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銀河フェニックス物語 <恋愛編> ジョーカーは切られた(1)
休日にレイターと火星へやってきた。
二人でランチを食べた後、レイターは「新しいレーシングゲームを試してくる」と言って街のゲームセンターへ出かけて行った。
わたしはあの騒々しさが苦手だ。
フェニックス号に戻り、のんびりと読みかけの本を読んでいた。
一時間もしないうちに、レイターが真っ青な顔で船へ帰ってきた。
「どうしたの? 顔色が悪いわよ」
「気持ち悪りぃ。ゲーセンで突然めまいがして……その後どうやって帰ってきたか覚えてねぇ」
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「ゲームセンターと言えば、ニュースでひどい事件を伝えてるわよ」
さっきからアナウンサーが臨時ニュースを伝えていた。二人で居間のモニターを見つめる。
「ゲームセンター『ジョーカー』で、何者かによってまかれた猛毒のために客や店員ら七人が心肺停止状態となっています。今、入ってきた情報によりますと、事件直後、この店から飛び出した若い男が目撃されており、警察では事件と関連があるものとみて、この男の行方を追っています。男は金髪で背が高く、白のシャツに紺色のズボンをはいていたということです」
「おいっ、これ、俺のことじゃねぇかよ」
「えっ」
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「さっきまで、ここでゲームやってたんだ。新型のレース機が入ってたのはこのジョーカーって店だ」
きょうはプライベートだというのに、『厄病神』が発動した。
驚いていると、ピンポーン。船の呼び鈴がなった
* *
「警察です。レイター・フェニックスさんはおみえですか?」
僕が初めてレイターに会ったのは、ジョーカー事件でフェニックス号へ任意の聴取に出かけた時だった。
警察手帳を見せると、彼は明らかに嫌そうな顔をした。
「私は火星七番署刑事課のマーシー・ガーランドと言います。恐れ入りますが署まで御同行願いたい」
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新米警察官の僕と同い年、と言う彼は確かに防犯カメラに映っていた人物だ。白いシャツにスラックス。服装も一致している。
「キャリアの警部補さんかよ」
面倒くさそうに答える彼に、僕の後ろからペアを組んでいるパリス警部が声をかけた。
「久しぶりだなレイター。大きくなったもんだ」
「げげげっ、あんた何でこんなところに」
レイターは嫌な人にあったといわんばかりの顔をした。
「お前『ジョーカー』で起きた事件のことは知っているな」
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「今、ニュースで見た」
「話は早い。お前はあそこで何をしていた」
「何ってゲームさ。宇宙船レースの最新版が入ってたんだ」
「どうして事件発生直後に店から飛び出した?」
「どうしてって気分が悪くなったから。俺は被害者だぜ」
「『ジョーカー』とグレゴリー一家の関係を知っているだろ」
驚いたことに警部はいきなり事件の核心に触れた。
「は?」
レイターは目を見開き、びっくりした顔をしている。演技とは思えない。
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「ジョーカーの奥にはグレゴリー一家の秘密の賭博場があったんだ。知らなかったとは言わせん」
事件現場となったゲームセンターは、我々が内偵調査に入っていた違法な賭博場だった。そしてその経営を行っていたのがマフィアのドン。『裏社会の帝王』ダグ・グレゴリーとそのファミリーだった。
「知らねぇよ。そんなもん。俺はゲームやってただけなんだから」
「とぼけるな」
「俺とダグの親父とは、もう何の関係もねぇんだぜ」
「今度こそお前のしっぽをつかんでやる。話は署でゆっくり聞こう」
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