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被害者救済新法

◆弁護士 飛田 博

2022年12月12日 日経新聞朝刊3頁

「洗脳下の寄付 一定の抑止」「被害者救済新法 違反には罰則」「成立優先、抜け道なお」との見出しの記事から

「救済策では禁止行為に基づく勧誘に困惑して、意思表示した寄付について事後的に取り消せると明記した。行為ごとに取り消し権を行使できる期間を分けて最長で10年と決めた。」

「救済対象を寄付者の家族にも広げたのも一歩前進といえる。子供や配偶者が生活費や養育費などを確保するために寄付を取り消したり、金銭の返還を請求したりする権利を盛り込んだ。」

(飛田コメント)
 記事中では、この問題の専門家の弁護士から、信者は宗教の使命感や責任感が根付いて寄付に至ることが多く、困惑しているケースは少ないから、「自由な判断ができない状況」など、より範囲の広い文言を規程すべきとのコメントがなされています。私も具体的な裁判の場合で、「困惑」をどのように立証するのか興味があります。信者側が、単に「困惑して寄付してしまいました。」と陳述書を提出すればよいのか、それとも陳述書だけでは不足で、一般的に「困惑して寄付する」ようなときに人々が残す何らかの証拠を提出する必要があるのか?その何らかの証拠とは一体何なのか?(例えば、寄付した方が良いか否かを家族に相談していて、その際に寄付しなければバチがあたる、と言っていたというような家族の証言?)興味がありまね。
 ただ、このような法改正をしたことは、洗脳により寄付をしてしまったような人々やその家族に対する解決策を示すもので、一歩前進だと思います。

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