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銀河フェニックス物語 <ハイスクール編> 第七話 愛しき妹のために・・・(中巻)

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 愛しき妹のために・・・ ()

「困ったことがあれば私に言いなさい。全力で対処する」
「わかりました」

 フローラが小さくうなずいた。私にできることはここまでだ。

 私が反対すると思っていたのだろう。
 フローラは安堵の表情を見せた。
 このところ急にきれいになった。兄の私ですら思わず見とれてしまうほどに。

 この愛しい妹のために、私にできることは限られている。
 フローラの意思を尊重することは、その数少ない一つだ。

「お、お坊ちゃまぁ・・・」
「バブさん、ご飯にしましょう。折角のご馳走が冷めてしまいます」
「は、はい」
 納得できない顔でバブさんはシチューをよそった。

 私も納得しているわけではない。自分を律する訓練を積んできた成果だ。こんなところで役立つとは。

 私にはわかっている。
 父上は、娘が連れてきた彼氏、つまり、レイターを殴ったりはしない。それどころか、二人の交際を喜んで認めるであろう。

n91@正装後ろ目微笑

 そして、私は悟った。
 自分ではどうにもできない事象に対する感情。これが敗北感というものか。

* *

 お兄さまが不快感を示しながらも、交際に反対をなさらなかったことが、わたしはうれしかった。
 お兄さまに止められたら、わたしはどうしていただろうか。
 レイターへの想いは止められない。かと言って、お兄さまの言いつけに背くこともできない。 

 この広い宇宙で、高知能民族インタレスの記憶を継いでいるのは、お兄さまとわたしの二人だけ。お兄さまを悲しませることはできない。

 お兄さまも、おそらく同じことを考えられたに違いない。

16少年正面@2シャツ

 わたしを悲しませたくないと、自らの考えを押し殺されたのだ。

 お兄さまのために、わたしにできることは少ない。
 でも、この御恩はお返ししたい。

 
 バブさんが作ってくれた、お野菜がたっぷりのホワイトシチューを口にする。

「おいしい」
 思わずわたしは口にした。

 わたしは好き嫌いが多い。
 お野菜も匂いの強いものは苦手だ。けれど、きょうは、どのお野菜の味も甘く感じられる。

「ほんと、うめぇな」
 レイターがわたしを見て笑った。

フローラ桃微笑とレイター

 シチューを食べながら、さっきレイターと部屋で交わした会話を思い出した。

「つきあうと、何が変わるのかしら?」
 交際についてのイメージを、わたしは掴みかねていた。
 文学によればデートをするなどして、二人だけの時間を過ごすようだ。

 けれど、体の弱いわたしは、簡単には外へ出かけられない。
 一方で、レイターが学校から帰った後は、花を育て、おしゃべりをしながら今でもずっと一緒に過ごしている。行動様式に変化が訪れる気がしない。 
 レイターは笑いながら言った。
「簡単さ。隠れてキスしないですむ」
 わたしは耳まで顔が赤くなった。 
    

『つきあうと何が変わるのか?』その答えの一つを、今わたしは身体で感じていた。
 料理がおいしく感じられる。

 レイターがわたしのことをどう思っているだろうか、という不安や迷いが排除され、精神が安定化したからだ。    最終回へ続く

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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」