技能実習生との日々【技能実習生との日々①】
外国人技能実習生制度
【技能実習生・外国人技能実習生制度】と聞くと、まずどんなことを頭に浮べるでしょうか?「現代の奴隷・低賃金長時間労働・人権無視の労働力搾取などなど・・・」ではないでしょうか?
ベトナム人技能実習生の生活指導員として
私は愛知県の小さな中小企業(食品製造工場)で、本来の経理の仕事の他に男女合わせて10人のベトナム人技能実習生(以下実習生とします)の生活指導員の業務を兼任しています。
私のような実習生を管理する側の立場の者は外国人技能実習生制度に批判的な人からすると諸悪の根源のように思われるかもしれません。ただ私は一緒に工場で働いている実習生達の底抜けに明るい笑顔や、本来持つ人懐っこさに接しているうちに、違う視点からこのnoteを書いてみたくなったのです。
私の勤務先も数年前より、若い労働力を外国人に頼るのは当然のこととなっています。まず日本人の若い人は勤務が継続しません。短期間で退職してしまうのはまだマシな方、いわゆるブッチ・バックレる・無断欠勤そのままに退職なんてざらです。
「そりゃお前の会社がブラックなんだろ」の反論もあるかもしれませんが、いたって普通の町工場です。私自身も経営者でもその親族でも何でもありません、普通のサラリーマンです。工場も近所のおばちゃんたちが朝は自転車でやって来て、夕方になると「今日の晩ごはん何にするー?」なんて話をしながら帰っていくような会社です。
そんな普通の会社で日本人の勤務が続かないなら制度上3年間(その後の2年延長も可能)の期間限定とはいえ、安定した労働力を実習生に頼ることは当然のように思われます。
仕事が少ないとトラブルだらけ
普段は真面目に働く実習生も、今年に入ってからの新型コロナの影響をまともに受け労働時間が少なくなっています。長時間労働に苦しむ技能実習生どころか残業もなく定時で帰宅しています。すると出てくることが・・・
「キクさん(私のことです)、Wi-Fiが遅くなりました、壊れていますから直してください」(いや壊れてねーよ、エロ動画見すぎで通信制限かかってんだよ)
「キクさん、グエンがエアコンを独り占めしています、注意してください」(仲よく暮らしてよ、寮のことは自分たちで解決してほしい)
「キクさん、トゥイとグエンが恋人同士になりました。アパートに二人でいるので私は帰る部屋がありません」(寮は男女別々、異性の入室は禁止って言ってるでしょう!)
「キクさん、なぜ日本の夏は暑いのですか?」(同じアジアだから暑いんだよ)
「キクさん、ビールおごって」(まぁそれならいいか、ただし発泡酒ね)
決して出稼ぎのイメージではない
実習生の本来の目的が技能の習得でないことは周知の事実だと思います。だからこそ本音で言ってしまえば実習生は【出稼ぎ】であり、企業は【労働力確保】です。
でも間違いなく、実習生は稼ぐ目的と同じくらい日本を楽しんでいます。切り詰めた生活をして母国の家族に仕送りをする子もいれば、手にした給料を全て自分のためだけに使う子もいます。
母国での世帯月収は日本円にすると3~5万円です。でも実習生として日本で働くことで今では一人で10万円以上(繁忙期には20万円以上)は稼いでいます。スマホもiPhoneの最新機種を使っている子も多く、MacBookを購入する子もいる程です。
最後に
このnoteは技能実習生制度の在り方を問うものではありません、そのような政策的議論を期待された方には申し訳なく思います。実習生に助けられている中小企業の従業員の感想として、一緒に働く彼等彼女達との日々を書いていこうと思っています。
※文中で出てくるグエンやトゥイはベトナム人の名前あるあるであり、もちろん仮名です。今後も同様です。