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好き合っていても会えないホワイトクリスマスー小松未歩「愛してる…」

はじめに

こんにちは、2000年前後のbeing作品の歌詞の解釈について書いている「品川みく」です。

Twitterで現在進行中の小松未歩「愛してる…」(2001年)について語る企画。とても140字では愛を表現しきれないのでnoteに書くことにいたします。

私は2000年ごろ10代で、現在は30代。10代のころ好きになって何百回も聴いていた曲も、いま改めて聴くと以前とはだいぶ違った感じに聴こえてきます。私の場合は歌詞の「物語性」に特に着目しており、この曲はいったいどういう物語を描いたものなのか歌詞を解釈していくことが当時からすごく好きでした。20年の人生経験を経て、一つの曲の解釈がどのように変わっていったのか。その変化をお楽しみいただければと思います。

20年前の解釈:好き合っていても会えないホワイトクリスマス

この曲の歌詞は当時高校生だった私にもかなり解釈しやすいものでした。「華やぐ街に突然雪が降る」ことを「出来すぎた光景」といい「私だけがひとり」とまでいうのですから、この日はちょうど12月24日、恋人たちの記念日、クリスマスイブのことです。

「昨日は横でケンカもできたのに」ということも「昨日」じゃだめで、本当はまさに今日会いたかったんだという気持ちが強く出ていますので、(前日が12月24日となる)12月25日ではなく、やはりこの日は12月24日なのだと思います。

にもかかわらず、なぜ「着飾っ」ているのか。それは、歌い手自身この日が仕事の舞台でもあるからなのだと思います。たとえば歌手としてライブの舞台に立つのかもしれません。でも、恋人は都合がつかず「見ててくれない」ことが虚しくも感じてしまうところです。きっと恋人も仕事に忙しい人なのでしょう。

でも、私たちは「傷つけ合うためじゃなく手に手を取り羽ばたくために出逢った」。そう思って歌い手自身も晴れの場である仕事の舞台へと再び士気を高めていくのです。

サビの歌詞の解釈はこんな感じ。
あなたと会えないクリスマスだけど、
「愛してる… 強い気持ちはあなたへとただ向かっている」。お互いの夢に向かって励まし合う親友でもあり、ときどきその達成具合をめぐってライバルにもなる。お互いを写す鏡となっているあなたの存在を大きく感じるというものです。

現在の解釈:結婚にたどり着くまでには問題が山積み

20年前、高校生の頃からこの曲の大筋の解釈はできたのですが、2番の「目の前にある山積みの問題」がいったいなんなのか、当時の私にはわかりませんでした。

けれど、それから10年ほどして、私は後に結婚することとなる人と出会います。出会いから一気に距離を詰め、付き合うこととなった二人。「結婚したい」という思いは付き合った当初からありました。でもそのとき私はまだ社会人になったばかりで恋人はまだ大学生。しかも、関東と関西という距離もありました。お互い、やりたいことを仕事にするべく必死になってる今。その姿が好きだから、全てを投げ打って相手についていくというわけにはいきません。そこで、条件付きのプロポーズが成立するのです。

「お互いに自分のやりたいことを仕事にすること、一緒に暮らせる状況が整うこと、この2つが叶ったら、結婚しよう」

けれど、このふたつの達成、簡単ではありませんでした。まず夢に向かってやるべきことがたくさんある。そして、生活の拠点を合わせる必要もある。これこそがまさに「目の前にある山積みの問題」だったのです。

そもそもお互い自分のために時間を使う必要があるので、会いたい日に会うということ自体が困難でもありました。実際に5年の交際期間の中で、12月24日ジャストにデートができたのはたったの1回だけ。「昨日は横でケンカもできたのに」という言葉の重さを噛みしめます。

肩を寄せ合う恋人たちが幸せそうに見えて、いますぐ全てを投げ捨てて、「いま、あなたといる」ことだけを楽しんでしまおうか、そんなことをつい考えてしまいたくなる12月24日を何度も味わいました。でも、やっぱり、そうはならならずに、結局は目の前の仕事を優先させるんですね。

小松未歩の多くの楽曲を貫いている2つの価値観「私もあなたも夢を追っていたい」「恋と夢なら夢を優先させる」に私はどっぷり浸かっておりました。それで無事結婚までたどり着けたのは本当に奇跡でした。

おわりに

歌詞の解釈に正解はないのですが、20年聴き込んでくると、それぞれのファンが楽曲の世界観を作り込んだおり、それぞれどのように解釈したのかを知るのはとても楽しいです。お互いの解釈を知ることにより、20年経ってもまだまだ新しい発見があるところもすごく面白いです。まだまだこの曲、私の知らない一面が残されているかも。あなたはどのようにこの曲を聴いていましたでしょうか。ひとりでもふたりでもこういう話を面白いと思ってくれる人がいたら、ぜひコメントをいただけると嬉しいです。