ゾートゥー giò thủ(ベトナム家庭料理の豚の煮こごり)が美味しすぎた【技能実習生との日々⑪】
Messengerアプリが鳴る時は
何でもない平日の夜のこと、仕事も終わり自宅で一杯傾けているとスマホのMessengerアプリの着信音が鳴った。
前にも書いたようにベトナム人はこのMessengerアプリを多用する。私は家族含め日本人とはLINEを使っているので、Messengerアプリ=ベトナム人技能実習生からの連絡ということが着信音を聞くだけで判断できる。
そしてそのほとんどが、「wifiが遅い、○○が壊れた」といったものばかりだ。
洗濯機が壊れた
この日の内容はこれだ。
「何が可笑しくなったんだよ」と思いながらも意味は理解できた。洗濯機が途中で止まってしまうのだろう。自宅から一番近い実習生の寮だったので様子を見に行ってきた。
洗濯機が示すエラーコードから調べると脱水機能の故障のようだ。保証期間が3年のリサイクルショップから購入しているので翌日に電話連絡をすることを約束した。「それまでは手で洗いなさい」ということだ。
お礼で出てきたゾートゥーとは(giò thủ)
実習生も安心をしたのか、「キクさん、ありがとう。これ食べて」と出てきたのが見慣れない黒い物体。初見だが臓物系の食べ物だと一目で分かる。
これだ。大きさは茶筒を一回り太くした位の物。私もこれは初めて見た。
これこそベトナムの家庭料理、私もレストランや屋台では見たことがない食べ物だ。
それもそのはず、名前を giò thủ(ゾートゥー)といってベトナムの旧正月のテトの時に食べる家庭料理とのこと。もちろんこれは彼女たちの手作りだ。薄くスライスして海老塩やチリソースにつけて食べる。ヌクマムにつけて食べても美味しい。
中身はスライスした豚の耳や舌などの豚の頭部や、きくらげをゼラチンのようなもので硬く固めてある。分かりやすく例えると豚の煮こごりといったものか。
ただ煮こごりという割には具がぎっしり詰まっていて、和食の魚の煮こごりのようにプルプルとした感じはしなかった。(正月料理というよりは寒い季節に作るらしい、それもそうだ暑い時には固まらないだろうし)
これまで食べたベトナム料理同様にこれも調味料や食品添加物での味付けはなく、素材そのものの味がしっかりとしている。それを塩胡椒やチリソースで食べるから飽きがこない。しかもコリコリとした歯ごたえがやめられない止まらない。(炊飯器に入れて炊き込みご飯の材料にしても美味しいとのこと)
美味い美味いと連呼すると喜んでくれ更に切ってくれる。「家に持って帰って」とも言われるが、せっかく自分達用に作った正月料理を私が持って帰っても可哀想なのでそこは遠慮をしておいた。
蛍光灯が切れた、電球が切れた、冷蔵庫が壊れた、洗濯機が壊れたと何かと手を焼かされるが、まだまだ知らないベトナム料理を食べさせてくれるから実は私も楽しみでもある。
結局のところ
「あの人(私のこと)はベトナム料理とビールがあれば言うこと聞いてくれる」と思われているかもしれないな。まぁ事実だからそれでもいいのだけど。
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