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作品の話 #5 Take Over


4th single Take Over (feat,狂気 & 小城飛翔)  Artwork by MANE

今回は2024年9月20日リリースの4th single Take Over(feat,狂気 & 小城飛翔)についてです。
とても思い入れのある曲です。



制作の背景

遡ること2022年の12月。
2nd SingleのFrantic Theater(feat,狂気)をリリースした後、狂気ともうひと暴れできると思い楽曲の制作を始めました。
これに彼も賛同し、「2人の世界観を組み合わせて今までに無いものを作ろう」と話をして盛り上がっていました。

完成した楽曲はロック調の曲に仕上がっていますが、元々のデモ段階ではクラビネットが跳ねるようなR&Bの曲調でそこに彼のラップを入れるという考えでした。
僕の記憶では、彼がその頃Stevie WonderのSuperstitionをサンプリングした楽曲の制作に取り掛かっていたことからR&Bのアレンジという着想を得ていたはずです。
そのデモから現在のロック調の楽曲に様変わりするわけですが…

そうして楽曲は粗方完成。あとはボーカルのレコーディングを行うのみ。
完成に近づいて行くはずでした。


突然の別れ

2023年の3月、突然として彼は帰らぬ人に。
予定していたボーカルのレコーディングも白紙に。

当然、楽曲は完成するはずもなくボーカルの入らないトラックだけが残りました。
彼と音楽活動を新たに始める矢先の出来事だったこともあり、目の前は真っ暗。今だから言えますが、一度音楽を辞めようと考えたほどです。


転換点

そんな状態から完成までに辿り着けた理由には彼の周りの人たちが携わってくれたことが大きかったです。
葬儀の際、彼の母親が「狂気の分まで夢を叶えてほしい」とお話しされていたことが一番大きな原動力でした。
また、彼の意思を引き継ぐことが残された自分にできることだと考えて制作再開に取り組みました。
そんな時に協力してくれたのは彼の実兄、小城飛翔さんと彼の友人であるMANEでした。


制作の再開

制作の再開はアレンジから始まりました。
ロック調の曲となったこの曲にはギターが入っており、ギタリストでもある小城飛翔さん(以下、飛翔さん)にギターとして参加していただきました。
実は飛翔さんの存在は彼の生前から知ってはいたのですが、実際にお話をしたこともなく制作を再開したタイミングが初対面でした。
彼の話に花を咲かせつつ、約半年間の制作に取り組みました。

曲間のギターソロやアウトロのギターとシンセサイザーの掛け合いなど様々な場面に彼への想いを散りばめて完成へと近づきました。

歌詞は彼との今まで、そしてこれからを表現したものにしました。
暗い曲の多い僕の曲ですが、この曲に関しては前向きな歌詞が書けたかなと思います。

ボーカルは不在の状態が続いていましたが、彼の意思を引き継ぐという想いで僕が担当しました。
僕は歌が上手い方ではありませんが、彼への想いを込めて全力を尽くした所存です。

ただ、彼の色はやはり欲しいという思いもあり彼の楽曲の中でも一番好きな「旅路」という曲のボーカルデータをサンプリングし、彼との楽曲として完成させました。


最後の1ピース

そうして完成した楽曲は「Take Over」と名付けました。
生前の彼と話していた「俺たちの作る唯一無二の楽曲で世界を"乗っ取ってやろう"」という意味と、彼の意思を"引き継ぐ"という意味から「Take Over」と名付けました。

楽曲は完成していましたが、アートワーク(ジャケ写)はまだ用意できていない状態。
そこで、彼の友人でありグラフィックデザイナーをしていたMANEにお願いして楽曲を完成させました。

アートワークに使われている写真は彼との思い出の場所。
Frantic Theaterのボーカルレコーディングの日に彼と待ち合わせしたところ彼が路上ミュージシャンの真横で寝そべっていた新宿バスタ前、彼とMANEがサイファーを行っていた場所などなど…

彼と実現させようと考えていたものは気づけば彼と彼の実兄、そして彼の親友の4人で創り上げた大切な作品となりました。


あとがき

最初はR&B曲調の作品になる予定でしたが、ロック調の作品になったのには彼と僕の音楽的ルーツがロックにあることがその理由でした。
彼が生きていたらこの楽曲をどう歌っていただろう、どんなワードが飛び出していただろう。彼は完成したこの曲を聴いてどう感想を言ってくれるだろうと考えることがしばしばあります。

ちなみに、楽曲を聴いて気づいている方はいらっしゃると思いますが、曲の一部にFrantic Theaterを引用しています。制作再開の段階でやってみたところ見事にハマり、実は曲のキーも変えていない状態です。

彼が直接関わった作品はこの楽曲が最後になりましたが、これからも彼の意思を引き継いで活動を行っていくつもりです。

We Still Take Over.



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