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銀河フェニックス物語【出会い編】 第十話 愛しい人の待つ場所で (一気読み版)
クロノス社は銀河連邦最大手の宇宙船メーカー。
わたしが所属する営業企画課は遊軍と呼ばれている。
遊んでいるわけではない。プライベートの船から法人契約まで、何でも屋という意味だ。
顧客との約束がなければ、基本的に週末はお休みなのだけれど、日曜に仕事が入った。
個人客のハワードさんから、今売り出し中の星系外航行船のグラードについて話が聞きたいと連絡があったのだ。
今週末はわたしの推し『無敗の貴公子』エース・ギリアムが出場する宇宙船レースS1がある。モニター観戦を楽しみにしていたのに、仕事とかぶってしまった。仕方ないけれど、がっかりだ。
そんな時、出張に出かける宇宙船が『厄病神』のフェニックス号と聞いて、思わず「ラッキー」とつぶやいてしまった。
フェニックス号で仕事に出かけると契約が失敗する、というジンクスがある。
わたしもこれまでにテロ攻撃やハイジャックに遭った。
『厄病神』の船で出張に行くことを喜ぶなんて、普通に考えたらありえない。
ところが、フェニックス号には、最新型4Dスクリーンが設置されているのだ。
ちょうど出張の移動時に、迫力ある映像でS1で飛ばすエースの雄姿を見ることができる。
*
土曜の夜、本社の駐機場からフェニックス号に乗りこんだ。
「ティリーさん、よろしく頼むぜ」
船主でボディーガードのレイターがお調子者らしくウインクする。
「厄病神とは、よろしくしたくないんですけど」
と、いつものあいさつをした。
*
宇宙船レースの最高峰を観戦するため、勝手知ったるレイターの散らかった部屋に入る。
4D映像システムが起動すると宇宙空間に浮かんでいるように錯覚し、部屋の汚さが気にならない。ほんとに素晴らしいシステムだ。
きょうもわたしのエースは予選一位のポールポジション。
「ほほほほ、さすがエースだわ。無敗記録の更新間違いなしよ」
「そう、うまくいくかな」
レイターが不敵に笑っている。
「楽しみだぜ。きょうはスチュワートがエースを抜く記念の一戦だからな」
珍しいことに、レイターがいつも応援しているプライベーターのチーム・スチュワートが予選を二位で通過していた。
「そんな訳ないでしょ。万年六位のチームに無敗の貴公子が負けるわけないわ」
わたしはエースのコクピットが映る画面に見入った。
*
S1機のエンジンに火が入る。
さあ、まもなくスタートだ。
と、その時、
「アーサーさんから緊急連絡が入っています」
ホストコンピューターのマザーがレイターを呼んだ。
「緊急だとぉ、あの野郎。俺への嫌がらせかよ」
ぶつぶつ言いながらレイターは部屋を出ていった。
意外な感じがした。
自称『銀河一の操縦士』でレースが何より大好きな宇宙船お宅のレイターが、スタート直前のこのタイミングで部屋を出ていくことに。
アーサー・トライムスさんは銀河連邦軍将軍家の御曹司で天才軍師。
アーサーさんとレイターは昔から付き合いがあり、船で暮らすレイターの住民登録は将軍家の居宅『月の御屋敷』になっている。
アーサーさんの緊急連絡がレイターにとってはレースより大切ということだ。何だろう気になる。
*
「一分前」
スタートのカウントダウンが始まった。
レイターが戻ってこない。
もうすぐスタートしちゃうよ。呼びに行こうか。
いや、聞かれてまずい話だったら悪いし。
ドキドキしてきた。
そして、赤いスタートシグナルが消えた。
S1機が一斉にスタートする。
レイターが戻ってくる前に、レースが始まってしまった。
予選一位のエースはそのままトップをキープ。
でも、その後ろにスチュワートさんの船がぴったりとくっついている。
『プライベーターのスチュワートがいいですね。きょうは船が安定していますよ』
解説の人が感心している。
とはいえ、もちろん、無敗の貴公子のトップが揺らぐ気配はない。少しずつ差が開く。
「やっぱり、エースは最高だわ」
つぶやく自分の声が何だかむなしい。
いつもならここでレイターが「うるさいうるさいうるさい!」と言い返すところだ。
「ま、レイターが応援しているスチュワートも、今日はがんばってるじゃない」と、声にしてみたけれど隣にレイターがいない。
いつもはエースを見るだけで気分がわくわくするのに。
折角、最新の4D映像システムでレースを見ているのに。
なぜだろう。レースに集中できない。
わたしは、このフェニックス号の4D映像システムでレースを見るのが好きなんだと思っていた。
臨場感ある映像と迫力あるサウンドでエースの姿を見るのが好きなのだと。
でも、それだけじゃない。
もしかして、わたしはレイターと一緒にレースを見ることを楽しんでいる?
*
「悪りぃ」
レイターが戻ってきた。
「ちっ、もう三周終わっちまったか。アーサーの野郎。今度殴ってやる」
レイターが口をへの字に曲げている。
残り二十七周。
わたしはリモコンを操作し画面を止めた。
「おいおい、何してんだよ」
「追っかけ再生で頭から見ましょ」
「あん? いいのか?」
「うん」
「悪りぃな」
と言いながらもレイターは嬉しそうだ。
スタートはレース展開の中でも重要だ。この人は本当にレースが好きなのだ。
*
そして、4D映像システムでレースがもう一度スタートした。
「行け、スチュワート。よし、いいぞ。そうだ。今日はイケるはずだ!」 チーム・スチュワートの調子がいいからレイターが楽しそうだ。
わたしは三周目までの状況はわかってる。
だからレースよりもついレイターの横顔を見てしまう。
レイターがわたしを見てにやりと笑った。
「あんた、エースじゃなくて俺に見とれてんの?」
「馬鹿なこと言わないで!」
あわてて否定した。
スチュワートが二位につけていると言っても、エースはもう先の先を飛んでいる。
「見てのとおりよ、エースは最高だわ」
「うるさいうるさいうるさい!」
わたしはこの先さらにトップと二位の差が開くことを知っている。
「ほーほほほ、エースは天才なのよ」
「はんっ。きょうは行けるぜ、エンジンの音を聞いてみろよ」
「どうかしら」
「そこだ、行けぇ!」
レイターはまるで子供みたいだ。
わたしはさっきも同じレースを見たのだけれど、全然違う。
レイターと一緒に見ると心が弾む。
*
レースは四周目へ入った。
ここからはわたしも初めて見る。エースがぶっちぎりの一位で、二位がスチュワート。
解説の人が感心している。
『万年六位のスチュワートがきょうは好位置につけていますね。表彰台を狙えそうです』
『エンジンの調子がいいですよ。プライベーターにしてはよく調整している。ただ、どこまで持つか・・・』
解説者に向かってレイターが怒鳴った。
「うるせぇ。ゴールまで持つに決まってるだろが!」
「やけに自信たっぷりね」
「俺が見てやったんだから」
え?
驚く私の顔を見て、レイターもまずいことを言ったという顔をした。「あ、やべ」
そして、わたしは思い出した。
先週出かけた出張先の星系にスチュワートさんの整備工場があったことを。
「レイター。もしかして、先週、スチュワートさんのところへ行ってたの?」
「会社に内緒な」
*
一週間前、レイターと出かけた出張先でのこと。
仕事が終わりフェニックス号に戻ると、
「俺、ちょっと出かけてくる。あんた、船から出ないでくれや」
と言うなりレイターはどこかへ出かけてしまったのだ。
わたしは一人船に残され、一人で夕飯を食べ、一人出張の報告書をまとめた。
レイターは上機嫌で朝帰りした。
「随分、楽しそうじゃない。どこへ行ってたの?」
とたずねると
「愛しい人んところ」
と言って彼はウインクした。
レイターは女ったらしな上に『愛しの君』という好きな人がいる。
「あっそう。それは良かったわね」
イラッとしながら応じた。
「あれぇ、ティリーさん妬いてるのかな?」
「ご冗談を」
レイターが別に誰と遊ぼうとわたしとは関係ない。
いらついたのは、やきもちを妬いたからではない。
わたしが報告書で頭を悩ませている間、レイターだけ外で楽しんできたのが尺に触ったのだ。
と、思っていたのだけれど・・・。
愛しい人のところ、というのが女性のところではなくて、実はスチュワートの船を一晩中いじっていた、と聞いて、急に気持ちがすっきりした自分に驚いた。
*
レイターが手を入れたというスチュワートのエンジンが本当に調子いい。嫌な予感がしてきた。
少しずつエースとのラップが縮まっている。
「へへん。行けるぜ」
レイターの自信たっぷりな顔はわたしを不安にした。彼は船の改造も得意なのだ。
設計士の免許は持っていないけれど、なんせ有名な『風の設計士団』にいたことがある。
レイターが手をかけると、船が魔法のように生まれ変わるのだという。
「スチュワートの船にどういう魔法をかけたわけ?」
「あん? ただチャーリーに合わせてやっただけだぜ」
チャーリーはチーム・スチュワートの第二パイロットだ。
二十歳で結構イケメン。エースほどじゃないけれど女性ファンにも人気がある。
「あいつはエースと比べてバランスはよくねぇが、度胸もあるしコーナーが強い。後半は見物さ」
無敗の貴公子がプライベーターに負ける?
そんなことあるはずがない。
でも、レイターの読みはいつも当たる。
いやだ。わたしは気がつくと固く手を握りしめていた。
ここのコースは後半直線が少ない。
コーナーを回るたびにタイムが詰まる。
レイターが手を入れたという船は普段のスチュワートの船とは違って見えた。
信じられない。
チャーリーがエースに迫ってきた。
解説者も驚いた声を出している。
『一体、何があったのでしょうか? 次のコーナーで万年六位が無敗の貴公子に追いつきそうです。決してエースの飛ばしも悪い訳ではありません。ただただチャーリーが速い』
そして、二機はもつれこむようにして最終周へと入った。
「このまま追い抜け!」
「エース! 逃げ切って!」
わたしたちは二人とも立ち上がってそれぞれの船を応援していた。
その時、
『エース。おめでとう!』
突然、わたしの携帯通信機が鳴った。
メッセージサービスだ。
わたしとレイターは思わず顔を見合わせた。
そのメッセージの意味することがわたしたちに同時に伝わった。
「ご、ごめん」
レイターに謝りながらもわたしは笑顔になった。
そしてレイターは、
「くそぉぉぉ~」
がっかりした顔でソファーに崩れ落ちた。
わたしはエースがレースで勝つと、メッセージで知らせてくれるサービスに登録しているのだ。
『エース。おめでとう!』
と通信機が鳴ったということは、エースが勝ったということだ。
普段録画で見る時は切っておくのだけれど、きょうは頭から見ていたのでうっかりしていた・・・。
追っかけ再生のレースはまだ続いている。
結果はわかっていて、わたしは安心してレースを見ることができた。
でも、もう、さっきのように興奮して盛り上がれない。
あと一歩でチャーリーがエースに追い抜く、というところであせったチャーリーが明らかな操縦ミス。
コースを大きくはずれた。
「バカ野郎! 何やってんだよぉ~」
レイターの声に力がない。
エースが一位でゴールした。
「やったー、エース最高!」
チャーリーは必死に体勢を立て直してコースへ戻った。でも順位は結局六位だった。
「くっそぉ~」
レイターの悔しそうな顔を見ていたら最高に幸せな気分になってきた。
「悪いわね。スチュワートのチャーリーも頑張ったけど、所詮『無敗の貴公子』の敵じゃないってこと」
「ふんっ。いつか破ってやる」
「ねぇ、あなたとチャーリーってどっちが速いの?」
「は?」
わたしの質問にレイターがびっくりした顔をした。
「俺に決まってるだろうが。俺は『銀河一の操縦士』だぜ『万年六位』と一緒にするな」
この人は自信家だ。
「じゃあ、レーシング免許を取って、あなたがスチュワートの船で出ればいいじゃない」
見てみたい気がする。『無敗の貴公子』エース・ギリアムと『銀河一の操縦士』レイターのバトル。
「そんな暇じゃねぇんだよ」
興味なさそうにレイターが答えた。
* *
顧客のハワードさんとのアポイントは午後一時から一時間。
翌日、空港に停めたフェニックス号からレイターが運転するエアカーで、ご自宅へ向かう。
「じゃ、二時に迎えに来るから」
ハワードさんの家の前に着くと、エアカーから降りずにレイターが言った。
レイターはボディガードとして室内までついてくることが多いのだけれど。きょうは何かあるのだろうか。
「どこへ行くの?」
「愛しい人んところ」
レイターがにやりと笑った。その顔を見たら苛立った。
「ああそうですか、どうぞ行ってきてください」
愛しい人って、どうせ整備工場でしょ。いや、この星に整備工場なんてあったかしら?
まあ、いいや、わたしには関係ない。
* *
ティリーを降ろすとレイターはエアカーのハンドルを握り直した。
さて、俺もお仕事だぜ。
エアカーを走らせる。
中心街のはずれ、さびれた雑居ビルが立ち並ぶエリアに到着した。
エアカーのエンジンは切らずに降りて細い裏の路地で張る。
特命諜報部の無線でアーサーに連絡を入れる。
「着いたぞ」
「時間通りだな。こちらはヒトサンサンマルに突入する」
「あいよ」
あいつ、突然仕事の連絡してきやがって。
しかもS1のレース中。こっちの都合も考えろってんだ。今度殴ってやる。
あと三分。
小汚いビルを見上げる。
アーサーが率いる特命諜報部の家宅捜索隊が、表の大通りからこのビルに入っている中堅商社へガサ入れに入る。
反連邦のアリオロンへ武器転用可能な物品を販売していた不正輸出防止法違反の疑いだ。
十三時半。時間だ。
耳に着けた無線からアーサーたちの足音が響く。このビルの五階が目的の商社。
ドンドンドン。
ドアをノックする音。
「な、何だ君たちは?」
年配の男の声。社長か。
アーサーが令状を読み上げる。
「こちらは連邦軍特命諜報部です。動かないでください。不正輸出防止法違反の罪で捜索令状が出ています。こちらの会社にあるコンピューターと資料を押収します。立ち合いをお願いします」
社長らが抵抗している様子はない。
とはいえ、素直に応じているようで、そうとも限らねぇから俺がここにいる。
静かに待つ。
ほら、来た。
ビルの裏口からカバンを抱えた若い女性が飛び出してきた。結構美人だ。
「はぁい」
俺は手を振る。女性は驚いた顔をした。
アーサーたちは制服やぴしっと決めたスーツ姿で突入した。
一方、俺は、ネクタイの緩んだ不良サラリーマンという格好。
彼女は敵か味方か判断しかねている。
「そのカバン、渡してくれねぇかな」
カバンの中にアリオロンとの取引資料が入っているとみた。
「い、嫌です」
社長に「隠せ」と指示されたんだろうな。
と、その時、
俺は嫌な気配を背中に感じた。
カバンを持つ女性の手を引いてビルの陰へ飛び込む。
ビュッツ。
背後からレーザー弾が飛んできた。間一髪よける。
近づいてくるエアカーから銃がのぞいている。
あいつか、撃ってきたのは。
と、バチン。
左頬に痛みが走った。
油断した。女性に平手で殴られた。
「放して!」
「ごめんよ。俺もこのカバンに用があるんだ」
男が銃を向けながらエアカーから降りてきた。
「カバンを渡してもらおうか」
「す、すぐに、渡すわ」
女性は銃を向けられて怯えている。
かわいそうに、カバンの取っ手を持つ彼女の手が震えている。その手首を俺が握っている。
簡単にカバンを渡すわけにはいかねぇな。
アーサーは何と言ってたっけ。一般人は殺すな、か。
銃を持ってたら一般人じゃねぇだろ。
俺は左手で銃を抜いた。
男が引き金を引こうとする。
悪いね。俺はボディーガード協会のランク3A。速撃ち試験もトップ通過してんだよ。
バシュッツ。
相手が撃つ前に撃つ。
男の身体が倒れた。
バタバタバタバタ・・・。
ビルの裏口から複数の足音が聞こえ、アーサーの良く通る声がした。
「証拠隠滅罪で現行犯逮捕します」
アーサーは俺が握っていた美人の手に手錠をかけ、カバンを押収した。
「一般人は殺してねぇからな」
男の急所ははずしておいた。男も共犯で逮捕された。
時間を確認する。おっと、一時四十五分か。
「協力感謝する」
というアーサーに念を押す。
「休日の呼び出し手当は五割増だからな」
アーサーは首を傾げた。
「きょうはもともと仕事中だろ。休日手当には該当しないんじゃないか?」
「てめぇっ! S1レース中に連絡してきやがって、何言ってやがる」
「冗談だ」
こんな奴に構ってらんねぇ、俺はエアカーに飛び乗った。
ティリーさんのもとへと急がねえと。
* *
午後二時、時間通りにレイターが運転するエアカーが戻ってきた。
「仕事は無事終わったわ」
わたしはいい気分でエアカーの助手席に座った。
「ご機嫌だねぇ」
レイターがわたしに声をかける。
「ふふふ」
ハワードさんの感触は良かった。
厄病神が近くにいなかったおかげだ。
わたしは助手席から課長に連絡を入れた。
「ハワードさんの契約取れそうです。明日、サインをもらうことになりました」
「きょうは契約できなかったのか?」
「奥様がきょうお仕事だったので、今晩最終的に決めるそうです。でも、予算内なのでほぼ大丈夫ということで、契約書を置いてきました」
「そうか。よくやったな」
「ありがとうございます」
上司に褒められるとうれしい。
「よかったじゃん」
運転席からレイターが声をかけてくれた。
「ありがとう」
とレイターの横顔を見て違和感を感じた。左頬が赤く腫れている。
「頬っぺ、どうしたの?」
レイターが左手をハンドルから放し頬をさすりながら言った。
「あん? ああ、美人にはたかれた」
「は?」
「男が来るとは思わなかったな」
「あなた、一体、何してたのよ?」
「修羅場をくぐりぬけてきたんだ」
そう言ってにやりと笑った。
まったくこの人は何をやっているんだか。
愛しい人のところ、って浮気現場だったわけ?
気になるけれど気にしない。わたしには関係ない。
とにかく明日、契約だ。
*
翌日、隣の席のベルがわたしの肩を抱いて慰めてくれた。
「仕方ないよ。厄病神の船だったんだから」
はあぁ、信じられない。厄病神を侮ってはいけなかった。
わたしは肩を落とした。
きのう、「明日契約取れます」と課長に報告した直後のことだった。
ハワードさんの妻が連邦軍の特命諜報部に逮捕された、というニュースが流れたのは。
アリオロンへの不正輸出の資料を隠そうとした証拠隠滅の容疑だという。
あわててハワードさんの自宅に連絡を入れると、ハワードさんも呆然としていて、船を購入するどころではなくなってしまった。
『厄病神』恐るべし。
厄病神との出張を「ラッキー」だなんて考えた自分を呪い、わたしは頭を抱えた。 (おしまい)
第十一話「S1レースを制する者は星空を制す」の前に、番外編。
これまでのお話のリンクです。
第一話 永世中立星の叛乱
第二話 緑の森の闇の向こうに
第三話 レースを観るならココと言われて
第四話 朱に交わって赤くなって
第五話 今度はハイジャックですって?!
第六話 アステロイドと美味しいご飯 第七話 真っ赤な魔法使いはパズルもお得意
第八話 唇よ、熱く営業トークを語れ
第九話 風の設計士団って何者よ?
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