さよなら東京
大学生になったときから十年ちょっと住んだ東京を離れ、地元に帰ってきました。
もう一ヶ月ほどになります。
この決断に至るまでに、いろんな感情や理由があったのだけど、今は少しほっとしています。
まだ未成年の真っ黒に日焼けしたじぶんが、たくさんの希望を抱えて出てきた東京。
標準語もマスターした。
キャンパスの紹介画像で見た、銀杏並木も(臭いけど綺麗)、でっかいクリスマスツリーも(もみの木ではないらしい)、新しく出来た友だちと眺めた。
行列のできる店にも、星付きの店にも行って、美味しいものも食べた。
彼氏とお洒落デートスポットにもたくさん行った。
スカイツリーも東京タワーも浅草も柴又も、渋谷の屋上が透け透けになってるところも観光した。
いろんなところから集まる東京ならではの出逢いもたくさんあって、今があります。
最終日はセンチメンタルになるかとおもったけど、実際は返却直前に鍵を無くしたり、最後に処分する予定だった手をかざすと自動で出るハンドソープで廊下が泡まみれになったり、それどころじゃありませんでした。
ぷーちゃんは空っぽになった部屋ではしゃぎまわり運動会。捕まえるのにも一苦労。
指定席をとっていた新幹線も一本ずらすことに。
わたしらしい最終日。さすが。
10代のももちゃん、あなたは憧れの街東京で何年も過ごしたけど、ほぼ変わっていません。
夢半ばで東京を去った人もたくさんいるんだろうけど、その地点にすら到達してないなと思いながら新幹線に揺られました。
こんな形で地元に帰ることになるなんて、あの頃のわたしが知ったらがっかりするだろうけど。
こんなことでがっかりしないくらいにはおとなになったよ。
しばらく上げ膳据え膳で余裕を取り戻して、こんなわたしでもやれることを探したいとおもいます。
東京の中心地で暮らしてみたいという願望をまだ叶えていないので、死ぬまでに一度それはやりたいな。犬OKなおすすめ物件あったら、ぜひとも教えてください。
はあ、東京、疲れたし寂しかったし大変だったけど、楽しかったよー!
癌が見つかった時、地元に帰る決断するかすごく悩みました。
今帰ったら、ただ死を待つ老いぼれ婆さんみたいになってしまいそうと怖くて出来なかった。
だから東京にしがみついてた。
あの時とは違う、前向きなさよならです。
また戻ればいいんだもん。だいじょうぶ。
人それぞれに上京物語があるのでしょう。
どんな感じで出戻ったのか、その後どうしているのか。
戻ったからこそ見えるものも、あるんだろうなあ。
そしてそれはきっと、みんなに必要なタイミングだった。そう思いたい。
わたしが帰ってきて早速、田舎を強く感じたこと。それは、スーパーに行くだけで知り合いに会う。
ほんとすごい。怖い。
どこにでも誰かいる!
「もも…?」
「なっちゃん⁈」
「里帰り?もも華奢だったから、体型も変わってて確信もてなくて」
おーい!妊婦じゃないわーい!
病気のせいと教えておきました。
先生も家族も友だちも薬のせいではないのでは…って言うんだけど、ぜったいそうなんだから!
そんな今日もお菓子がうまいです。