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私の好きなカバーソング(121)「I Got It Bad(and That Ain't Good)」デューク・エリントン、キース・ジャレット、ニーナ・シモン、ダイアン・リーヴス、ジミー・スコット

デューク・エリントン、もうひとついきます。1941年にミュージカルのために書いた曲で、作詞はポール・フランシス・ウェブスターという方です。
”got it bad"は”夢中になる”という意味で、”自分が彼を愛するほどには彼は自分を愛してくれない・・・あなたにのぼせあがった私が悪いのよね”と嘆く女性の歌です。1966年のデュークエリントン楽団です。

この曲を初めて聴いたのは至高のピアニスト、キースジャレットさんのソロアルバム「The Melody At Night, With You」(1999)です。キースは1996年秋に突然何もできなくなり「慢性疲労症候群」と診断され、回復の過程で妻への感謝を込めて自身のスタジオで録音を重ねたアルバムとされてます。キースはソロピアノのアルバムはライブでの即興演奏が主ですが、このアルバムはスタンダード曲中心のスタジオ録音です。

キースの演奏ではソロでもトリオでも演奏中に曲調が変わっていくのはよくあって、この曲では途中からフォークソングやゴスペルを帯びた演奏になっていくのがスリリングです。激しいアドリブはなく、メロディーを慈しむような演奏に終始します。“沁みる”とか”癒される”という言い方は近年すごく使われますが、まさにこのアルバムのためにある表現と思います。奥さまへの愛と感謝の気持ちがアルバム全体に染み渡ってますね。

女性ボーカルものも多いですが、好みのものを2つ。
ニーナ・シモンさんの1962年版です。説得力抜群のド迫力です。

ダイアン・リーヴスさんの1987年版です。フリューゲルホルンはジャズトランペットのレジェンド、フレディ・ハバードさんです。

渋すぎ男性ボーカルをひとつ、ジミー・スコットさん、2001年のアルバムからです。


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