私の好きなカバーソング(77)「Many Rivers to Cross(遥かなる河)」ジミー・クリフ、UB40、小坂忠
前回の「バビロンの河」関連をもうひとつ。ジャマイカのレゲエ歌手ジミー・クリフ(1948-)が書き1969年に録音、1972年に主演した映画「ザ・ハーダー・ゼイ・カム」のサントラに収録されてます。私は後にこのサントラを聴きこの曲を知りました。
まだレゲエというジャンルが確立されてない時代、若くしてジャマイカで成功し1960年代に意気揚々と英国に渡ったクリフですが、なかなかうまくいかず希望がしぼんでゆく経験から生まれた曲ということです。
”渡る川はたくさんあるけれど 自分の渡るべき河はどこ?”
”ひとりで生きていくのがつらい いったいどこから始めればいいのか”
”恐ろしい罪を犯してしまおうと 思ったこともある”
といった悲壮感あふれる歌詞があり、英国で自暴自棄になり苦悩を率直に歌った曲のようです。バックのオルガンがいい味を出してます。
UB40は英国のレゲエ・ポップバンドで、1983年のアルバムでこの曲をカバーしてます。UKにはポリスやクラッシュもいて、レゲエに親和性のあるバンドが多いですね。UB40はプレスリーの「好きにならずにいられない」もカバーし、映画のテーマに使われ英米で大ヒットしてます。
小坂忠さん(1948-2022)はソウル・ゴスペルシンガーでソングライターで牧師でもあるということです。2023年リリースの最後のアルバムにこの曲のライブバージョンがあります。魂がこもっていて鬼気迫ります。ここでもオルガンが活躍します。