緑の森の闇の向こうに【創作大賞2024】まとめ読み版
その時は、単なる事務連絡だと思った。
「三十九度の高熱が出て、自宅で寝込んでる」
いつも元気なベルの声がかすれていた。
「お大事に」
と返してから気が付いた。ベルは明日からパキ星へ出張に出かける予定が入っている。即座に課長が近づいてきた。
「ティリー君、休暇の日程をずらせないかい。申し訳ないが、ベル君の代わりに出張へ行ってもらいたいんだ」
わたしは明日から三日間、特別休暇をもらえることになっていた。ゆっくり休みたいのが本音だ。一方で課内でほかに動ける人がいないことも