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世界を動かす「本能マーケティング」──森岡毅氏が語る消費者の脳と日本の未来

こんにちは。今回は、YouTubeチャンネル「PIVOT」で公開された動画
「【森岡毅に9つの質問】マーケターとしてのトランプ/テレビ改革法/YouTubeのマーケ効率/コンセプトの作り方/狂人と凡人の間を狙う/JUNGLIAの勝ち筋/コンテンツを不老不死に/今年は日本が変わる」
を参考に、かつてUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のV字回復を手掛け、現在は沖縄で新たなテーマパーク「JUNGLIA(ジャングリア)」を立ち上げている森岡毅さんの思考をまとめてみました。


トランプ政権誕生やSNS・YouTubeの台頭、テレビ局の変革など、いま社会やメディアが大きく動いている一方で、それらを突き動かす背景にあるのは「人間の本能」かもしれません。森岡さんは、マーケティングの本質を探るうえで、この“本能”こそが最重要と語ります。消費者の脳にある欲求をどう満たし、どう行動へ導くのか。ではさっそく、インタビューのエッセンスを見ていきましょう。


■「トランプ現象」をマーケター目線でどう見るか

まずは「政治マーケティング」としてのトランプ政権。森岡さんは、トランプ氏の過激な発言や行動の裏側にあるのは“予測不能をわざと演出する交渉術”だと捉えています。相手が読みきれない行動に出ることで譲歩を引き出し、しかもSNSをフル活用して人々の「自分は特別だと思いたい」欲求をうまく刺激しているのです。さらに、SNSの普及によって「自分と似た意見の情報ばかり目に入る」構造が生まれ、立場の違いがますます先鋭化しやすいのも現代社会の特徴。バランスのとれたメディアが力を失うと、こうしたポピュリスト的主張が通りやすくなるという課題もあります。マーケティング視点で見ると、まさに本能とテクノロジーが複雑に絡み合っているわけです。


■「テレビは終わり」ではない──メディア転換期に必要なこと

森岡さんはトランプ政権とSNS時代の話を踏まえ、今度は日本のテレビ局に言及します。若い人たちがテレビを観なくなっているのは確かですが、それだけでテレビ局が“オワコン”なのかと言えば必ずしもそうではない、と。鍵は「コンテンツ制作力の復権」です。これまでは制作会社に頼りきりで、テレビ局自身のクリエイティブ能力を十分に活かしきれていなかった。そこを磨き直し、ドラマやニュースなどカテゴリー単位でブランド化し、視聴者に「このジャンルならここを見よう」と思わせる存在に変われば、十分勝ち目はあると森岡さんは語ります。


■YouTubeのマーケ効率は本当に最強なのか

デジタルが主流になりつつあるとはいえ、YouTubeが全てにおいて万能というわけでもありません。森岡さんによれば、たしかに若年層へのアプローチやインプレッション獲得効率などはYouTubeが優位ですが、高齢層を含む幅広いターゲットにまんべんなく訴求したい場合は、今でもテレビが効果的なケースがあるのです。要は「適材適所」。マーケティングの狙いによって使うべきメディアは変わるため、テレビかYouTubeかと二項対立で論じても正解にはならない。むしろ、両者をどう組み合わせるか、消費者の目線で最適なコミュニケーション設計を考えるのがマーケターの腕の見せ所ということです。


■ブランド戦略の要は「コンセプト作り」にある

続いて、新著『確率思考の戦略論』にも通じる森岡さんのマーケティング論が語られます。なかでも注目したいのは「ブランドコンセプトは消費者の脳内に作られる」という視点です。企業が「こう見せたい」と発信しても、消費者が実際どう感じるかは別物。たとえばUSJ再建時に使った「世界最高をお届けしたい」というメッセージは、ハリウッド映画の権威やスティーブン・スピルバーグの存在感を背景に、「行けば裏切られないテーマパーク」というイメージを消費者に抱かせる効果がありました。大事なのは、最終的に「消費者の頭の中にどんなイメージを持ってもらいたいか」を逆算し、コミュニケーションを設計することなのです。


■「狂人と凡人をつなげ」本能のスイッチを探る

そのために森岡さんが駆使しているのが、「凡人の視点」と「狂人(極端にそのカテゴリーを愛好する人)の視点」を両方観察するやり方。たとえば、パスタを週1回程度しか作らない凡人と、毎日パスタを食べて研究するほどの愛好家を並行して調べると、それぞれの不満や喜びのポイントがくっきりしてきます。こうして人間の本能を深く把握することで、「どの要素が人を突き動かすか」を探り当て、ブランドコンセプトを強くできるわけです。


■沖縄「JUNGLIA(ジャングリア)」が狙う“旅の本能”

USJの成功を経て、森岡さんが次に挑むのは沖縄北部でのテーマパーク建設。その名も「JUNGLIA」。

ゴルフ場跡地を大自然あふれる冒険エリアに変えて、恐竜ロボットや気球からの絶景など“ここでしかできない体験”を提供しようとしています。沖縄旅行のニーズには「いつもと違う贅沢を味わいたい」「非日常のドキドキを求めたい」という本能がある。そこへテーマパークの興奮が加わることで、より多くの観光客が「沖縄に行くならジャングリアも!」と感じるようになる──これが狙いです。もしこの新モデルが成功すれば、日本発のエンタメ産業が世界に打って出る可能性を開く起点になる、と森岡さんは大きなビジョンを描いています。


■2025年、そして日本の未来はどう変わるのか

最後に、森岡さんは「日本は今、大きく変わるチャンスを迎えている」と力説します。テレビ局など既存メディアの危機感もそうですが、政治や社会も様々な構造の限界に直面しているからこそ、新しい価値を作り出す機運が生まれやすい。2025年あたりが一つの転換点になるかもしれないというのです。JUNGLIAも最初は「本当に資金調達できるのか」と危ぶまれるほど巨大なプロジェクトでした。しかし、森岡さん自身の「本能に訴える新しいテーマパークを作りたい」という思いに賛同する人々が支え、最終的に数百億円規模を動かせる体制が整いました。いま“変わらなきゃ”という機運は強く、そこに大胆な構想をぶつけていけば、意外な形で実現していくのだと森岡さんは言います。


■まとめ──“本能”を捉える人が時代を動かす

以上が、YouTubeチャンネル「PIVOT」のインタビュー動画
「【森岡毅に9つの質問】マーケターとしてのトランプ/テレビ改革法/YouTubeのマーケ効率/コンセプトの作り方/狂人と凡人の間を狙う/JUNGLIAの勝ち筋/コンテンツを不老不死に/今年は日本が変わる」
を参考にした、森岡毅さんのマーケティング観のエッセンスです。

  • トランプ政権が示した“本能マーケティング”の威力

  • テレビ改革とYouTubeとの共存の可能性

  • 強いコンセプトを生み出すための「消費者の脳」をどう設計するか

  • 凡人と狂人の調査を組み合わせる発想

  • 沖縄での大型テーマパーク建設が切り拓く未来

これらはどれも、根底に「人間はどう感じ、どう欲望し、どう動くのか」を抑える重要性を説いています。日本の行き詰まりに変化をもたらすには、やはり人間の本能に着目し、そこに応える新しい価値を作ることが不可欠なのです。森岡さんの挑戦を見ていると、「大丈夫かな」と思うほどの大きな壁も、そこに確かなビジョンと本能の訴求があれば越えられるのだと勇気づけられます。私たちが日々取り組むビジネスでも、もう一度「人は何を求めているのか」を考えてみると、新たなチャンスが見えてくるかもしれません。最後までお読みいただき、ありがとうございました。興味を持たれた方はぜひPIVOTチャンネルの動画や、森岡さんの新著『確率思考の戦略論』、そして沖縄の「JUNGLIA」プロジェクトの情報をチェックしてみてください。あなたのビジネスやキャリアを変えるヒントが、きっと隠されているはずです。


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余語和貴@
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