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余呉の人やけど,この村の人でない!NO32
6月、校舎をかり受けられて、ほっとしたのもつかの間、私たちに立ちはだかったのは、「余呉町の住民やけど、この村(上丹生)の住民じゃない!」ということです。余呉町のお知らせなんかはやってきますが、この村のお知らせは一切回ってこないのでした。
ある朝、ぶおーんと、けたたましい何十台ものエンジン音・・・いったい何が起こったんだ!と早朝の大騒音にびっくりして、目が覚め飛び起きました。
窓の外を見てみると、村中の人たちが手に手に草刈りの機械のエンジン音も高らかに、うちの運動場の草刈です。うちは学校の敷地と建物を借りていて、運動場は、村の管理です。
しまった!やられた!
知らなかった!
運動場の草刈には学校を借りている手前、絶対に出ないといけません。だから慌てて、鎌を各々持って飛び出していき、草刈りを始めたのです。
するとそこの周りにいたおじいさんたちに、「ちょっと、やめてくれ!」「村の者でないのに、草刈りせんといて!」・・・と・・・・
すいません・・とすごすご学校に戻りました。「あーこわかった!こういうことだったのか!」
しばらくすると草刈の休憩に入ったのでしょう。あたりの物音が静まり、おばさんたちの雑談の声がします。
「なんなん?学校を借りておいて、草刈りにも出てこんて!」「おかしいな」「草刈りくらい出てきたらいいのに」・・・・
え~~~~~!そうなん?私らはどうしたらええノン!出たら出たで、出るな!ていわれるし、入ってきたら、出てこん!って言われるし!えーい、もうわからん!
でもな!よくよく考えたら、やっぱり何を言われても出てなあかんな!ということになり、それからというもの、学校の前にある大工のおじさんのところに、毎日「明日は何かありますか?」と尋ねに行きました。
そして「明日総出の人足(作業)がある」と聞くと、何を言われようと絶対に参加することにしたのです。それもめちゃくちゃ、誰が見てもわかるように、真っ赤と真っ青のつなぎをきて、目立つように参加していきました。
はじめはやはり、上丹生の者でないのにせんでいい!と言われましたが、私たちがやりたくて、やっているといって毎回出ていきました。
そのうち、「こうやって草はかるんよ!」「この鎌を使い!あんたらのんは刃が研いでないからうまくは切れんから!」とかしてもらったり、一服のお茶やお菓子をもらったり…・・・
それもこれも懐かしい思い出です。今では、毎年の総出人足には、ここからの生徒がはっきり頭数に入っています。
本当のところ、おじいちゃんやおばあちゃんのほうがよく仕事をされているのですが、赤や青のつなぎの私たちを見ると、年寄みんなの元気が出るで!と言われています。
様子を見るといわれた3年間は、朝、校舎から出ると、村人に挨拶しても知らん顔をされたり、お野菜をくれた人にも「ありがとう」と絶対にみんなの前では言わんといて!と言われたり…いろいろありましたが、時間とは恐ろしいものです。