ライフイズストレンジをクリアできなかった(ゲーム感想)
ゲーム自体は最終章の悪夢(後述)で投げた。
「不満点もあったけど総合的に好きなゲーム」という評価をする気で遊んでいたのに、投げてしまったばかりに「ただただ不満点があるゲーム」になったため、感想を書くのは控えようと考えていたが、想像以上に筆が乗ったので書いた。
つまり、完走できなかった半端者が動画を見て書いたテキストなので、そういうのを好まない人は、ここで筆者を軽蔑し、めちゃくちゃに文句を吐き出し、帰るべきだ。
そうでない人はぜひ読んでください。
好ましかったところ
・主人公:マックスの感性
マックスの言葉が瑞々しくて非常によかった。素直で芸術家肌。他人に攻撃的なネイサンやビクトリアに悪い印象を持っているが、それはそうと才能は認めている。
そんな好感を持てる人物の視点で物語を眺めていくのは楽しかった。写真家であることがゲーム的な探索要素を支えているのもいい。
彼女の感性のおかげで、ストーリーにのめりこむことができた。
・会話の分岐と巻き戻し
ADVではどうせいろいろな選択肢をセーブ&ロードで試しがちなので、プリセットでその機能が備わっているのはよかった。身体に負担がかかっている描写があったため中盤以降心理的に巻き戻せなかったが、別にゲーム的な支障はなかったらしい。
巻き戻しを活かしたギミックもよく、パズル要素は特に楽しめた。パイプ爆弾やスプリンクラー感電の件が好き。推理要素も好き。
・正解のない選択肢
重要と思われる選択をした際は、マックスは必ず「ああした方がよかったんじゃないか…」と後悔をする。どちらの選択肢を選んでもする。これがプレイヤーを悩ませ「自分だけの選択」をしているモチベーションとなった。
・ウォーレンの存在
初手ネクロマンティックとかいう最強の掴み。……ネクロマンティック!!?
インパクトがすごすぎる。内容が内容なので普通に交際しているのかと思っていた。好きな女の子に勧める映画ラインナップじゃねーだろ。
好ましくなかったところ
・みんないい子のぬるい世界
みんな聞き分けがよく、世界はとてもやさしい。いじわるそうな子もすぐ更生する。最初印象の悪いキャラクターも「憎めない」どころか「かわいそう」「本当はいい子」まで評価を上げてくる。当初は生徒キャラは全員「根はいい子なんですー」をやるのか?と思ったが、黒幕以外の全キャラクターがこれだった。この人間のやさしさにあふれた世界が非常に嘘っぽくて嫌だった。
・プライバシーを覗くことへの抵抗
くまなく調べられればより世界を楽しめるのだろうが、物語上調査が必要だったり、友人の家に遊びに来ているような場合を除き、部屋の中をじっくり探索することが心理上難しかった。マックスはそんなことしない。ここが肌に合わなかった。
・八方美人マックス
日常ヒーローコンテストが主軸に置かれていることもあり、テーマでもあるのだろうが、マックスはすべての人にいい顔をしようとしすぎだと感じた。
また、浅慮さを感じる描写もあり、例えばビクトリアをどかしたいだけなのにペンキをかけるシーンなどはその手法自体もアレだが、サミュエルの負担を想像してしまう。やったね!じゃあないんだよ。
・画面酔いが発生しやすい
視点の位置の悪さに加えて、カメラそのものに妙な慣性があり、酔う人はかなり酔うと思う。廃品置場での探索はかなり危険だった。※カメラの癖はBtSがさらに酷い。
・クロエを好きになれなかった
クロエのことが好きになれないとこのゲームはかなり厳しいのだが、感情的な面や聞き分けの悪さ、無神経さを好きになれなかった。
似たような立ち位置のキャラだとシュタゲのまゆりも苦手だが、あちらは主人公が全てを懸けて守ることに説得力がある一方、5年間放置したかつての親友はマックス目線に立ってもノりきれない。
アメリカの青春ひとつしかない説
プレイ中、筆者の好きなゲームである「ナイトインザウッズ」が常にフラッシュバックし、「アメリカの学生がエモいと思うものってワンパターンなのか…?」と考えさせられた。
2作品まとめての批判として「倫理観が受け入れられない」というものを聞いたことがあるが、青春行為ヅラして行われる犯罪の数々についてけなさを感じるかもしれない。アナーキーなメイはともかく、マックスが一部の軽犯罪に抵抗がないの、マジで海外の人は感性が違うんだな…と思う。
(BtSも含め)主人公が田舎に帰ってきたところから始まり、主人公の絵日記、線路に寝転んで危険な思いをする、行方不明のあの人は犯罪に巻き込まれ死んでいた、意味深な用務員、世界の終わりにクラブで踊る、不良少女が無理やり劇に出演、ホームレスは真実をとらえている、森の鹿が神聖な存在である、「鳥、死ス」、バットで破壊してスッキリ、扱っているテーマもゲーム性も違うはずなのに、シーンで見ると既視感のあるものが多い。
プレイ中何度も「ナイトインザウッズか?」と思う羽目になった。信仰に厚いケイトさんとか…(これが一番面白かった)。
筆者はヒューマンドラマを好まない一方でナイトインザウッズのことが大好きだったが、アメリカの青春を扱った作品を遊べば遊ぶほどもしかしてテンプレがあるのか…?となるのかもしれない。
この選択肢に意味はあるのか?
最初にあれ?と思ったのはあらすじムービーが重要な選択部分を避けた作りになっていたのが気になった時。このムービーは共通であり、つまりこのゲームの選択肢は些細な影響しかないのでは?と直感した。調べたらサブキャラの生死に関わると判明し、認識を改めた。
ケイトの自殺を止めるあたりは慎重に選択肢を選んでおり、父からの手紙を読んでいたことに喜び、聖書の引用なんて知らねえ~!と焦った。テイラーの見た目が好きだったので、彼女と仲良くなれて非常にうれしかった……のだが、カオス理論でタイムリープを行い、世界の再構築が行われたことで、個人的にまじめに選択肢を選ぶ気力を失ってしまった。
(非常にあさましい感想で恐縮だが、ウォーレンが他人行儀になっていることで萎えてしまった)
世界の同一性が保証されていないのに真剣に選択肢を選ぶ意味がない。シナリオ上、過去を修正してもクロエが事故に遭った世界線以外はほぼ同一世界であり、選択は重要であることは分かっているのだが、それを信頼しきれずどこか投げやりな気分になってしまう。
マックスの選択は局所的にはうれしいこともあったが、エンディングまで到達して、マクロな観点で見ると「期待していたより虚しいゲームだった」と感じた。というか「全員死ぬor全員やり直しだから道中の選択肢はすべて意味がない」は剛腕すぎる。
悪夢前半は最高の体験だった
最終盤で突入した悪夢パートは非常に気持ち悪く、興奮した。このゲームで表現できることのすべてを感じた最高のゲーム体験だった。
まず日記がおかしいことに気付き、親友・犬・死んだ人・数日後に死ぬ人・意味深用務員というメールの送り主のラインナップで感心する。
そしてジェファソン先生への「マックスが絶対に言わない4択」に被せるような「こんなこと言うわけない…」というマックスのモノローグ。
こういう今までのシステムを逆手に取った演出は非常に好み(かま夜2の妄想篇のスプーンエンド)
そして教室を出た後の、逆行する世界!巻き戻し再生される人々、会話、逆再生の音楽、システムテキストも反転、メールの文字すらも!
ここが最高で「このゲームはお気に入りのゲーム棚行きだ」と確信した。その直後に詰んだけど。
「時間遡行者から見た世界が逆回しである(あるいはその逆)」という演出がBraid以降大好きなのだが、まさにその作中の「ティムのような人は、一般的な街の人たちとは反対の生き方をしているらしい。寄せる波と返す波が、お互いにぶつかり合っている」というテキストを思い出す。
好き勝手に時間旅行をするマックスに、「逆行する干渉できない世界」が、悪夢という形でのしかかってくるのだ。
悪夢後半は悪夢の体験だった
そしてそんな昂揚感はステルスゲームが突如始まり、すべてが終わった。
目的の分からなさ、視界の悪さ、視界の暗さ、カメラの悪さ、ルールの説明のなさ…多重のストレスに襲われながら、まあ灯台を目指すんだろ…となんとか進めたが、第2幕で猛威を振るったビン集めが多重ストレスの中帰ってきて、やがてエンディングへの期待をゲームへのストレスが上回り…終わった。
救済措置なしでこの難易度はキツイ。手探りで気持ち悪いセリフを延々聞かされる中、暗闇を泥船で進むような時間操作を強要される。
これほんとうに凶悪で、そもそも2幕のビン集めにすら悲鳴が上がっていたのに、ストレスてんこ盛りで帰ってくるのか。ここまでぼんやりとプレイできたゲームで、まさか難易度で挫折するとは思わなかった。
このパートの意味の分からなさも苛立ちの一因となっており、プールでのステルスがマックスにとっての悪夢として再構築されるのはわかるが、ビンを5本集めることには何の物語的意味付けも、トラウマとしての説得力もないだろ!と思ってしまう。いやまさにプレイヤーにとってはトラウマだし正しく悪夢なんだけど…。
このビン集めに何の意味があるんだよ!!!!
好きだけど嫌いなエンディング
Twitterで語ったので整形しながら貼り付けます(このツイート群がこの記事を書くきっかけだった)
「あなたのやってきた努力はすべて無駄ですよ」と突きつけられるエンディングが好きなんだけど、ライフイズストレンジのあの生ぬるい世界観の中で突如それが出てくるのは予想外で 好きさと 嫌だな…が混ざっている
クロエの命を助けるために時間を巻き戻したことで世界に歪みが生じて 全てがクロエを殺すように動き それを訂正するために動物たちが死に気象異常が起き竜巻で町の人間はすべて死に絶えたが あの時に遡ってクロエを見殺しにしていれば それらは発生しなかったし 事件の黒幕は突き止められていたってやつ(あなたの努力は全て無駄だった)
クロエを撃ったネイサンがしょっぴかれ、レイチェルの死体が発見され、暗室の主犯であるジェファソン先生が暴かれる。そりゃ突然そうなるよな…って感じで、じゃあクロエを生存させて危険な探偵ごっこに身を投じた数日間は何だったんだ…って
マックスはとにかく目の前の人を助けようとする性質上クロエを助けて街を見殺しにすることを選びそうなんだけど それは別に「他の何よりもクロエを好きだから」ではないよな、と思った。
クロエと生きることを選んだけど全く明るいシーンがなく、人が死に絶えたアルカディアベイを無表情の二人が言葉も交わさず車で移動していくエピローグは好みのシーンだった、ので評価の難しいゲーム。
街を犠牲にすると二人ともこれでよかったんだろうか…みたいな雰囲気を醸してて好き。「世界を捨てて選んだはずの愛が、結局世界を捨てたことが気がかりすぎてまったくもりあがらない」みたいなエンディングが超好き。
クロエ犠牲の方が%が高いの、あるべきものを元の状態に戻す方が正しいと感じた人も多いんだろうけど 一定数はそもそもクロエに助けるほどの価値を感じなかったんじゃないかな。
BtSもやったよ(雑感)
・こちらのクロエはダウナーで落ち着いており好みだった
・クロエの人となりをある程度知っているので「クロエならこうするだろうな…」という目線で動けて、それはそれで楽しかった
→例えばクロエがデイビッドを受け入れるわけないだろと思うし、クロエは自分が当事者ならどんなつらい真実でも隠すと怒るだろうなと思った
・TRPGをやるパートが楽しかった
・トークバトルが割と好き
・レイチェルの評判が悪いらしいが、ゲーム内ではさほど好きでも嫌いでもなかった。でもこっからフランクと交際すること、交際をクロエに隠すことは全然わからんし、そりゃ未来のクロエも取り乱すよな…。
・ビクトリアがめちゃくちゃ可愛かった(クロエの嘘信じてたりトイレの落書き見てぽかんとしてたり)筋弛緩剤盛るくだりは一線超えててちょっと…になった
・男であるが故にまともな精神病の治療を行えない男が好きなのでネイサンは本当に可愛かった
・LiSの設定資料集を読んでるような楽しさはあったが、嵐の襲来のような劇的な展開や巻き戻し能力等がないとゲームとしてはつまらないな…と感じた
・ラストが最悪
・父親の事故こんなタイミングだったのか…
My選択コレクション
ケイトは後々のために証拠写真を押さえたかったが、非難されたのがショックだったのでその場で庇った。
そもそも気付かないと対応しないので「××しなかった」は高くなりがち。署名はネイサンの凶行を見て「この学校には監視カメラが必要だろ…」と思ったので。
ジェファソン先生、最初から胡散臭かったので淫行教師だと思って警戒してたけど本物はその上を行っていた。ただジェファソン先生を責めたのは他二人を刺激したくなかったのが理由として大きい。一番直前にケイトに会った人だし。
ここら辺 プライバシーとの葛藤が見える
クロエの気持ちもわからなくは無いが、5年ぶりにあったかつての親友に頼むことでも無いし、巻き戻せるとはいえそんなことしたくないし、普通に罪に問われるし、殺せないなーと思った。
どうでも良いけど寝たきりでないクロエを見た時のマックスの「本物のクロエ」がめちゃくちゃ嫌い。
ダニエルはパーティに誘ってあげるべき
コメントが特にないな…
ビクトリアが主演やるパターンがあると知って面白いな!と思った
クロエの性格は知っている(つもり)ので、よほど興味が湧いた時以外は「こっちの方がクロエっぽいかな…」を選んだ。クロエは隠し事されるの嫌いじゃない?と思い真実を話したが、ここがきっちり二分されてるのはなんかすごい。なのでデイビッドとわかり合おうとしてる人が多数派なのは妙な感じ。TRPGやりたかった!!
母親に会わせるにはどうすれば良かったのか。説得失敗したのかな…。
エリオットがああいう味付けだったのは、ウォーレンの立ち位置を間違えた自覚があったのでわかりやすくしたのかと思った(悪夢にウォーレンがいたの、もしかして彼をボーイフレンド/執拗に付き纏ってくる嫌な男の2軸で描いていたのか!?と驚いた)。それかウォーレンがいい奴だったので似たような立場の奴を凶悪にするトラップか。
そんな感じ。お読みいただきありがとうございました!