私を構成する9枚 5/9
前言撤回。
さらに、ベースは歪みすぎてはいけないのです。そんな事をしたら曲が崩壊してしまいます。使うにしても、Red Hot Chili Peppersの『Around The World』のように、フレーズを際立たせる為に。行き過ぎない事が大切なのだと学び取りました。
前回の4/9での記事からの引用です。
そんな事は無かったのです。
そう思い知らされるバンドと出会ってしまいました。最高のサウンドのロックバンドに。
今回のバンドは、Royal Bloodというイギリスのバンドです。自身のバンド名を、アルバムに起用したこの作品をご紹介します。
自分たちのバンド名をアルバム名に起用する程の自信の現れ。このアルバムに収録されている『Out of the Block』のシングルCDは、初っ端から全英ロックチャート1位を取るほどのモンスターバンドです。初期のBlack Sabbathのような重厚なリフに、ラウドなドラム。
スッゲエバンドと出会ってしまった!!!
高校生の僕は、興奮しまくりでした。
どんなライブをするのだろうと、Youtubeで探してみる。メンバーが足りない。ギタリストがいない。
ステージには、ドラマーとベーシストしか立っていない。と思ったら、ギターのような音が聴こえる。
なんじゃこりゃ!?
となります。サウンドだけでも格好良いのに、ツーピースと来ました。観ていると、ベースを弾いていてギターの音が出ているのだと理解しました。理解はしたが、その仕組みが分からない。興味が唆られてしまった、僕は必死に動画を観ました。いろんなライブ映像を観ました。
初めの方は全く分かりません。ライブ映像もこんな感じのアングルしか無く、使っている機材の情報が全く分かりませんでした。
やっとのことで見つけ出した動画で、一瞬だけ映るシーンをスクショし、そこからまた調べ始める。ベースを始めたあの頃は、機材の知識なんて何も無くて、全て手探りで行うしかなかったんです。
まずこのバンドで一番大切になるのは、ベースを弾いてギターの音域になるように変化させるものです。エレクトリック楽器は、電気信号を送って演奏するため、回路の途中に音を変化させるエフェクターという機械を使うと、様々な音が出せるようになります。
ベースの電気信号を1オクターブ上げるエフェクター 、オクターバーが必要です。
だけれども、当時はどのエフェクターがどんな効果があるのかも分からず、1つ1つ調べるしか無かったのです。そして調べていくうちに、見つけたエフェクターにハマり、また見つけたエフェクターにハマり。そんな事を繰り返していくうちに、着実に知識は身に付いていきます。
この沼はとても深かったです。
調べても調べてもキリがありません。
高校の時は調べるばかりで、雲の上の存在のように感じていました。
大学生になって手が届くようになってしまった。バイトを始めてお金が手に入り、欲しかった機材が自由に買えるようになりました。更に、大学には歌が上手くて、英語の発音が綺麗な先輩がいました。最初はピンボーカルのスリーピースバンドでコピーしたけど、その先輩が卒業してから、当然またやりたいと思うようになります。
今度は、本家と同じツーピースで。
最高の演奏がしたかったんです。
その為に、たくさんドラムを聴きました。
聴けば聴くほど、創り込まれている作品だということが分かります。ベースとドラムとの掛け合い。ドラムのフィルからのフレーズ。ベースを弾いている身として、ドラムから学ぶことが多かったバンドです。
それと、なんと言ってもそのサウンド。
めっちゃ歪んでるじゃん……
格好良い…
これだけ歪んでても、音楽的で、芸術的。
それが可能だと分かりました。
音楽は自由であって、正解が無い。
だから楽しいんです。