Mtg Arenaアルケミーグリクシス調整記録(23/1/14・15予選ウィークエンド)
❶経緯・目的
2023/1/14〜15にアルケミーフォーマットで行われた、Mtg Arena予選ウィークエンドについて、約半月にわたり調整を行った。結果は2日目4-2と後数歩及ばなかったものの、環境理解やゲームプランの採択が的中し調整としては成功と思える手応えがあったため、振り返りとプロセスの整理の為に記事として残すこととする。
❷結果
使用デッキ:グリクシスミッドレンジ(《絶望招来》+《砂時計の魔女団》リアニ型)
・初日 7-1
・二日目 4-2
❸環境認識
アルケミーフォーマットは参加障壁の高さによりプレイヤー数が少なく、直近の競技イベントもなかったため、予選ウィークエンド及びプレイイン(BO1・3)、デカスロン内のBO1イベントに向けて'22/12/末〜'23/1/中旬にかけて段階的にメタゲームが醸成された。ここでは下記3つのタイミングに分けてその段階での環境認識を記述する。
(1)初期 〜BO1プレイイン・デカスロンBO1アルケミー
(2)中期 BO3プレイイン・予選ウィークエンド初日前半
(3)後期 予選ウィークエンド初日後半〜2日目
(1)初期
一部プレイヤーにより単品で強いカードやそれを活かす戦略が判明しており、雑多なデッキが存在。デッキ同士の相性や環境を定義するデッキ・戦略はまだ明確化されていないが、時間経過でデッキが淘汰され徐々にメタゲームが醸成された。
また、BO1イベントの特性上赤単のようなメインが強いデッキがやや過剰に流行した。
メタゲームの構造としては、《波の巨人、クルシアス》が圧倒的なパワーカードとして認識されてており、《波の巨人、クルシアス》によって何を持ってくるか?が模索されていた。同3マナの《鏡割りの寓話》も似た役割を果たすことから、《波の巨人、クルシアス》+《鏡割りの寓話》+αが基本的なパッケージとなる。また《波の巨人、クルシアス》デッキに標準装備される《溶鉄の衝撃》が半端なアグロデッキを駆逐したこと、アルケミー専用カードの異常なアドバンテージ獲得能力の前に受けるだけのデッキが耐えられないことから、パワーカードを連打するミッドレンジと、コンボ要素により勝ちをもぎ取るデッキが主流となった。
・ラクドスサクリファイス
サクリファイスパッケージを土台に《波の巨人、クルシアス》+《絶望招来》or《黙示録、シェオルドレッド》パッケージを無理なく組み込んだデッキ。《鬼流の金床》・《血塗られた刷毛》・《波の巨人、クルシアス》・《黙示録、シェオルドレッド》・《絶望招来》と脅威の種類が散っているので綺麗に回ると受け切るのは難しい。シナジーデッキのためサイド後含めて戦略の柔軟性がないのが欠点だが、殆どのデッキには地力で圧倒可能。
・RB/グリクシスミッドレンジ
《波の巨人、クルシアス》+《絶望招来》デッキ。サクリファイスよりも柔軟性が高いためメタに合わせて構成をアジャストできるのが魅力。除去やカウンターで相手をいなしつつ最終的には《波の巨人、クルシアス》から《絶望招来》連打が主な勝ち筋。グリクシスはカウンターによってより柔軟な受けが可能になり同型に有利だが、土地からのダメージやタップイン増加によりサクリファイスに不利になる。
・RBゴブリン
《波の巨人、クルシアス》+《ゴブリンの流入結界》デッキ。4マナ以上を《ゴブリンの流入結界》に絞ることで《波の巨人、クルシアス》から確定サーチする。《ゴブリンの流入結界》の重ね貼りによる物量とマナ軽減能力による展開力でどんな状況からもワンショットキルを狙える。
・エスパーミッドレンジ
前環境王者にして非《波の巨人、クルシアス》デッキの筆頭。ナーフはされたが場に残れば異常なアドバンテージ能力を発揮する《運命の占者》を中心にエスパカラーのパワーカードを叩きつける。フィニッシャーはカウンター以外で触ることの難しい《ギスヤンキの戦士、ラエゼル》。しかし、《運命の占者》以外のカードがラクドス/グリクシスミッドレンジよりも弱く、頼みの《ギスヤンキの戦士、ラエゼル》も《絶望将来》に弱いなどの要因でミッドレンジ王者の座を陥落し徐々に下火に。
・《舞台座一家のお祭り騒ぎ》デッキ
前々環境で猛威を振るったクリーチャーコンボデッキだが、ナーフによりそもそものデッキの安定性が崩壊、他デッキの強化により支配率は激減。回った時の爆発力は健在だが回らなければ負けるので愛好家が使い続けるレベルの流高度。
・赤単
BO1イベントがあった為BO1で人気のある赤単が環境上にある程度存在。しかし、BO3ではサイド後の勝率確保できず、「それなりにいるが、弱い」状態。メタの変遷で徐々に《溶鉄の衝撃》が減っていたが、それでもサイドには確定で積まれてたので活躍できるフィールドではなかった。
(2)中期
各デッキの強い構成が定まるとともに、環境の要件も明確になり、デッキやカードの淘汰が加速。主な環境の定義・変遷は下記。
・《溶鉄の衝撃》に弱いデッキの淘汰
→ゴブリン・《舞台座一家のお祭り騒ぎ》・その他タフネスの低いクリーチャーを並べるデッキ
・《絶望招来》に弱いデッキ・カードの淘汰
→特定のエンチャントに頼るデッキ(ゴブリン・《舞台座一家のお祭り騒ぎ》)・エスパーミッドレンジ・PW
↓
メタが収束し始め、《波の巨人、クルシアス》系デッキ同士がお互いに有利な構成を模索し始める。
・相手3ターン目に出てくる《波の巨人、クルシアス》・《鏡割りの寓話》に干渉するため対処札の採択が洗練
→《かき消し》・《削剥》・《喉首狙い》が増え、メインボードから《溶鉄の衝撃》が減少
・《絶望招来》と《喉首狙い》に弱い《黙示録、シェオルドレッド》がメインボードから減少
・RBミッドレンジが《絶望招来》にカウンターで対処できるグリクシスにシフト、《絶望招来》に強いフィニッシャーとして《砂時計の魔女団》を採用するリストも登場
・RB系の消耗戦に強いカードとして《地底街の略取》が流行
・サクリファイスに明確に有利なデッキとしてジャンドリアニが台頭
この時期の主要なデッキは下記
・ラクドスサクリファイス
リストが洗練されて《黙示録、シェオルドレッド》がメインボードから排除、《絶望招来》に寄せた形に定まる。Mthic#1のリストが拡散されたこともあり、この形が共通認識となる。
・グリクシスミッドレンジ
様々な構成が存在するが、《黙示録、シェオルドレッド》の減少・《溶鉄の衝撃》の減少・《地底街の略取》の増加 が共通したトレンド。《波の巨人、クルシアス》デッキに対しては徹底して構えるゲームプランが確立し、軽い仕掛けとして《地底街の略取》が流行。重い上に《喉首狙い》に直撃する《黙示録、シェオルドレッド》が減少。相手の《絶望招来》への対処として《街追いの鑑定人》が空いた4マナ域に入ることもある。
・ジャンドリアニ
《波の巨人、クルシアス》+《暗黒時代の後継、ジャーシル》+《産業のタイタン》リアニパッケージを搭載したデッキ。《産業のタイタン》の置物破壊・ライフゲイン・トランプルが明確にサクリファイスに強くメタ上に浮上。《波の巨人、クルシアス》パッケージによる土台の強さと《強迫》+除去+《暗黒時代の後継、ジャーシル》によるブン周りルートもありデッキの地力も強固。《波の巨人、クルシアス》と《暗黒時代の後継、ジャーシル》に干渉された上で《絶望招来》連打されると負ける為、グリクシスが若干有利。但しメインから積まれている《強迫》と《部品の組み立て》が除去・カウンターを構える構成に強い為そこまで大きな相性差はない。
基本的には上記3デッキが微妙な相性差で睨み合うメタゲームとなったが、依然他のデッキも存在はしている状態。また、新たに下記のデッキも登場した。
・UB《時計技師、ルスコ》
《時計技師、ルスコ》を軸にしたUB系ミッドレンジ。《時計技師、ルスコ》は強いが登場が遅かった為リストの洗練が進まなかった印象。《時計技師、ルスコ》を中心とした要素がグリクシスに輸入されるケースもあり。
・《アヴェルヌスからの上昇》デッキ
序盤はクリーチャーを大量展開しビートをかけつつ、終盤は《アヴェルヌスからの上昇》による圧殺も可能な必殺技搭載アグロ。これも研究進まず大成しなかったが、ジャンドの台頭で墓地対策が増えていたこと、天敵の《黙示録、シェオルドレッド》がサイドにはそれなりにいたことから逆風状態。
(3)後期
メタが収斂し雑多なデッキがほぼ完全に駆逐される。その上で、同型を強く意識したリストが最終的に生き残った。
・第一段階
ラクドスサクリファイス・グリクシスミッドレンジ・ジャンドリアニを除くデッキが淘汰。
グリクシスミッドレンジの戦略がサクリファイスとの相性差を改善、サクリファイスに有利なジャンドも増加した為、デッキに柔軟性がないサクリファイスが立ち位置悪化し減少。
・第二段階
サクリファイス減少により優位性が損なわれたジャンドがグリクシスに駆られる側に。
・第三段階
グリクシスミラーで優位性のあるリストが最終的に勝ち残る。
グリクシスが柔軟性を発揮して勝ち残る形となった。結局《絶望招来》を中心にしたメタゲームだったが、グリクシスは「《絶望招来》をどうやって有効に使うか/使わせないか」の手段を進化させたリストが勝ち組になった。グリクシスミラーの具体的なゲーム感は次項。
❹グリクシスミッドレンジのゲーム感
主に筆者の考えるミラーのゲーム感を記述する。
・大局
最終的には《絶望招来》をより多く・有効に撃つことが勝利の直接要因となる。《砂時計の魔女団》を採用している場合、《砂時計の魔女団》の定着も決着の直接要因となる。
また、そのそこに至るプロセスとして《波の巨人、クルシアス》・《鏡割りの寓話》が占める役割が大きい。《波の巨人、クルシアス》・《鏡割りの寓話》(とゴブリントークン)が序盤〜中盤にかけて定着すると、手札の質とマナの格差が拡大して、「《絶望招来》をより多く・有効に撃つこと」に直結する、要はゴールへの直通ルートになる。
この2つのポイントを制する戦略にアプローチすることがグリクシスミラーに於いて優れたゲームプランであると考える。
・序盤戦 〜t3
相手先手t3の《波の巨人、クルシアス》・《鏡割りの寓話》に対処できないと負けてしまう為、インスタントの干渉手段を常に構える必要がある。この為、デッキ構築に以下の制約が発生する。
①《波の巨人、クルシアス》・《鏡割りの寓話》を対処できる2マナ以下かつインスタントの対処札が最低8枚
→《かき消し》・《喉首狙い》・《削剥》 が該当
②後手2ターン目に確実にアンタップインできるマナベース
→色拘束との両立性の為、3枚以上の《見捨てられた交差路》の採用が必須
自分の先手番においては2ターン目に能動アクションが可能だが、制約②のために先手t2アンタップ率低く基本的には当てにできない。後手番が構えるので先手番も《波の巨人、クルシアス》・《鏡割りの寓話》をプレイできず(プレイして対処されると返しで相手の《波の巨人、クルシアス》・《鏡割りの寓話》が出て負けに直結する)、基本的にはお互いドロゴーになる。
以上より、ソーサリー除去とt2展開を前提としたクリーチャー・置物類はあまり採用できない。尚、1マナは有効なアクションが無いため検討から除外する。
・中盤戦 t4〜t6
2マナを浮かせて除去・カウンターを構えながら/《かき消し》をケアしながら2〜4マナの能動的なアクションをできるターンを中盤戦と定義する。
基本的に中程度の脅威と対処札を交換・又は並べあったり、アドバンテージカードにより相手との質・量的リソース差をつけに行くフェーズである。
ここでカウンターを吐かせることがことができれば後の《絶望招来》が通りやすくなるし、アドバンテージ差が十分につけばカード交換の末自分だけ《波の巨人、クルシアス》や《鏡割りの寓話》が残るし、ボードを確保すれば相手のアクションを誘導できる。このフェーズの"仕掛け"が最も構築による差が出やすい部分と言える。主に下記が採用される。
①《波の巨人、クルシアス》
このフェーズにおいてもほぼマスト除去。構え合いで手に溜まった不要牌が全て有効牌に変わる為質的リソース差が開き続ける。最悪でも、自分の《波の巨人、クルシアス》も定着しなくては勝負にならない。
②《鏡割りの寓話》
ゴブリントークンに殴られない場であれば対処優先度は下がる。但し《キキジキの鏡像》に反転して《死体鑑定士》や《街追いの鑑定人》にくっつく場合は優先度跳ね上がる。
③《死体鑑定士》
これにカウンターを消費できない+出たらただの3/3なので、基本は通すしか無い。出し得ではあるが盤面への影響力は低いのでしばらく放置される。墓地利用カードや《鏡割りの寓話》と相性がいいこと、相手のゴブリントークンを止められること、《産業のタイタン》リアニに対して稀に刺さることから、デッキの潤滑油的な役割のカード。
④《地底街の略取》
仕掛けとしては軽く、かつカウンターでしか防げない為通りやすい。グリクシスは手札の質を上げることは得意だが枚数を増やすことは不得手であること、構え合いからの《絶望招来》のために土地も必要なことから、任意ディスカードでも十分な効果がある。総じて同型で優秀なカードであり、予選ウィークエンド初日開始時点に於いて対グリクシス用カードとして最も有力視され、メインボードに採用する構築も流行していた。
他、《税血の収穫者》や《黙示録、シェオルドレッド》も選択肢としては存在したが、対処の容易さとゲームプランへの寄与度の低さから予選ウィークエンド時点では少数派になっていた。
・終盤戦 t7〜
お互いに脅威と対処札を交換し合いリソースが枯れかけたところから大技の叩きつけ合いが始まる。基本的には《絶望招来》を先に 又は 多く通した方が勝つ。中盤のリソース戦の有利不利を引き継ぐが、《絶望招来》に加えて《砂時計の魔女団》を採用して飽和攻撃を仕掛ける、《感電の反復》で《絶望招来》を水増しする 等の戦略が取れる。特に、《感電の反復》はカウンターにも強くフラッシュバックによって消耗戦にも有効な非常に優れたプランで注目を集めた。
❺構築の狙い→評価
Day1、Day2それぞれについて、想定したゲームプランとそのためのカード採択・構築およびその評価を記載する。
●Day1
【環境認識】
グリクシス・ジャンド・サクリファイスが多いが、赤単の様なBO1プレイインで使用したデッキをそのまま持ち込まれることを想定
→○ 前半は雑多なクリーチャーデッキに数回当たったが、後半はサクリファイスとジャンド、又はその亜種にしか当たらなかった
【ゲームプラン】
基本はトップメタ3デッキに寄せる。
・対同型:《砂時計の魔女団》と《絶望招来》を併用することでゴールを増やす。
・対ラクドスサクリファイス:《黙示録、シェオルドレッド》と《砂時計の魔女団》のドレインモードを定着させてライフの水準を高く保ち、最終的に《砂時計の魔女団》で盤面を掌握する。
・対ジャンドリアニ:前半は《暗黒時代の後継、ジャーシル》・《波の巨人、クルシアス》を定着させないように立ち回り、中盤以降は積極的に《絶望招来》・《砂時計の魔女団》をキャストし物量差で差し切る。《産業のタイタン》素キャストには《かき消し》を当てることを意識、サイド後は墓地対策を厚めに取る。
雑多なデッキへの回答(《溶鉄の衝撃》・《黙示録、シェオルドレッド》)はメインデッキには最低限、サイドには枠をしっかり取る。(デッキの地力差があるのでメイン落としてもサイド後取り切れる想定)
→○ 基本的には狙い通りの動きで、《波の巨人、クルシアス》デッキには《砂時計の魔女団》が定着して勝つ、その他のデッキには《黙示録、シェオルドレッド》が定着して勝つことが多かった
【構築・カード採択】
グリクシスミッドレンジを使用。サクリファイスは苦手なジャンドが増えていることと構築制約でそれを克服できそうにないことから不使用。ジャンドは習熟度の問題と、やはりデッキの柔軟性の問題から断念(習熟できれば使用していた可能性あり)。
◾️メインボード
◾️対処札
《かき消し》4/《喉首狙い》4/《削剥》2/《溶鉄の衝撃》1
・序盤戦の制約①を確実にクリアする為にインスタントの対処札を10枚採用。《波の巨人、クルシアス》と《鏡割りの寓話》両方を対処する必要がある為カウンターは《否認》系ではなく《かき消し》。特に除去だと《鏡割りの寓話》の本体が残ってしまうので4枚必要と判断した。
→○ 土地事故を除いて序盤戦では確実に対処札を構えることができた。除去を警戒して《鏡割りの寓話》からキャストされる展開も多く、《かき消し》が有効に働いた。《否認》系がないので終盤戦腐ることもあったが《砂時計の魔女団》が《否認》を構える展開で強くそこまで気にならなかった。
・《溶鉄の衝撃》は対《波の巨人、クルシアス》デッキでは有効ではないが一枚なら腐ることもないこと、その他のクリーチャーデッキに対しては1枚でも引けた時のバリューが高いことからメインボードに1枚採用。
→○ 引いて困ることは基本なかった(但し肝心の対アグロでは引かなかった)
◾️中盤の仕掛け
《波の巨人、クルシアス》4/《鏡割りの寓話》4/《地底街の略取》2/《街追いの鑑定人》2/《黙示録、シェオルドレッド》2
・《波の巨人、クルシアス》4・《鏡割りの寓話》4:固定枠なので割愛。《キキジキの鏡像》とのシナジーもあり《死体鑑定士》を採用するべきだった。
・《地底街の略取》2:自由枠に同型用として採用。軽い仕掛けとして活躍を期待。
→× 同型ではいい働きをしたが、同型以外ではあまり強い働きをせず、メインボードに採用するのであれば《死体鑑定士》の方が優れている。《死体鑑定士》は3マナが膨らみすぎるのを気にして採用しなかったが、枚数を絞れば問題ない上デッキとのシナジーも強くこの枠に採用すべきだった。
・《街追いの鑑定人》2:やや重いが相手の《絶望招来》を確実に落としつつ盤面に影響力を与える役割として採用。《絶望招来》デッキは最終的に何枚《絶望招来》を通せるかが鍵なので絶対数を減らすことの価値が高いく、相手もカウンターを切らざるを得ない。また、終盤戦は《キキジキの鏡像》とのシナジーによりハーフロックをかけることも可能になる。
→○ 概ね想定通りに働き、重いので枚数も2枚がちょうど良かった。リアニとの組み合わせもよく、適当に釣ってもいいしついでに出てくる血・トークンも《砂時計の魔女団》リアニの布石や終盤リソースの引き込みに役立った。接死も《産業のタイタン》や《黙示録、シェオルドレッド》との睨み合いで有効。
・《黙示録、シェオルドレッド》2:《絶望招来》が有効ではない横並べデッキ(赤単など)に対するフィニッシャーとして採用。《喉首狙い》に弱いが、リアニがあるので通常のデッキよりは耐性あり。
→△ 想定通り赤単や非《波の巨人、クルシアス》デッキ相手には活躍した為悪くはなかったが、同じ役割を《砂時計の魔女団》でもある程度果たせること、対《波の巨人、クルシアス》デッキで4マナ枠が重いことから、1枚はサイドに落としてもよかった。
◾️大技
《絶望招来》3/《砂時計の魔女団》3
ゲームプランとして、大技の絶対数を増やすことで対《波の巨人、クルシアス》デッキに優位を取る。後述《部品の組み立て》も《砂時計の魔女団》をリアニすることで大技の数を実質水増しできる。
・《絶望招来》3:ここまでの説明と重複する為特になし。《砂時計の魔女団》、《部品の組み立て》の枚数との兼ね合いで3枚に。
→○ 結果的には《絶望招来》が欲しい場面が多く、《部品の組み立て》も噛み合いカードであることから4枚の方がよかった。
・《砂時計の魔女団》3:《波の巨人、クルシアス》デッキは基本的に単品除去しか入っていない為有効な対処手段9点クロックで速やかにゲームを決められる。《絶望招来》の返しに撃つとアドバンテージを取り返しながら盤面を形成することが可能であり、対処で相手を動かしたところを追加の《砂時計の魔女団》か《絶望招来》でとどめを指すのが理想的な動き。《波の巨人、クルシアス》相手にディスカードが特に有効、ジャンドには墓地追放も強く、押せそうな盤面ではドレイン・威迫・護法も効果的。《部品の組み立て》で何度も出す、早出しして押し切る手段もあり。
→○ 基本的に定着=ゲームセット。ロングゲームの占術も強くこちらの《砂時計の魔女団》一枚に相手は《絶望招来》2枚撃たないと釣り合わない。終盤手札が枯れかけ状態でのディスカードが特に強く、相手だけ《波の巨人、クルシアス》が腐る展開が多かった。《部品の組み立て》もかなり効果的に刺さり、相手2ターン目の《地底街の略取》で《砂時計の魔女団》を捨て3ターン目に釣り上げる動きが◎。同型以外はt3《鏡割りの寓話》or《波の巨人、クルシアス》定着することもあるので、その際は安定的にリアニすることができた。
◾️その他
・《部品の組み立て》4
大技の水増しと中盤の仕掛けとしてカウンターに強いことから採用。特に同型は《地底街の略取》の流行により《砂時計の魔女団》をディスカードすることが多い為逆手に取る動きを期待。
→◎ 《砂時計の魔女団》を釣り上げてイージーウィンの動きがかなり強く、多くのゲームをもぎ取った。想定通りの相手の《地底街の略取》との噛み合いも○。但し、どうしても噛み合いカードなので4枚は多かったこと、《砂時計の魔女団》以外の釣り先として《死体鑑定士》を入れておくべきだったことが反省点。
◾️土地
《ザンダーの居室》4/《見捨てられた交差路》3/《憑依された峰》3/《硫黄泉》4/《シヴの浅瀬》2/《難破船の湿地》4/《沼》3/《見捨てられたぬかるみ、竹沼》1/《天上都市、大田原》1
合計25
土地に関する制約は下記を想定
・後手2ターン目はアンタップイン必要(❹序盤戦制約②)なので、アンタップインランドは最低13、できれば14枚以上
・2ターン目の各種リアクションスペルを構える為、各色マナは最低12、できれば14以上
・《絶望招来》の色拘束を満足する為、黒マナの出ない土地は3枚以下
・対サクリファイス・アグロ相手にライフ水準を高く保つ為、ダメランは6枚以下
以上からマナベースを決定した。後半戦においてはルーター・宝物によりマナが供給できるのでフラッドを想定してやや少なめの枚数を設定
→△ 概ね想定した制約は満足した。但し、《波の巨人、クルシアス》・《鏡割りの寓話》がそんなに定着しないこと、《地底街の略取》で土地を切らざるを得ないことが多く、中盤土地が伸び悩むことが多かった為、もう一枚多く土地を取るべきだった。
◾️サイドボード
・《溶鉄の衝撃》3
雑多なクリーチャーデッキに当たった場合の安全弁。ラクドスサクリファイスにも《血の芸術家》を効率的に処理する為に一枚だけサイドイン。
→○ クリーチャーデッキ相手の序盤戦が非常に楽になり、《黙示録、シェオルドレッド》や《砂時計の魔女団》の定着まで盤面を持たせることが簡単に。ラクドスサクリファイスの《血の芸術家》や《税血の収穫者》を処理するのも非常に楽だった。
・《兄弟仲の終焉》1
雑多なアグロデッキに対する安全弁その2+サクリファイスの《鬼流の金床》に対する回答。
→× 自分のクリーチャーもタフネス3が多いので取り回しが非常に悪く、そもそも除去は《溶鉄の衝撃》で足りていた。アーティファクトを対処するのも《削剥》の方が小回りが効き優れていた。
・《ギックスの命令》1
対サクリファイス専用枠。細かい横並びを一掃しながらライフリンクでライフ水準を高く保つカード。事前調整で《鬼流の金床》トークンを流す手段とライフを回復する手段がデッキに一枚は欲しいことがわかり採用。
→- 予選ウィークエンド本番ではサクリファイス相手に引き込まず確認できなかった。
・《ファイレクシアの肉体喰らい》1
対サクリファイス専用枠その2。ライフ水準を高く保てること、主な除去である《喉首狙い》で落ちないこと、《鬼流の金床》を用いたブロック→サクリファイスでいなされないこと、を要件にしたときに合致した為採用。但し、事前調整であまり試せておらず本当に有効かは不明。
→- 予選ウィークエンド本番ではサクリファイス相手に引き込まず確認できなかった。
・《黙示録、シェオルドレッド》1
雑多なクリーチャー等、《絶望招来》があまり刺さらない相手に入れ替える枠。メインサイドで合計3枚必要と判断。サクリファイス相手にもライフを維持する目的でサイドインする。《黙示録、シェオルドレッド》が重要なマッチアップでは《部品の組み立て》も駆使してひたすら叩きつけ続ける。
→○ 《絶望招来》の効きが悪い相手には覿面に効果あり。3枚/75の採用は適切と感じた。
・《守秘義務》1
クリーチャー以外の脅威が多いサクリファイスにサイドインする。他、青黒系コントロールやコンボにマッチアップした場合もサイドイン。グリクシスミラー・ジャンドはクリーチャーが強く裏目が多い為サイドインしない。
→- 予選ウィークエンドでは使用しなかった為不明。グリクシスミラーで欲しい状況も確かにあったが、必須レベルとは感じなかった。
・《未認可霊柩車》2
主にジャンド用ハード墓地対策。ジャンドのリアニ・《暗黒時代の後継、ジャーシル》によるイージーウィンを封じる為に墓地対策が3枚必要と判断、墓地対策としての信頼性・性能はかなり高いが重ね引きのリスクを考え2枚に。
→○ 想定通りの働き。但しジャンド側も《豪火を放て》や《産業のタイタン》素キャスト、《強迫》によって対処できる為、あくまで中盤戦までの安全弁としての役割。
・《夜に歌う神の信奉者、ヴィコニア》1
3枚目の墓地対策。信頼性は《未認可霊柩車》ほどではないが、場に残った時のバリューが高い為採用。ジャンド以外に墓地利用するが墓地対策専用カードを取るほどでもない相手にはサイドイン可能。
→△ 決して悪くはなかったがやはり墓地対策としては中途半端で、専門化もなかなかできない。悪いと言うほどではないが、他にいい選択肢が有れば変えても良い枠。
・《眼識の収集》2
対グリクシスミラー用サイド。序盤〜中盤戦で構え合う都合上、インスタントの能動アクションがあれば動きやすいと考え採用。本来パスになる2-3ターン目でアドバンテージを取れ上、中盤戦に浮かしたマナから唱えられるのでアクション数が水増しでき、リソースゲームで優位に立てる。また、フラッシュバックにより相手の《地底街の略取》の影響を軽減することも可能。
→◎ 2〜4ターン目で一方的に手が整えられる為ゲームプランの構築がしやすくなり、事故も低減。中盤戦の肝となった。
・《剃刀鞭の靭帯改造機》2
対グリクシスミラー専用枠。ミラーでは《黙示録、シェオルドレッド》が抜ける・追放除去が採用されない・5ターン目以降はほぼ確実に特殊地形が4枚並ぶ為、除去でもブロッカーでも基本的には止める手段がなく、そのままフィニッシュすることも可能。《絶望招来》撃たれても盤面への損害が無く、《かき消し》の生け贄に当てても良い。《地底街の略取》のディスカードを逆手に取っても強いが4ターン目にポンだししても問題ない。スタンのグリクシスのサイドプランから輸入。
→◎ 中盤の仕掛けの追加として採用したがそのままフィニッシャーになってくれることもあり、完全にミラーのキラーカード。《死体鑑定士》に追放されないように注意する必要はあるが、中盤以降は2マナ立っていれば避けられるのでそんなに気にならない。
【Day1総括】
環境認識及び各マッチアップへの対応も概ね正確にできており〇。土地が一枚少ないこと、《死体鑑定士》を採用できなかった部分は調整不足だった(これは二日目も同様)。事前調整によりデッキの強弱をある程度理解できていた部分が大きい。自分の好みのデッキを使っているときはどうしてもひいき目な判断をしてしまい判断が鈍るので、今回は特に思い入れのないミッドレンジを使ったことがプラスに働いたと考える。
●Day2
【環境認識】
雑多なデッキは駆逐され、グリクシス・ジャンド・サクリファイスの3強に集約される。その中でもジャンドに明確な不利がつくサクリファイスの数が比較的少なく、対グリクシスミラー・対ジャンドリアニが主になる。
→△ 雑多なデッキが駆逐されたことは間違いないが、予想よりもグリクシスミラーの比率がはるかに高かった。実際、全6戦中5戦がグリクシスミラー、1戦がラクドスミッドレンジの為全て同型だった。他参加者の情報を見ると次点がジャンドだったようで予想は大きく外していないが、対戦経験の少なさからグリクシス×ジャンドの相性差を正確に判断できていなかった。
【ゲームプラン】
基本的にはDay1踏襲だが、完全に3デッキに構築を寄せる。特にメインボードは同型・ジャンドを強く意識する。初日の反省を生かしてメインボードを最適化
・《溶鉄の衝撃》《兄弟仲の終焉》の排除しサイドボードをアジャスト
→〇 クリーチャーデッキが全くいなかったので対クリーチャーデッキ用の枠を空けて特化したカードを採用することは正解だった。
【構築・カード採択】
◾️メインボード
◾️対処札
《強迫》1/《かき消し》4/《喉首狙い》4/《削剥》2
《溶鉄の衝撃》→《強迫》に変更。溶鉄の衝撃は抜きたいが、サイドのカードを昇格させるには尖りすぎていると考え比較的丸く刺さった時の効果が大きい《強迫》を選択。
→× そもそも《守秘義務》をサイドに落としている以上、《強迫》がメインで丸いという理屈がおかしい。明らかに調整不足だった。この枠は《死体鑑定士》か《沼》が適切だった。その他の部分は初日と同じく効果的に作用した。
◾️中盤の仕掛け
《夜に歌う神の信奉者、ヴィコニア》1/《波の巨人、クルシアス》4/《鏡割りの寓話》4/《眼識の収集》2/《街追いの鑑定人》2/《黙示録、シェオルドレッド》1
・《地底街の略取》2→0、《眼識の収集》0→2
初日の感触でミラーでは《眼識の収集》が極めて優れていることがわかっていた為同じ枠の《地底街の略取》と入れ替える形でメインに昇格。
→◎ ミラーマッチ多発の中で極めて有効に作用した。但し、対戦相手も《眼識の収集》をメインに取っていることが多く、この枠では差がつかなかった。人によっては4枚取っているものもあり、Day2でグリクシスを使用しているレベルのプレイヤーにとっては共通認識だったと思われる。
・《夜に歌う神の信奉者、ヴィコニア》0→1
対ジャンド用にメインから積める墓地対策として採用。対同型でも《死体鑑定士》を無力化したり専門化によってアドバンテージを取る等無駄にはならないと判断。
→× そもそもジャンドに当たらなかったが、ミラーでも無駄にならないという認識が甘かった。しばらく放置されたのち専門化のタイミングで簡単に対処されてしまう為、盤面への影響力がほとんど無かった。
・《黙示録、シェオルドレッド》2→1
初日の反省を生かし、一枚をサイドに移行。
◾️大技
《絶望招来》4/《砂時計の魔女団》3
・《絶望招来》3→4
初日の反省を生かし《絶望招来》を追加。
◾️その他
《部品の組み立て》3
・《部品の組み立て》4→3
初日の反省を生かし《絶望招来》とスイッチ。
→△ 根本的にミラーで《部品の組み立て》が仕掛けとして強いのは変わっていないが、対戦相手が《地底街の略取》を抜いて《眼識の収集》を採用したことで友情コンボによる早期リアニが難しいことは認識できていなかった。認識できていれば、《死体鑑定士》などで能動的に《砂時計の魔女団》を墓地に落とすプランも検討できたはずである。
◾️土地
《ザンダーの居室》4/《見捨てられた交差路》3/《憑依された峰》3/《硫黄泉》4/《シヴの浅瀬》2/《難破船の湿地》4/《沼》3/《見捨てられたぬかるみ、竹沼》1/《天上都市、大田原》1
初日と同じ。
◾️サイドボード
・《削剥》1
《溶鉄の衝動》を抜いたので、よりラクドスサクリファイスに特化した除去をサイドに追加。
→- ラクドスサクリファイスとマッチアップしなかったため使用無し。
・《守秘義務》1
初日と変わりなし。
→- ラクドスサクリファイスとマッチアップしなかったため使用無し。但し、グリクシス同型でメインから複数枚《守秘義務》を採用している相手と何度か当たった。同型相手にサイドインすべきかは検討の余地があったかもしれない。
・《黙示録、シェオルドレッド》2
ラクドスサクリファイスには3/75枚必要という判断から、メインから外した分をサイドに移行。
→- ラクドスサクリファイスとマッチアップしなかったため使用無し。
・《ギックスの命令》2
《溶鉄の衝撃》《兄弟仲の終焉》を抜いたので、対サクリファイス用の全体除去として1枚追加。
→- ラクドスサクリファイスとマッチアップしなかったため使用無し。
・《ファイレクシアの肉体喰らい》1
初日と変わりなし。
→- ラクドスサクリファイスとマッチアップしなかったため使用無し。
・《鋼と油の夢》2
対ジャンド用専用サイド。序盤の《波の巨人、クルシアス》《暗黒時代の後継、ジャーシル》を巡る攻防、終盤の《産業のタイタン》及び《部品の組み立て》という相手の勝ち筋すべてに対して有効なため追加。
→- ジャンドとマッチアップしなかったため使用無し。
・《未認可霊柩車》2
初日と同じ。
→- ジャンドとマッチアップしなかったため使用無し。
・《地底街の略取》2
《眼識の収集》とスイッチする形でサイドに。基本はミラーマッチ用カード。
→× ミラーマッチでは《眼識の収集》の方が優れていると判断してメイン昇格させたのに、サイドには《眼識の収集》ではなく《地底街の略取》が残っているのが論理的におかしい。明らかに調整時間不足によってデッキの精度が低い部分。論理だてて構築できていればこの枠を《眼識の収集》に変えることはできたはず。また、相手も《眼識の収集》を採用しているのなら明らかにバッドチョイス。
・《剃刀鞭の人体改造機》2
初日と同じ。
→◎ 初日と同じく、対同型で大活躍した。
【Day2総括】
大枠の方針はあっていたものの、時間不足による調整精度の粗さが目立った。少なくとも、メインの《強迫》を《沼》に、サイドの《地底街の略取》を《眼識の収集》に変えることはできたはずである。また、Day2の対戦相手は明らかにDay1以前の標準的な構築に対して優位なリストを持ち込んでおり、レベルの差があることを認識した。今後は「自分が考える程度のことはDay2の相手も考えている」と考えて臨むべきであると感じた。また、《感電の反復》+《絶望招来》のような新しいアプローチもあり、小手先のサイドプランを準備するだけでは対応できないことも理解した。
その上で、今回の主戦略である「《絶望招来》に追加して《砂時計の魔女団》と《部品の組み立て》でゴールを増やすことで同型に差をつける」ことは非常に有効に作用し、運次第では勝ち抜ける可能性もある良いリストに仕上げることができたと考える。
しっかりと振り返り、次回以降狙って勝ち抜けるように要因を整理することが肝要である。
以上
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