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エビガニを実食し、そのルーツに迫る/Crayfish@千葉県北総地区

2023/06月〜8月

先ず今回訪問した場所は、千葉県北部の利根川下流南岸に位置する、利根川水系の湖沼にして自然公園の「印旛沼(いんばぬま)」です。

私は千葉県松戸で育ち、釣りが好きでしたので印旛沼には興味を持ってました。しかしながら今まで1度も行ったことがありませんでした。今現在この沼では一体どんな魚介類が捕れ、沼周辺にはどんな魚介類を出す飲食店があるのか非常に興味を持ったので、色々事実確認をする為に行ってみる事にしました。

これまでの私のレポートは主に千葉県内の海の魚介類が多かったですが、今回は同県初となる内水面(淡水)の魚介類レポートになります。


印旛沼について

⬆印旛沼(いんばぬま)の位置はこの辺り

先ずこの沼は、印西市、成田市、佐倉市、八千代市、栄町の4市1町に隣接していて県内最大です。

⬆成田空港が近く、車で30分位

更に印旛沼は北と西に別れています。昔は下記画像のように1つに繋がってました。沼の上には利根川があり、江戸時代は度々起こる自然災害による増水により沼も氾濫し、周辺の住民は甚大な洪水被害に苦しんでいました。

画像は印旛沼水質保全協議会より

1955年(昭和30年代)までの印旛沼は、面積25.8km²でしたが、1969年(昭和44年)に完成した干拓事業によってその面積を約半分に減らし現在のような北と西(南)に分かれて、これを印旛捷水路で結ぶ形になりました。これにより洪水による被害は減少しました。

昔ながらの自然が多く取り残される

現在の印旛沼は、沼周辺にタヌキやイタチ、野鳥など野生動物も多く、佐倉ふるさと広場や印旛沼サンセットヒルズ、野鳥の森、佐倉草ぶえの丘などの観光施設があり、沼を周遊する観光船、サイクリング、釣り、キャンプやBBQなど自然を満喫しながらアクティビティを楽しむことができる観光&レジャースポットになっています。

そんな歴史を持つ印旛沼ですが、そこで捕れ食べることが出来る魚介類を色々調べる為『印旛沼 魚料理』で検索すると沼周辺のうなぎ屋さんがいっぱい出て来ます。更にその店を1つずつGoogleマップの口コミなどで調べていくと今度は『ザリガニ』と言うワードがいくつも出て来ました…

うなぎ屋さんでなんでザリガニ?しかも食べる事が出来る??でも夏だけの提供???なんか面白そうな予感でワクワクしてきたので早速現地へ行って色々調べるしかないと思ったその矢先、北千住駅でこんなポスターを発見⬇

左下を見ると…
アメリカザリガニとアカミミガメの規制開始?

⬆これは一体なんなのか?ザリガニはもう食べられないのか?面倒くさいので直接環境省に電話して聞いてみました⬇

⬆上記電話番号へかけて最初の事実確認へ

結論を先に言うと飲食店で提供されるザリガニを食べる分には何も問題はないとのことでした。あくまでも捕獲した生きたザリガニを他の場所へ放流する行為が規制対象になるのだそうです。

安心した所で早速現地へ行って色々調べてみましょう!(しかしながら今回は既にかなりのことを調べましたので、それでも分からない点の事実確認になります)

◯西印旛沼周辺

・千葉県水産総合研究センター内水面水産研究所

西印旛沼の右下に位置する千葉県水産総合研究センター内水面水産研究所

この日は京成佐倉駅で降り、駅前観光案内所で印旛沼付近でのザリガニ食文化(?)について色々話しを聞いた後、印旛沼の魚介類を研究している内水面水産研究所を紹介され行ってみることにしました。

お忙しい中、事務所にてお話しを聞く事が出来ました

ここで一番知りたかったのは印旛沼ではザリガニの漁が行われているのか?もしくはザリガニの養殖場などが付近にあるのか等をお伺いする事でしたが、結論として印旛沼においては漁としてザリガニの採捕はなく、養殖場もあるかは分からないとのことでした。が…

印旛沼に生息する魚介類及び外来種の水槽
右下にパンダウナギが!でも印旛沼の生息個体ではありません
印旛沼の漁獲量や水質などを示す様々な資料

私が馬鹿なほど魚介類が好きなので、このような場所で専門職の方に色々と淡水魚のお話しを聞ける機会が嬉しく、ここぞとばかりに、子供の頃からこれまで心に秘めてきた、ザリガニと関係ない淡水魚の事を色々質問してしまいました(>_<)

外来種であるブラックバス、ブルーギル、更に他の外来種と在来種の共存、水質や漁獲量、鮭がどうやって印旛沼に入ったか、過去のコイヘルペスによる風評被害など話しがどんどん膨らみ、結局1時間くらい色々質問しそれに答えて頂く感じになってしまいました(>_<) 

お忙しい中すみませんでした!でも本当ありがとうございました!この時の様子はまた別の機会に書きたいと思います!

では話しを戻して、次に食用の活きたザリガニを販売する地元の川魚店さん(ウナギ蒲焼き&佃煮販売店)へ行きます!

・『岡野川魚店』佃煮製造販売(活ザリガニ販売)

事前にガッツリ調べた店の1つ『岡野川魚店』さん

⬆上記お店のホームページの『新着情報』をご覧下さい!ザリガニの情報出てます!店の場所は、先ほどの内水面水産研究所からすぐです!

⬆えびがに = ザリガニですが…
⬆桶にはカニエビって書いてある!w
『シャー!』元気いっぱい!威嚇してきました!
懐かしい!40年以上前の昔ははこれを釣って遊んでいた…

女将さんに少しお話しをお伺いしたところ、この近く(西印旛沼付近)でザリガニを食べる事が出来る店はなく、食用として販売しているのはこの店だけだそうです。更にここのザリガニは印旛沼の物ではないとのことで、ザリガニが産卵期に入る9月前に販売は止めるそうです。『採ってばかりじゃいなくなっちゃうからねー』と言ってましたが、以前訪問した新勝浦漁業協同組合の方も同じ事言ってました!😄

貴重なお話しが聞けたところで、いよいよ実食出来る店へ行ってみます!場所は北印旛沼の下辺りです!

しかし結構距離がある!岡野川魚店さんからは12キロ、タクシーや車では18分!やはり印旛沼は広い!
⬆道中の景色。成田空港まで19キロか!

◯北印旛沼周辺

・『錦谷』うなぎ川魚料理店(ザリガニ実食)

着きました!事前にザリガニがあると確認したお店の1つ『錦谷』さんです!

⬆お店のホームページです。ただし!いつも有るわけではないので事前に電話で確認した方か良いです。

店内で皆さん当たり前のようにウナギを注文されてる中、私は元気よく『ザリガニお願いします!』と注文!
しばらくして来ました!500g1650円です(25匹いました!)右上の透明容器は殻入れに使います
子供の頃遊びで釣っていた時は、食べるなんて全く考えてませんでした。劇的な再会ですwではいよいよ実食!

どう食べたらよいか、殻の剥き方から色々と事前にユーチューブなどで調べ勉強しました。しかし日本の動画ではなく、アメリカ・ルイジアナ州やスウェーデンの動画が多かったです。また後ほど述べますが、外国特にスウェーデン人のザリガニに対する思いは熱いです😄

可食部分はシッポ

口に入れた瞬間、海のエビやカニにはない独特の風味を感じました!味はカニとエビを足したような感じです。意外と旨い!しかしどんどん殻を剥いていると手がエビガニエキスで汚れてきます。最初はおしぼりで手を拭きながら食べてましたが、途中からお手洗いに行きましたw ちなみに中国でザリガニを出すレストランはビニール手袋も添えられるようです。

大きい爪を割ってみました

たまたまデカい爪を持った個体があり、ちょうど殻が割れていたので、中を爪楊枝で掻き出してみると、カニ爪と変わらない見た目の肉が出て来ました。こっちはシッポと違い全くクセがなくて更に旨いです😄ただし可食部分は非常に少ないです。

まさにマッカチン

さて生まれて初めてアメリカザリガニの塩茹でを食べました。ちょっとクセはありましたが、予想以上に旨くて驚きました。最後のお会計の時、レジで女将さんらしき方に、自分は印旛沼付近でザリガニを色々調べているという話しをしたら、厨房から板前と思われる武藤敬司似のおやっさんが出て来て『うちのザリガニは茨城県の鹿島で漁師さんが1匹1匹採ってるのを仕入れてるよ』と言ってました😄

そうなんだ…貴重なお話しが聞けました!では、この日最後の店へ移動します!

ウナギ街道の端に来ました

・『名鳥』うなぎ川魚焼き鳥(ザリガニ実食)

ウナギ料理名鳥さんに到着

暖簾をくぐると店内はウナギを食べるお客さんで混んでる中、おそるおそる『ザリガニありますか?』て聞くと若女将さんが厨房に『エビガニある~? はい、ありますよ!』と返答頂け、早速座敷へ!

エビガニ1皿1200円です
熱々の湯気を立てて到着しました!早速頂きます!

なんか最初のお店で食べたものより色が鮮やかで風味が違う!そして殻が剥きづらい!なんでだろ?そう思っていたら、厨房から大将が出て来てくれて私のテーブルで剥き方をアドバイスして頂きました!ありがとうございます!しかし旨い!!ホントえびがにの味(*^_^*)

ミソ付を下総醤油ディップで

最後、お店の方に色々お話しをお伺いしましたが、こちらは注文が入ってから活きたエビガニをボイルするそうです。そして扱うエビガニも印旛沼産ではなく、漁師さんが千葉県の別の場所から採った物を仕入れてるとのことでした。

内水面水産研究所の水槽

さて、この日は内水面水産研究所から始まりいくつかの店で実際にザリガニを食べ、会う方々に聞き込みを行いましたが、この時のポイントをまとめると↓

・印旛沼(北と西)では食用のザリガニ漁は行われていない(?)
・西印旛沼周辺には食べる事が出来る飲食店が無い(たぶん)
・北印旛沼宗吾街道のいくつかのウナギ屋では食べる事が出来る(夏限定その時の仕入れ次第)

こんな感じでしたが、この日はもうタイムアップ。印旛沼は予想以上に広く移動に時間がかかるので、予定してた事の半分しか出来ませんでした。日をあらため北印旛沼を攻め更にその謎に迫ります!

※今回のレポートは本当に色々な店や場所へ行った為に、全てを書いてたら長くなり過ぎてしまうため下記より要約致します⬇

・『甚平茶屋』うなぎ川魚料理(ザリガニ実食)

一皿750円でザリガニを実食しました。

・『高橋水産』佃煮製造販売(活ザリガニ販売)

こちらから近隣の何店舗かのうなぎ屋さんにザリガニを卸してるそうです。

・北総水産の漁師さん(印旛沼漁協組合員)

印旛沼の漁師さんにお会いでき、沼および利根川で捕れる魚介類について色々なお話を聞かせて頂く事ができました。そしてお土産にダムカードと言う物を頂けました。

ダムカードとは?
※下記を参照すると印旛沼はダムだったのか…

※北総水産さんは印旛沼の魅力を伝えようと素晴らしい活動をされてます。特にファミリーを対象にした漁業体験は大好評の様子!詳しくはこちらから↓

・印旛沼漁業協同組合事務所

事務所で私がザリガニの事を調べている旨を伝え色々なお話を聞かせて頂けました。それと同様に漁協で行っているウナギ養殖についても色々と教えて頂きました。

・印旛沼魚類生態調査の方々

沼の辺を調べていたら偶然魚類の生態調査をされてる方々にお会いし、いくつかお話をお伺いする事ができました。※インタビューの様子は動画に添付します。

◯利根川付近

・『石亭』日本蕎麦店(ザリガニ実食)

お蕎麦屋さんですが、ザリガニ提供してました※動画にてザリガニの食べ方を紹介します。

・『さかた』うなぎ川魚料理(ザリガニ実食)

今回のレポート最後のお店です。店頭に「ざりがにあります」の看板を掲げてましたが、私が最後の品を注文したので、店を出たら「完売」の貼り紙をしてました

◯まとめ


〈レポートの動機〉
印旛沼周辺のうなぎ屋ではザリガニが食べられるとネットで情報を得て、ホントかどうかの事実確認(実食含む)と、沼ではザリガニ漁やザリガニの養殖場があるのか?そして埼玉県吉川市のナマズのように、昔からザリガニを食べる食文化がこの地域にあるのか調べたいと思いました。

〈今回までで分かったこと〉
結果的に印旛沼にザリガニ漁やその養殖場は無く、昔から一般的に慣れ親しまれた地域的な食文化ではありませんでした。しかし、取り扱う飲食店の人達は昔から食べていたと言ってました。ザリガニはごく一部の飲食店で夏の間だけ取り扱う特殊な食材で、店によりザリガニの仕入先が異なっていました。

私が調べた限りでは西印旛沼周辺には実食できる店は無く、印旛沼の北側うなぎ街道と呼ばれるエリアでは3店舗、更に北の利根川寄りの店では2店舗で実食する事ができました。

印旛沼は想像以上に広く、最終的に利根川方面まで行ってしまったので色々調べるのが大変でした(>_<)。実際には上記以外でもザリガニを実食できる店はまだあり(なんとラーメン屋も!)、全体的に納得できるレベルで調べ切れてません。また来シーズン色々調べたいと思います。

※今回の一連の流れを動画にまとめました。上記に書ききれなかった事や、実食したザリガニの各店での違いなど具体的にお分かり頂けると思います。

以上今回のレポートでした!

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