今更「Inscryption」の感想を書く意味があるというのか
ないと思う
◆はじめに
Inscryptionは2021年10月にPCプラットフォームで発売されたゲーム※で、薄暗い不気味な小屋を舞台にした「ローグライトカードゲーム×脱出パズル」だ。※今はSwitchやPSで遊ぶことができる。
つまり何が言いたいか?もうほとんどのゲーマーはプレイ済みだろうということだ。
もしこのnoteを読んでいるがまだプレイしていない人がいるとしたら、まずはとにかくクリアしてほしい。10~15時間程度あればエンドロールを見ることができるだろう。もちろんローグライクなのでクリア後もたっぷり遊べる。カードゲームが好きならより楽しめると思うが、カード文化になじみがなくとも、説明が丁寧で、要素の解放が段階的なので学びながら遊ぶことができる。
以下は既プレイ者向けの文章になる。記事を書くのも今更なので、備忘録もかねてよかった記事とかを紹介したいと思う。有益な情報へのリンクは多分にあるが、記事自体は有益ではない 変な記事になる。
以下ネタバレを含む
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◆はじめに2
Inscryptionはジャンルを見る限り万人向けとは思えないが全ゲーマーにやってもらいたいすごいゲームだ。謎のYouTuberの開封動画が急に始まるゲームとか絶対面白いのにネタバレ回避のためにそういう勧め方ができないのが心苦しい。
PC版クリア済、MODはやってなかった。Switch版を放置していたがFTLを遊ぶ際にローグライク繋がりでInscryptionの動画を流していたらMOD含めてやりたくなったのでやった。
筆者はカードゲーム・ローグライク・パズル・メタフィクション、そしてカマキリが大好きなゲーマーなので、このゲームをかなり高純度で楽しめた。
ゲーマーは初めて体験したメタフィクションを親だと思い込む習性をもつが、筆者にとってのそれは「moon(PS)」だったため、グリモラがデータの削除に解放を求め、ゲームの発売中止を思わせるエンディングには胸打たれた※。
暗号解読は壮絶を極めており、実際に行われたことの解説を読むだけで「すごいゲームに触れてしまった…」という気分を味わうことができる。
光るオブジェクトを封じ込めた箱の明滅がモールス信号になっているとか気付いた人はすごい。
◆攻略面
攻略サイトでACT2のオススメ初期デッキは「技術」だと紹介されていたが、最初に拡張できるのは骨か獣なのでそのどちらかを選んだほうがいいし、個人的には骨取って高コスト抜いてアグロを組むのが強いと思う(ノーコス1/1の骸骨が最初から大量に手に入るのがうれしい)。
というかこのゲームは速攻が強いので長期戦になる技術は上級者向けのデッキタイプなのではないか。
筆者はこのデッキを完成度の高い美しいデッキだと思ってる(が罠猟師には負けまくった/事故防止にギャンブルボットとかも採用してた)。
というかデッキ構築が楽しい!ので拡張されたACT2を遊びたい。カードコンプリートする頃には対戦相手がいなくなってしまう。
とか言ってたらセリフ回収中に事故ったのでやっぱり強くないかもしれない。
ACT3のオリカ作りも楽しい。1SPのカードから作って1SP余った、0SPから作れる邪悪カードだ。エナジーを気にすることなくカードが出せるしACT3でウロボット育成が出来る。
このカードの害悪っぷりには自信があるので、クソカードコンテストがあったら優勝を狙いたい。動画で他人のクソカードを見るのも楽しい。
◆好きなあれこれ
【好きな演出】
・プレイ中にラッキーカーダーが喋ってくるやつ
→基本的に口が悪いので好き
・レシーのピックでバグカードが出たとき
→明らかに異質なので好き、イジラックも好き
・ボットピア4ボスの役割りの種明かし
→このゲームで一番ゾクゾクした
・グリモラの最後のボス戦演出
→実際に遊んでみたいな…と思わせる演出力がある
【好きなカード】
・マンティスゴッド
どうあっても最強だしどうあっても好きになるしかない、ラッキーカーダーもそう言っている。
攻撃力3が2コスの強い方の数値という事実、焚火で1鍛えれば1枚で先行キルに届く手軽さ、印の効果が3方向に乗る無法さ…すべてがすごい。コストが軽いため死んでも仕事はしたと割り切れるのでいい。
意図して作られた強カードはカッコイイ。
・ロングエルク
レアカードから選んだ後手札に引いた時・実際に使用した時の「!?」とイラストのおどろおどろしさが好き、イラアド最強。
スプリンターはあまり好きではないがタッチオブデスとスプリンターの印は噛み合っており、総じてコストとスペックのバランスが好き
・ハチ
ノーコス1/1飛行というスペックの偉さとハチの巣の印が乗るという無法さが好き。
顔の可愛さが好きなのだがヤモリもリスもウサギも可愛いのでノーコスとはつまり顔の可愛さなのかもしれない。
・ギャンブルボット
スロットのコストが低く、引き直しと固定ができる、もはやギャンブルでも何でも無い単なる強カード。
技術カード自体のスペックが低めなので1回しか回さなかったとしても2以上でもうお得感出るし、余ったエナジーでちまちま引き直せるし使いやすい。
【好きな印】
・眠れるハチ
受け身ではあるが被ダメ時にメリットが生じるので嬉しい
壁役に付けてリソース確保するのが好きな使い方
・骸喰い
狙った挙動ができないため意外と使いにくいが、重い奴に付けると楽しいし名前がカッコイイ
【好きなスクライブ】
・レシー
「自分のゲームを愛しているので、そのゲームをプレイするプレイヤーを最大限もてなす」姿勢により、プレイヤーの立場からいい人に見えてしまう。全力の演技、雰囲気重視で世界観を盛り上げる語り口、丁寧な説明の三拍子そろった理想的なGM。月に悪臭置かれた時の無茶苦茶な文句が好き。壊れバランス好きなところも好き。
「獣」が一番ヒトに親しいのもプレイヤーからの共感を得やすい要素で、動物好きとしてもレシーの思想は好み。弱肉強食の生死のサイクルとか、残酷な演出やテキストへのこだわりとか。配下が動物関係者なのもいい。探鉱者は?
「命がけのゲームこそ一番面白い」というローグライク思想もいい。一戦ごとにセーブのあるカードゲームRPGからこのシステムを作り出した拘りはすごい(P03がボットピアのセクションセーブを自画自賛していたことも好き)。
ペンチやナイフの使用には相応の痛みを伴うべき、という思想も好き。語りもいちいち血なまぐさく、一戦一戦が命がけのやり取りという緊張感がある。ハンマーも彼の主義に合わなかったんだろう(無益な殺しはNG)。
◆本当に遊戯王ライクか?
多くのレビューで触れられているが、Inscryptionは誰にとっても怪作だが、特にカードゲーマーにとっては印象深い作品だ。
カードゲーマーはまずレシーのことが好きになるし、一方でP03のカードバランスの思想に好感を覚えるだろう。4種のカードを混ぜてデッキを構築するのも、最高のクソカードを考える楽しみを最前列で味わえるのも、カードゲームを愛してきた者の特権だ。
で、あれこれ感想を読み漁って思ったのが、このゲームそんなに「ルールは遊戯王」か?ということ。
Inscryptionのルールにおいては召喚制限もないし、表示形式もないし、墓地もないし、魔法罠もない。召喚場所に依存する戦略や、カードの強化はDCGならではだ。リスとデッキで引分けができるのは遊びやすい。カードの数値(パワー/タフネス)や能力自体(飛行/到達/接死)はMtGの方が近い。
多くの日本人ゲーマーにとってのカードゲームが遊戯王なため比喩に用いられるだけで、ルール理解に遊戯王が与える影響は「生贄召喚」くらいではないか?
トーテムはフィールド魔法っぽさがある?モスマンはだいぶインセクター?
マグニフィカスはだいぶ遊戯王オタクだしペガサス・J・クロフォードだと思う。
↑こういう小ネタもある
◆読んでよかった記事
↑Inscryptionの考察一本でブログをやっている方、かなり読み応えがあった(レシーとグリモラの生死観の相違やマグニフィカスの野望等)
↑ゲーム外謎解き要素の日本語まとめでおそらく一番わかりやすいもの
↑1個人の偏見に基づくTierはいいものだと思う、読んでいて楽しかった
↑挿入されている画像がとてもわかりやすい
いろいろ読んでいて、逆に素直な感想記事は希少かもしれないと感じたのがこの記事の発端でもある。どのカードが好きとか。どの印が好きとか。
◆見てよかった動画
↑筆者が見ていたのは生放送のケイシーメインだが、知識量が多く、考えていることを全部喋りながらプレイされるので勉強になる(FTL中にこの動画を見ていたのが再プレイのきっかけだった)
↑カードゲーム畑の人間ではないのに超やりこんでいるので凄い。(ケイシー全盛りやってんの!!?)ACT2で全デッキを使おうと挑戦していたり、かなり丁寧にプレイをされており良い
↑カードゲーマーはどういうカードがクソか分かっているのでデッキメイクやカード作りに性悪さが出て面白い。サムネに使われているファンアートもめちゃくちゃ好き
あとラッキーカーダーの人の配信を見ていた
◆今日もやってくぞ
良いInscryptionライフを!