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銀河フェニックス物語Ⅰ【少年編】

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レイターとアーサーが十二歳から十五歳まで乗っていた、戦艦アレキサンドリア号での物語。
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2023年3月の記事一覧

銀河フェニックス物語<少年編>第十四話 暗黒星雲の観艦式(2)

 観艦式への参加命令が司令本部から出た日、僕はアレック艦長に呼ばれた。 「わかってるな。アーサー、当日お前は礼装で貴賓席だ」 「はい」  連邦軍将軍である父上の名代を務めろということだ。  僕は階級は少尉だが、次期将軍という特別称号が与えられている。士官学校の時にも何度か父の代理で式典に出席したことがある。軍への正式入隊で本格的に公務が増えることはわかっていた。 「お前のほかに、うちからは戦闘機部隊を出す」  事前に聞いていた話と違う。 「アレクサンドリア号本隊も観艦式のパ

銀河フェニックス物語【少年編】第十四話 暗黒星雲の観艦式(まとめ読み版①)

 戦艦アレクサンドリア号、通称アレックの艦。  銀河連邦軍のどの艦隊にも所属しないこの艦は、要請があれば前線のどこへでも出かけていく。いわゆる遊軍。お呼びがかからない時には、ゆるゆると領空内をパトロールしていた。  アレクサンドリア号に軍司令本部から出動の命令が下った。  出動と言っても戦闘ではない。フチチ星系軍の観艦式への参加だ。 「なあ、アーサー、観艦式、って軍艦や戦闘機がいっぱい集まるんだろ。ニュース動画で見たことあるぜ。ワクワクするな」  宇宙船お宅のレイターが目