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【小説】スーパー翻訳機

「やっとできたわい!」
英語嫌いの博士が叫ぶ。
「これで英語も学ばなくていいし外国語も学ばなくていい!」
それはスーパー翻訳機、体に取り付ければ言葉が違えど意思疎通ができるようになる。
超便利ツールなスーパー翻訳機は全世界に広まり英語を中途半端に話せる意識高い系、バイリンガルを武器にする輩、外交官などの存在意義を駆逐していき博士は悦に浸った。

そんなある日、A国外交大臣とB国外交大臣は二国間の緊張を取り去るため話し合いに話し合いを重ねていた。もちろん彼らの胸にはスーパー翻訳機がつけられている。
「ですから、K島は私たちA国のものであって」
「それは間違っております」
「何がです?」
「K島は歴史的、国際的に見てもB国の癒しの土地であって……」
「長ったらしい話をするなら戦争でもしますかな?デカイ戦艦を最近、作りましてね」
「なるほど?宣戦布告ですかな?」
「そうです!わかってくれましたか!」

二人は翻訳機が壊れていることに気付いていなかった、そして、これがスーパー翻訳機、最期の活躍であることに……

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