私の好きなカバーソング(99)「I Remember Clifford(クリフォードの想い出)」ベニー・ゴルソンさん追悼、キース・ジャレット、リー・モーガン、ヘレン・メリル
9月21日、ジャズサックス奏者・作曲家のベニー・ゴルソンさんが95歳で天寿を全うされました。ベニーゴルソンさんは私にとってはサックス奏者というより偉大な作曲家でした。
1956年に交通事故で急逝したクリフォード・ブラウンさん(享年25歳)の記憶を後世に伝えようと、バンド仲間で友人のゴルソンさんが1957年にこの曲を書いてます。
この曲を知ったのはキース・ジャレットのスタンダーズトリオの「Still Live(邦題:枯葉)」(1986)です。CD2枚組のラスト曲で、インプロビゼーションを抑えた静謐な美しい演奏です。↓はミュンヘンでのライブです。
ベニーゴルソンは1957年に当時19歳の新進気鋭のトランペッター、リー・モーガンさん(1938-72)のアルバムに参加しこの曲の演奏を促し、結果高い評価を得たということです。キース版もですが、追悼の意を込めストレートに演奏されてます。
残念なことにリーモーガンも33歳の若さで亡くなっています。
ベニーゴルソンさんご本人の1960年録音の作品です。ここでのトランペットはアート・ファーマーさんです。
ヘレン・メリルさん(1929-)は米国の女性ジャズ歌手、ハスキーな声で「ニューヨークのため息」の異名を持ちます。クリフォードブラウンと共演した超名盤があり、収録されてる「Falling in love with love」は以前ここで紹介してます。
↓はヘレンメリルが1994年にリリースしたアルバム「邦題:ブラウニー〜クリフォード・ブラウンに捧げる」に収録されてます。ここでのトランペットはロイ・ハーグローブ、ピアノは名手ケニー・バロンです。
歌詞はゴルソンさん作ではないですが、「無冠の帝王」ということばでクリフォードブラウンを評し、とても率直にブラウンさんの音の素晴らしさを讃え、どの曲でも彼のトランペットには独自の美がある、そして間違いなくこれからもクリフォードは私の中で生き続ける、というものです。「無冠の帝王」とは王様の力を持つのに栄冠を手にする前に去ってしまった、という意味になるようです。