終の住処、リフォーム完成
祖父を数年前に亡くしてから、山に囲まれた電波も入らない地で、一人暮らす祖母。
少しずつ体も弱り、「おじいさんに早く迎えに来てほしい」「寂しい」と電話越しに言う。
部屋も荒れ、実の娘である母たちまで、泊まるのを敬遠する。
体調も悪化しいろんなことが自由に出来なくなり、一人で死を待つことの心細さ。今のわたしには少しは分かる気がした。
子ども部屋と称し、孫であるわたしたちが遊んでいた離れ。
あの頃から20年以上が経ち、畳や床が朽ちてしまっていた。
今こそ結婚資金として貯めていた貯金の出番なのではと、貧民生活に泣いたりもしながら必死に貯めた百万円をもとでにリフォーム開始したのだった。
将来の旦那さまに迷惑をかけまいと誓った、若かりし希望に溢れた当時のわたしが知るよしもないこの使い方。悪くないぞ。
父にも仕事の合間を縫って来てもらい、家族総出で古い畳や倒れそうな箪笥を出す。
羽蟻をやっつけ、朽ちた床をぺりぺり。
栗色の琉球畳と、こだわって探したウォールナットの床の素敵な部屋に生まれ変わったあ。
みんなでごきぶり退治もしたよね…。
土間は台所にして、冷蔵庫とレンジの他に、キッチン台も用意した。
一目惚れしたアラジンのカセットコンロ。
目の前は畑が広がって、とても爽やか。
窓を覗くと季節を感じられるようにしたくて、草むしりも必死。筋肉痛やばかった。
バイカウツギや紫陽花、イロハモミジ。
千日紅や桔梗など小さいお花もたくさん。
伯母が、初任給で買ったとも、嫁入り道具として買ったとも、噂されるカリモクの椅子。
ボロボロになった布張りだった座面を張り替えたら、新品のようになった。
お化け屋敷のようだったトイレも、匠の技が光るビフォーアフター。
いやあ、綺麗になりました。
ウッドショックの煽りで、話をしていた会社から途中で断られたり、砂壁はぼろぼろのままだったり、未だにシャワーもないまま(蛇口ひねって桶に溜まるのを待つスタイル)だけどさ、十分泊まれる!
癌にならなかったら、一緒に過ごすということもないまま終わっていただろうから、いい機会に出来たのかな。
そんなおばあちゃんは、少し前に入院してしまいました。もう帰ってくるのは難しそう。
コロナで面会も許されない。
もっと早くリフォームして、いっぱい一緒にいてあげたらよかったけど、間に合って少しでも一緒にいられただけよかったとおもいたい。
こうしてこの夏、祖母と、家族と、たくさん思い出ができました。
庭の植物は、サポートでいただいたお金で購入しました。
たとえわたしがいなくなっても、長く形に残ってくれるものに使いたいと思って。家族も嬉しいだろうし。
ありがとうございます。お礼を添えてご報告とさせていただきます。
畑耕して一緒に植えたすいかを収穫したり、育ててくれた野菜でバーベキューしたり、本当に楽しかった。良かった。また改めて載せたいな。
ここはおばあちゃんとわたしの終の住処。
あんなに寂しいと言っていたおばあちゃんが、「ももちゃんがいてくれるから寂しくないねぇ」とにこにこしながら言うのを聞いて、この運命のぜんぶが救われたよ。
辛いこともぜんぶ、きっかけと捉えて、また新しい道に進みたいとおもいます。
いつでも戻れる場所が、出来たもんね。