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営業秘密の持ち出し
◆弁護士 飛田 博
2022年10月22日 日経新聞朝刊39頁
「『かっぱ寿司』起訴」「狙われる『営業秘密』」という見出しの記事から
不正競争法は「営業秘密」を①秘密として管理されている(秘密管理性)②事業などに有用③公に知られていない(非公知性)-の3要件を満たす情報と規定する。営業秘密に当たる情報を転職時に持ち出すなどすれば、罪に問われる恐れがある。
(飛田コメント)
記事の中で、弁護士が、3要件の中で最も重要なのが秘密管理性で、秘密情報にはパスワードやアクセス制限をかけるとともに、従業員側も「秘密として管理されている情報」と認識できているかどうかが重要とコメントしています。私の経験でも、まさにその通りで、結局重要な情報は社内で使われることが多いので、パスワードやアクセス制限をかけると使いづらくなってしまうので、そこまではしていなくて、結局「秘密情報」として認められないケースが多いです。
今回、起訴の対象になったのは、「食材の仕入れや商品原価に関する情報」で「はま寿司側で商品開発や価格戦略などに関わる部署の担当者にしかパスワードが付与されていなかった」ということですので、この秘密情報性の要件をクリアーしたのでしょう。
「秘密情報」の要件を解釈するうえで参考となりそうです。