整理解雇
◆弁護士 飛田 博
2022年11月7日 日経新聞朝刊15頁
「整理解雇、下がるハードル」「裁判所、『4要件』を柔軟運用」「企業の回避努力カギ」という見出しの記事から
(飛田コメント)
Twitter社の大量解雇が話題となっているときに、とてもタイムリーな記事だと思います。
記事では、ユナイテッド航空小会社の案件とクレディ・スイス証券の案件が紹介されていますが、ユナイテッド航空小会社の案件では、「年収維持を前提に地上職への異動を提案。さらに通常の退職金に基本給の20ヵ月分を加え、1人1545万~1824万円を支払う退職条件を提示」、クレディ・スイス証券の案件では、「元部長に割増退職金を含め1885万円強の退職パッケージや、社内公募で異動できる可能性がある複数のポストを示すなどしていた。」とのことであり、手厚い退職補償があったようです。
この2つの案件の詳しい事情は知りませんが、実務弁護士としての経験から言うと、実は従業員側も復職を希望していないのに、和解金をつり上げるために争うということがあり、そのような場合、会社側からそれなりの金額の提示がなされていると、裁判所も「もうこの辺で解決したら?」という雰囲気になることがあります。この2つの案件はそれなりに手厚い退職金を提示できたのですが、そのような退職金を提示できない場合にまで裁判所は4要件を緩和するものではないのでは?と推測します。実務弁護士としては、上乗せ退職金がどれくらいであれば整理解雇が認められやすくなるのかというところをもう少し明確化してほしいように思います。
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