だ。
パビリオンには開場と同時に長蛇の列ができた。八割方はわたしと同じ年代の若い女性。
わたしと同じように写真集を三冊購入する三冊券を持っている人が多い。エースと握手して写真を撮る。
エースのためなら何時間でも並んで待てる自信がある。
レーシングスーツに身を包んだエースは、どこから見てもかっこよかった。
エースは自分の商品価値をよくわかっている。
写真集にはアイドル顔負けなショットが入っている。有名ブランドの服をかっこよく着こなし、ルックスの良さで女性ファンの心を魅了する。業界のすそ野拡大のためだ。
そして、圧倒的速さと強さという実力で男性客もつかんでいる。
ずっと『無敗の貴公子』に憧れていた。
過去形じゃない。今もだ。
きのう、握手してもらえばよかった。
いや、わたしはおつき合いを申し込まれたのだ、握手どころの話ではない。
「わたし、エースに告白されました!」と今ここで叫んだら、並んでいるファンにどんな反応をされるだろうか。怖い妄想がわきあがる。
エースに告られたいファンはたくさんいる。わたしだって、そんな一人だった。でも、それは夢を見ていたからで、憧れのエースと生身のエースは別物だ。
じゃあ、エースの申し出をわたしから断る?
いやいやいや。恐れ多い。エースを振るなんてこと、できるわけがない。
しかも、手放したくないと思っている自分がいる。だって、エースのこと大好きなのだ。もったいなさすぎる。
一体、どうしていいのか、どうしたらいいのか、どうしたいのか、自分が自分でわからない。
*
サイン会は大成功だった。
夜、サイン会の打ち上げが会場近くのレストランを貸切って行われた。
出版社の人や、取引先の人たちが立食パーティに訪れた。
「ご尽力ありがとうございます。また、よろしくお願いいたします」
エースは一人ひとりにあいさつをして歩いている。
なぜか、その場にだらけた格好の厄病神が来ていた。
出席者名簿に名前はなかったのに。
食事が並んだテーブルの前に陣取って、ひたすら食べている。
「どうしてレイターがここにいるのよ?」
驚いてわたしは聞いた。
「あん? タダで飯が食えるって呼ばれたから」
「一体、誰が厄病神のあなたを呼んだの?」
「僕さ」
後ろから声がした。振り向くとエースが立っていた。
「レイター、隣の個室へ行かないか? ティリーも一緒に」
豪華な個室のソファーにレイターとエースが向かい合って座った。
「ティリー、僕の隣に座ったら」
「は、はい。すみません」
エースに勧められ、わたしは一人分距離をあけて腰かけた。
扉の前にフェルナンドさんが立って、こちらの様子を静かにうかがっている。
このシチュエーションには不安しかない。
「レイター、僕はきのう正式にティリー君に彼女になって欲しいと申し込んだ」
エースはレイターにいきなり直球を投げた。
「あん?」
レイターがフライドチキンをくわえたままわたしを見た。
どういう顔をしていいのかわからず、目をそらす。
エースは時々こうやって突然ボールをぶつけてくる。
受ける側のことはあまり考えていない。多分、それで支障のない人生を送ってきている。
レイターは一体どういう反応をするのだろう?
「ふ~ん、で?」
レイターはフライドチキンを頬張りながら、普段と変わらない締まりのない顔でエースと向かい合っている。
「ティリーからの返事はまだない。できたら、ここではっきり返事を聞かせて欲しいと思っている」
そう言ってエースはわたしの方を見た。
「え?」
こ、困る。どうしよう。今度はわたしにいきなり球を投げてきた。
わたしの中で結論が出ていない。
何か答えなくてはと思うけれど、頭が真っ白で言葉にできない。
気まずい沈黙。
「ティリーさんが困ってるじゃねぇかよ」
レイターが助け舟を出してくれた。
「君もティリーのことが好きなんだろ?」
エースがレイターに聞いた。
「だったら?」
「レースのバトルで決めるというのはどうだい。負けた方がティリーから手を引く」
突然の提案だった。わたしは心臓が止まりそうになった。
『無敗の貴公子』と『銀河一の操縦士』
二人のレースを観てみたいと思っていた。
でも、こんな形は想定していなかった。
レイターが本当にわたしのことが好きなら受けるに違いない。彼は自分がエースに負けるなんて微塵も思っていないのだ。
勝敗がついたら、一体どうなってしまうのだろう。
「フン」
レイターが鼻で笑った。
「ばっかばかしい。そんなことでバトルやってられっかよ」
レイターはチキンの骨をゴミ箱へ投げ捨てながら答えた。まったく気のない返事だった。
わたしは、ほっとするとともに気が抜けた。
ばかばかしい?
この間「ティリーさん、大好きだよ」と言ったのは何だったのか。
「そんなことでバトルやってられるか」と言ったレイターの言葉が頭の中で繰り返される。
そんなこと・・・どうせそんなこと。わたしのことなんてバトル以下。
「用件はそれだけかい? 飯が冷めちまうから、俺は隣の部屋へ戻るぜ」
レイターは打ち上げ会場へと戻っていった。
* *
サイン会の打ち上げが終わった。
フェルナンドは、、エースをホテルに、ティリーをプレジデント号に送り届けると、その足で、警備の連絡会議へ向かった。
思わぬ展開になってしまった。
帰り道、ティリーさんは一言も話さなかった。混乱しているのが手に取るようにわかる。
人生は何が起こるかわからない。だから、レイターさんは、ティリーさんと、つきあってしまえばよかったのに。
銀総の会議室には、ネクタイを締めたレイターさんがすでに座っていた。
レイターさんは不機嫌そうな顔をして、僕とは目を合わせようともしない。
ティリーさんにエース専務が交際を申し込んだとあっては、心中穏やかではないだろう。僕は隣の席に座った。
クリスさんが大きな声で報告を始める。
「宇宙航空法の改正反対派の動きが活発になっている。会場前のビラ配り、署名活動に目を光らせつつも、トラブルにはならないよう対処して欲しい」
SSショーの大会事務局は、会場入り口付近での政治活動をやめてほしいと申し入れているが、参加している人権派の弁護士が猛攻に反対し、継続されている。
SSショーを訪れる宇宙船が好きな人たちから、宙航法改正案に反対する署名が随分集まっているようだ。
「続いて爆破予告について、銀河警察の捜査状況を伝える。動きなしだ」
動きなし。今日も投稿者が特定されなかったということか。嫌な感じだ。
情報ネットの投稿は警察が捜査すれば、通常はすぐに書き込んだ人物が特定される。ところが、今回の書き込みは多数の星系を通る複雑なルートを経てアップされていて、いまだ判明していない。
考えなく投稿したいたずらではない。周到な準備をした上の書き込み、というのが警察の見立てだ。
システムに精通した者の犯行なのだろう。
宙航法反対派と関係があるのかどうなのか、目的がはっきりしない。
「引き続き不審物のチェックは厳重にお願いする。明日もよろしく!解散!」
銀総のクリスさんが会議の終了を宣言した。
*
帰りの夜道でレイターさんを捕まえた。
「レイターさん」
「あんだよ」
虫の居所が悪そうだが、僕は聞きたかったことを正直に聞いた。
「あなた、どうしてエース専務とのバトル受けなかったんですか?」
「あん? 俺が勝っちまうからに決まってるだろが」
「そうしたら専務は手を引くんですよ。その方がいいじゃないですか」
「エースが手を引こうが引くまいが関係ねぇよ、決めるのはティリーさんだ」
僕は感心した。
この人は、本気でティリーさんのことが好きなのだ。
「それにしてもエースの野郎! バトルで決めるなんてティリーさんに対して失礼じゃねぇか。殴ってやれば良かった」
「殴らないでくださいよ。僕が警護してるんですから」
レイターさんは僕をじろりとにらんだ。
「じゃあ、おまえでいい、殴らせろ!」
「や、やめてくださいっ」
荒れてるなあ。
この人はティリーさんの前では恐ろしくポーカーフェイスなのに。
本当に殴りかかってきた。
しょうがないから、おつきあいした。
相変わらず、いい突きと蹴りを繰り出してくる。
でも、真剣じゃない。僕がよけられる程度の攻撃だ。
僕は突きを受け流しながら聞いた。
「レイターさん、あなたティリーさんのために小型船を買ったんですって」
「あん? 誰がそんなこと言ってんだよ」
と言いながら回し蹴りだ。
「ティリーさんから聞きましたよ。購入する船を操縦させられたと。もっとも彼女は、自分のための船だとは思っていないようでしたけど」
「俺もティリーさんの船だなんて言ってねぇよ」
おっと危ない。正拳の突き。
ギリギリかわす。
「ティリーさんのために、今回の警護報酬もう全部使っちゃったんですね」
「俺の勝手だろ!」
危なかった。今の蹴りは真剣だった。
お金にうるさいレイターさんが、ティリーさんのために一千万の小型船を即金で購入する。
相手には全く届いていない、歪んだ愛の表現だ。
レイターさんが攻撃を止めた。
息も切らさずポケットから何かを取り出した。
「こいつをティリーさんに渡してくれ。あんたが一緒に行ってもいいし」
「何ですか?」
手渡されたのは、民間大手宇宙鉄道「宇鉄」の特別企画『ファッションイメージング』のチケットだった。
SSショーで今一番人気のイベントだ。列車の客席数に限りがあり、チケットが取れないと聞いている。
しかも、VIP用のプラチナペア券だった。
「レイターさん、あなたがティリーさんと一緒に行けばいいじゃないですか?」
「バカ野郎! そんな物で釣るような真似ができるかよ」
この人はひねくれてるのか、純情なのかさっぱりわからない。
「あなたはエース専務を見習って、もっと素直になったほうがいいですよ」
僕は忠告した。
「うるさい! 俺からだ、って絶対ティリーさんに言うなよ。わかってるだろうな。言ったら殺すぞ」
最後は脅しだ。困った人だ。
* *
どうしてこんなに気持ちが沈んでいるのだろう。
ティリーはSSショーの関係者通路を歩きながら考えていた。
昨夜の変なやりとりのせいだ。
「ばっかばかしい。そんなことでバトルやってられっかよ」というレイター声が頭の中でリフレインする。
レイターにとって、わたしの存在がバトル以下だ、ということがよくわかった。
これですっきりしてよかった。消去法だ。
わたしが悩まなくてはいけないのは、推しのエースとつき合うべきか否か。
ボールはわたしにある。
「やあ、ティリーさん」
前から歩いてきた銀総のクリスさんに呼び止められた。
「頼みがあるんだよ。こいつを、レイターに手渡しして欲しいんだ」
一枚の小さなディスクだった。
「お宅の新型船発表会の警護計画が入ってる。最新版だ。発表会にまた、あの交通大臣を呼んでるんで警備のランクを上げたんだ。改正反対派が勢いづいているから、レイターに警護に入ってもらうよう頼んでいるんだよね」
きのうの今日で、レイターと会うのは避けたい。
クリスさんが自分で行けばいいのに、と思ったことが顔に出たようだ。
「フェニックス号にいるはずなんだが、俺が行くとあいつ居留守を使うんだよ。ティリーさん、あなたなら大丈夫だから」
「そうとも限りませんよ」
クリスさんは、わたしとレイターとエースの間の微妙な状況を知らない。かと言って説明もできない。
仕方がない、これも新型船発表会を成功させるための仕事だ。わたしはフェニックス号へと向かった。
* *
フェニックス号を背の高い女性が訪れた。
レイターと直接顔を合わせるのは六年ぶりだ。
「久しぶりね。あなた、あたしより随分と背が高くなった」
そこにいたのは、ヘレン・ベルべロッタ。
元ギャラクシーフェニックスのナンバー2。『御台所』という呼び名で知られるプロの飛ばし屋だ。
「ようこそフェニックス号へ。六年ぶりだっけ、あんたもさらにいい女になったじゃん」
レイターが招き入れる。
「随分変わっているけれど、いい船だわ」
「銀河一の操縦士の船さ」
「あなたはちゃんと夢を形にしたのね」
レイターは「あんたは?」と聞こうとして聞くのを止めた。
「アレグロから話は聞いたわ。ギャラクシー連合会の総会に御台所として顔を出すという申し出。受けてもいいけど、一つ条件があるの」
「条件?」
「昔のようにキスして」
ヘレンはレイターの頬に手を添えた。
* *
「レイターいますか?」
ティリーはフェニックス号の入り口でマザーにたずねた。
「・・・いますが」
マザーの返事がとまどっているように聞こえた。
「銀総のクリスさんからのお届け物、持ってきました」
「来客中ですけれど、どうぞ」
フェニックス号のドアが開いた。
わたしはいつものように居間へと向かった。
来客中か。
逆に助かる。ディスクを渡したらすぐに帰ろう。
レイターを呼ぼうと、ドアを少しだけ開けた。
えっ? 思わず息が止まりそうだった。
レイターがキスをしていた。
あいさつにしては随分と濃厚な・・・。
「あん?」
レイターがわたしに気がつき、背の高い女性の体からゆっくりと離れた。
来客、って女性だったのね。
しかも、スタイル抜群でとびっきりの美人。モデルさんだろうか、一般人とはオーラが違う。見てはいけないものを見てしまった気分。
心臓がバクバク音をたてている。
落ち着こう。レイターは女たらしで、キスは挨拶代わりだって知っている。
「お客さま?」
彼女がレイターに声をかける。
レイターはあわてる様子もなく、普通の顔をしてわたしの前に来た。
「ティリーさん。どうしたんでい?」
「こ、これ、クリスさんから、警護計画の最新版が入ってるから見ておいて欲しいって」
うろたえる必要のないわたしの方が動揺している。
レイターにディスクを手渡す。
彼女の綺麗な琥珀色の瞳がわたしをじっと見ている。何だか値踏みをされているようで気分がよくない。
彼女は近づいてくると、レイターの肩に自分の肘を乗せて聞いた。
「彼女?」
その様子が自然で親しげだった。
レイターは何も答えなかった。仕方がないからわたしが自分で返した。
「違います」
「あ、そう」
別にこの人が誰でも構わないけれど、聞かずにいられなかった。
「あの、あなたは?」
「あたし?」
自分を指さす仕草がチャーミングだ。
「フフフ、昔の女」
「ヘレン、ティリーさんが誤解するだろ」
レイターが少しだけ困った顔をした。
彼女はヘレンさんというのね。これまた呼び方が随分と親しい。
「いいじゃない、半分はほんとのことだもの」
意味がよくわからない。
いつものフェニックス号と雰囲気が違う。わたしがいてはいけない空間のような気がした。
「渡す物はちゃんと渡しましたから。発表会の警護よろしくお願いします」
それだけ言うと、わたしは逃げるように船を後にした。
*
レイターと彼女のキス。
思い出したくないのに頭から離れない。
『昔の女』ってどういう意味だろう。
レイターは、亡くなった前の彼女のフローラさんを今も愛している。だから、特定の彼女は作らない主義だと公言している。
一方で女好きだから、数々の女性と一夜限りのおつきあいをしている。そういう中の一人だろうか・・・。
いや、ヘレンさんは不特定多数の女性とは明らかに違う。
おそらくレイターにとって特定の人だ。女の直感。
二人はとてもお似合いだった。大人の男と女。
わたしだってわかっている。レイターからみたらわたしはガキだってこと。
レイターがエースとのバトルを受けないはずだ。
『ティリーさん、大好きだよ』あの笑顔だって、やっぱり本気じゃなかったんだ。
わたしはレイターから挨拶のキスすらされたことはないのだ。
エースの申し出に悩んでいる自分がバカみたい。
やだ、どうして涙が出てくるんだろ。
* *
フェニックス号の居間でレイターは御台所に言った。
「言っとくがヘレン、俺の恋路の邪魔をするな」
「あら、あなたが彼女に惚れてるの?」
「悪いか」
ヘレンは目を丸くした。
「妬けるわね。じゃあ、さっきは最悪の展開じゃないの?」
「そうだよな」
レイターはソファーに身体を投げ出し乱暴に座った。
ヘレンはレイターの頭に手を置くと、子どもをあやすように言った。
「そういう時は、もう少し慌てるものよ。あなた、変わらないわね」
「あん?」
「事態が悪ければ悪いほど落ち着いてる」
「そういう性分なんだ」
「特定の彼女は作らない主義じゃなかったの?」
「そうさ、つき合う気はねぇんだ」
「どういうこと?」
「つき合う気はねぇが、ほかの男に渡したくもねぇんだ」
「相変わらず、将軍様はわがままなのね」
ヘレンは昔の記憶を思い返し、肩をすくめた。
ギャラクシーフェニックスの解散時もそうだった。自分の免許が欲しい。それだけのために総長だったレイターは、敵対していた警察の提案に一瞬で乗り、組織の解散を決めた。
* *
ヘレンが帰ったあと、レイターはメインコンピューターのマザーと向き合った。
「おふくろさん、あんた、何でティリーさんを船に入れた?」
「基本的にティリーさんには入船許可がでていますが・・・」
「来客中だっただろが!」
レイターが声を荒げた。
「・・・・・・」
マザーは答えない。
「ったく、あんた、時々わざと意地悪するだろ」
レイターはこのホストコンピューターに絶対の信頼を置いているが、時にレイターの意思とは違う判断をする。
その基準があいまいで不可解だ。
「あんた、俺とティリーさんの間がうまくいかねぇほうがいいのかよ?」
「いいえ」
マザーが即答した。
「じゃあ、どうしてあのタイミングでティリーさんを入れるんだよ」
「・・・・・・」
「おい、答えろ! おい」
マザーは黙り込んだまま反応しなくなった。
ったく、今、めんどくさいことになってんだぜ。
俺とティリーさんの均衡を、エースの野郎がぶち壊しやがって。
しかも、そこにヘレンかよ。
くっそー。
俺は思いっきり拳を壁に叩きつけた。
* *
バーーン。
バン。バン。
大きな音が聞こえた。
クロノスのパビリオンの前にいたティリーは、音がする方を振り向いた。打ち上げ花火が空に輝いていた。
きれいだ。
こんな予定はどこにも載っていなかった。サプライズイベントだろうか。
衛星内で花火を上げるのは、安全管理上難しいと聞いたことがある。
花火ってどうしてこんなに感情を揺らすのだろう。
その瞬間しか存在せず、何も残らない。だから、必死に記憶の中に形をとどめようとしているのだろうか。
何色もの光が飛び散っていく様は、砕け散った心のようだ。
バラバラになって消えていく。
息をするのが苦しい。
はかない光の粒が、ぼやけて見える。また、涙があふれてきた。
* *
街を取り囲む人工林を抜けた先の広場で、ギャラクシー連合会の総会が始まった。
連合会が拠点としている倉庫を取り囲むようにして、小型船がぎっしり駐機している。銀河中から飛ばし屋たちが集まっていた。
バーーン。
バン。バン。
見上げる花火の真ん中を通って、真っ赤な小型宇宙船が降りてきた。花火が祝勝パレードの照明のように船を照らす。
倉庫の前に小型船が到着した。
集まった人々の視線が一斉に集まる。
すでに、きょう何が行われるか、銀河中の飛ばし屋に伝令が飛んでいた。
当時を知る者も知らない者も、その時を待っていた。
花火の打ち上げが止まり、静まり返る。
赤い小型船にスポットライトが当たる。
バラの模様が描かれた深紅のレーシングスーツにぴっちりと身を包んだ女性が姿を見せた。
軽やかに小型船の屋根に飛び乗る。
凛と伸びた美しいスタイルは六年前と変わらない。今や伝説となっている裏将軍のパートナー。
「わたしは御台所、裏将軍が復活した」
よく通る声でヘレンが宣言した。
わあぁぁぁぁ!!!。
わき起こる歓声。
六年前も公式声明を出すのは、妻たる『御台所』の仕事だった。
バンッツ。
バ、バンッ。
花火がさらに激しく打ち上がった。
「裏将軍勅令を発する。一般道での暴走行為に対しては、裏将軍の名の下に制裁を課す!」
しんと静まり返る。
裏将軍勅令。
死ぬより怖い制裁の恐怖は、飛ばし屋のグループ内で代々引き継がれていた。
「裏将軍復活万歳! 宇宙航空法改正反対!」
興奮した飛ばし屋たちの声と共に、再度、花火が打ちあがり空に響いた。
* *
フェニックス号の通信機がけたたましく鳴った。
クリスからの通信か。いつもなら出ねぇが、きょうは出てやるか。
レイターはモニターをオンにした。
「レイター、お、おまえ船にいるのか?」
クリスの声があわてている。
「は、花火が上がった」
「俺もフェニックス号から見てるぜ、随分きれいじゃねぇか」
「お、おまえだったのか?」
「あん?」
「おまえが『打ち上げ花火でSSショーを吹き飛ばす』って書き込んだ犯人か?」
「ははは、それで一本もらったら詐欺だな」
レイターは愉快そうに笑った。
「笑ってる場合じゃない。この花火は『裏将軍』の復活祭だ」
「へぇ」
「とぼけるな。ヘレンが、いや御台が表に出て大変なことになっとる。裏将軍はそこに、フェニックス号に隠れてるってわけか」
「裏将軍はチビなんだろ? 残念だな、俺じゃねぇよ」
「相変わらず屁理屈を言う奴だな。銀河警察は大騒ぎだぞ」
「ま、俺も、あんたに連絡しようと思ってたんだ。警察の交通部の奴には『働くな』、情報調査部の奴には『働け』って言っといてくれ」
「どういう意味だ?」
「ギャラクシー連合会は一般道で暴走する船には、死ぬより怖い制裁を課すそうだ。だから、交通部は昔のように摘発しねぇほうが楽だ」
「まさか、裏将軍勅令が出たのか? 六年前みたいに・・・」
クリスが目を丸くし言葉を失くした。
「そしてもう一つ。花火が勝手に派手に打ち上がっちまったから、爆破予告した本物の犯人さんは今ごろ慌ててるぜ。次のご案内を情報ネットに乗せるはずだ。ルート構築してる暇がねぇから、前回と同じ道を通るんじゃねぇの。調査部は張り込んで逆探知かけろよ」
「お前、爆弾犯をあぶりだすために連合会を使って仕掛けたということか」
「待ってるだけじゃつまんねぇだろ。一千万リル、もう使っちまったんだけどさぁ、うまくいったら成功報酬を追加でもらえねぇかな?」
* *
警備担当者が急遽集められた銀総の会議室には緊張感が漂っていた。
フェルナンドはレイターの隣に座って、正面に立つクリスを見た。
動きがあったからか、クリスさんの大きな声がいつもよりさらに大きい。
「情報ネット上に爆破予告犯の新たな書き込みが確認された。これだ」
文字が映し出されたスクリーンをバンっと手のひらで叩く。
『SSショーが花火で吹き飛ぶのはこれからだ。匿名デジタル通貨で一億リルを用意しろ』
「前回の書き込みと投稿ルートが同じで、同一人物とみられる。ここルト星系から発出されたところまで突き止めた。要求が金ということだから、再度、接触してくる可能性がある」
僕はこっそりと腕に着けた通信機を操作して、隣に座るレイターさんに文字メッセージを送った。
『レイターさんが、裏将軍復活祭の花火で犯人を誘い出したんですね?』
レイターさんの腕の通信機が小さく光り反応した。
「・・・・・・」
レイターさんは全くの無反応で無表情。完全に僕を無視している。
レイターさんには聞いておきたいことがある。
『裏将軍は御台所と寄りを戻したんですか?』
「・・・・・・」
これも無視か。
『このままだと、ティリーさんは側室ということに?』
レイターさんが僕を怖い顔でにらんだ。
「あんた、殺されてぇのか」
レイターさんはティリーさんのことが好きだ。
そして、僕は知っている。
ティリーさんもレイターさんが好きで、二人は両思いだということを。
前に彼女は僕に本音を語った。
『もし、レイターがただの宇宙船乗りだったら』と。でも仮定は仮定でしかなく、レイターさんはただの宇宙船乗りじゃない。
将軍家直轄の隠密班に所属する特命諜報部員。そして、暗殺協定の対象者。
ティリーさんの知らない秘密をたくさん抱えている。彼女はそれを敏感に感じとっていて前に進めないでいる。
とりあえず、レイターさんから預かったこの『ファッションイメージング』のチケットをティリーさんに渡して、逆にティリーさんからレイターさんを誘うようにし向けてみよう。
*
クロノスのパビリオンの地下は、臨時支社になっている。
エース専務が役員部屋で本社との定例通信会議に入った。外で待機しているティリーさんに僕は近づいた。
「ティリーさん。これ、差し上げます」
レイターさんが用意したチケットをティリーさんに渡す。
「こ、これは、ファッションイメージングのチケットじゃないですか?」
喜んでいるのか驚いているのか、ティリーさんは大きな目をしばたかせた。
「このチケット、全然手に入らないんですよ。いいんですか? おいくらですか?」
「僕もただで入手したので、どうぞ使ってください」
「フェルナンドさん、すごいですね。ありがとうございます」
チケットを胸に抱えてうれしそうだ。かわいい。こちらまで思わず笑顔になる。
あ~あ、レイターさんはこの顔が見たかったんだろうな。
「それで・・・」
レイターさんを誘ってください、と言おうとした時だった。
「きょうの会議はお流れになった」
突然ドアが開き、役員部屋からエース専務が出てきた。僕は習慣で姿勢を正す。
「ティリー、どうしたんだい? 楽しそうだね」
ティリーさんが手にしているチケットに、専務が目をやる。
「これはファッションイメージングのチケットじゃないか。フェルナンド、君がこれを?」
「はい」
本当は違うが、そう答えるしかない。
「しかも、プラチナペア券だ。よく入手できたね。流石だよ。僕もティリーが行きたがっていると聞いて裏から手を回していたのだけれど、返答待ちだったんだ。いやあ、フェルナンドありがとう」
まずい。嫌な予感がした。
「さっそくだがティリー、新型船の発表会が終わったあとに時間をつくってくれないか? 一緒に行こう」
エース専務はすっかり自分が行く気になっている。
「はい。わかりました」
ティリーさんも喜んでいる。
とてもじゃないが、レイターさんの名前を出せる雰囲気じゃない。
あーあ、作戦失敗だ。僕は成り行きに任せることにした。
* *
ギャラクシー連合会の総長アレグロが、フェニックス号を訪れた。
「いい船だな」
「だろ。銀河一の操縦士、自慢の船なんだ」
気持ちのいいレイターの笑顔を見ながら、アレグロは昔を思い出した。裏将軍の頃のレイターは、銀河一の操縦士になることしか考えていなかったな。
船内を見渡す。
随分と変わった船だ。既製品でも注文品でもない。
自作に近い。こいつは風の設計士団の老師が跡継ぎにしたがったほど、船の設計もできるからな。
座り心地のいいソファーに座ると、コンピューターが淹れたブラックコーヒーが出てきた。
いい香りだ。砂糖がないかちらりと机を見る。
まあいい。なければなしでも飲める。
口にして俺は驚いた。甘い。俺好みの甘さ。客に合わせてプログラミングされているのか。
俺は本題に入った。
「裏将軍復活祭の礼に来た。御台所を動かしてくれて感謝する」
「ヘレンの集客力はすげぇな。カバのクリスが大慌てで俺に連絡入れてきたぜ。俺、今、クリスの下で働いてんだ」
懐かしい名前だ。大柄な警察官だったクリスさん。
「クリスさんは銀総に転職したんだったな。お元気そうでなによりだ」
*
六年前、ギャラクシーフェニックスを解散すれば、限定解除免許を与えると警察から条件を持ち出された時、総長のレイターは躊躇もせず解散を選択した。
飛ばし屋グループを統一し、これから活動を本格化させるという時だった。
その条件を伝えに来たのが、当時、警察官だったクリスさんだ。
レイターが子どもの頃からの知り合いだという。
クリスさんは警備部所属だったが、交通部から頼まれて俺たちの元を訪れた。レイターは銀河警察を嫌っていたが、クリスさんが出向いたということで顔を合わせた。
裏将軍を辞める、というレイターの決断を、俺とヘレンは引き留めることができなかった。
クリスさん訪問の背後に、レイターの後見人である将軍家の意向があったことは後から聞いた。
俺は裏将軍引退のシナリオをクリスさんと一緒に練った。だが、物事は思うように進まず、彼には随分と迷惑をかけた。
俺は聞いてみた。
「裏将軍の復活をクリスさんは怒ってるか?」
「う~ん。カバさん、驚いてたけど、もう警察官じゃねぇしな」
あれから、変わってないのは俺だけか。
こいつは変わったな。
あの頃は、割れたガラスみたいだった。不用意に触ればこちらもケガをする。
裏将軍による「死ぬより怖い制裁」は、警察の摘発より恐れられていた。
今は、鞘に入ったナイフのようだ。致命傷を負わせる凄みを、きちんと制御している。
俺はレイターに封筒パックを手渡した。
「裏将軍復活を受けて、連合会にこんなものが届いた」
宛先が『裏将軍様』、送り主が『宇宙航空法に反対する良識人』となっている。
「あん?」
中に入っていた情報ディスクをその場で再生する。
「こいつは面白れぇ」
映像を見ながらレイターが笑った。
「真偽は確認していない」
「ちょっと待て、調べてみる」
レイターが機密ネットの検索をかけた。
「ふふふ、アレグロ、こいつは本物だぜ。大臣の警備計画と合致してる」
ボディガード協会の3Aは情報網も広いな。
「どうする?」
「目には目を、監視衛星には監視カメラをってな。こいつはもらっとくぜ」
「構わんさ、お前宛に届いたんだ」
「楽しいこと思いついちゃったぜ。カバのクリスに感謝だ」
鞘から抜いたナイフの刃が、キラリと光ったように見えた。その鋭さに俺はおののき興奮した。 まとめ読み版③へ続く
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