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銀河フェニックス物語

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舞台は宇宙。恋あり、笑いあり、アクションありのハードボイルド小説「銀河フェニックス物語」の連載マガジンです。最新話をすぐ読めます。
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2023年5月の記事一覧

嫉妬につける薬はなくて、妬みが世界を駆けめぐる 第3話【創作大賞2023】

 隊長のバルダンが緩衝シートを素早く床に投げ入れた。  XKZのボトルが落下する。  ワ…

嫉妬につける薬はなくて、妬みが世界を駆けめぐる 第2話【創作大賞2023】

 答えるバッハさんの声が震えていた。 「弊社の製品、速乾洗剤フイールの主原料です」  フ…

嫉妬につける薬はなくて、妬みが世界を駆けめぐる 第1話【創作大賞2023】

「わぁい、両手に花だぜ」  厄病神のレイター・フェニックスは、わたしと後輩のサブリナの顔…

銀河フェニックス物語<少年編>第十四話 暗黒星雲の観艦式(11)

「やべぇぞ」   レイターと同じことを思ったけれど、緊張と興奮で声に出すことすらできない…

銀河フェニックス物語<少年編>第十四話 暗黒星雲の観艦式(10)

『バイ・スタ』の持ち味は調和のとれた美しさだ。一方、先輩たち『びっくり曲芸団』の迫力は暴…

銀河フェニックス物語<少年編>第十四話 暗黒星雲の観艦式(9)

*  入隊してから知った。アレクサンドリア号は精鋭が集まる艦だった。驚いたことに僕は戦闘…

銀河フェニックス物語<少年編>第十四話 暗黒星雲の観艦式(8)

 **  去年のことだ。田舎のパイロット養成学校へ通っていたコルバは連邦軍からスカウトされた。正確に言うとたまたま学校を訪問していたアレック・リーバ艦長に「俺の艦に乗らないか」と一本釣りされたのだ。 「ぼ、僕でよろしいのでしょうか?」 「不満か?」 「と、とんでもないです。どうして僕なのかと」 「俺の勘だ」  コルバは子どもの頃から定期航路のパイロットに憧れていた。シングルマザーの母親は「手に職を持つことは大事だよ」と息子の夢を応援し、養成学校への入学資金を懸命に貯め