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思いがけない贈り物

朝が雲に特別な色を塗り始めたのは、5時47分頃。
この日、適度に雲があって朝は張り切っているようだった。
雲も、嬉しそうだった。

この先については、書きたいことが主に2つある。
けれども、同時に書くのは難しそうなので、まずは船の右後方、種子島の側の出来事から書いてみる。

雲は、一旦、はいびすかすの色に近づいたかと思うと、その後、次第に黄色が強めになり、金色へと変わっていった。


6時8分22秒、海面に近い雲の向こうから、誰かがこちらを見ていることに私は気付いた。


6時44分頃、太陽は再び雲の向こうへ。
ちょうど、太陽の真下の水平線の辺りだけがキラキラしていた。今しもそこからもうひとつ太陽がひょっこり顔を出すのではないか、私にはそんなふうに思えた。

早朝に屋久島入りできるから、というのがはいびすかすを選んだ理由のひとつだったけれど、こんな光景を見られるなんて思いもよらなかった。思いがけない贈り物に、言葉を失った。
もしかしたら、この一連のショーを期待して乗っていたら雨だったかもしれない。いや、実際はそうとも限らないかもしれないけれど、少なくともその時の私にはそう思えたのだ。