英雄エスカデから「人の話を聞かない」極意を学べ!
(聖剣伝説LoM エスカデ編感想)
やっていた時は全体的に意味が分からなかったが、あれこれ考えて咀嚼した味は結構好きかもしれない。
四者四葉の「こいつ人の話聞かねえ~」を味わい尽くせ!
ダナエ
かわいい。歩行モーションもダッシュモーションも可愛い。
ガイアの知恵を見た時に感じた「こいつ人の話聞かね~!!!」がまさか伏線だったとは。
エスカデ編の序盤はダナエからの伝聞により物語を把握していくのだが、当のダナエが全く信頼のおけない話し手であると終盤明らかになっていく流れが面白い。
普通のRPGであれば、ダナエとエスカデの対立であればダナエの主張が正しそうなところ、実態は大して…なところも面白い。「自分には無関係」の選択肢を選ぶと「ここまで首を突っ込んでおいて!?」とキレるのも面白い。お前が一度だって主人公を頼らなかったことがあったか???
表面上異種族の調和を掲げつつ、「悪魔」という言葉を罵倒句として用いる無神経さ、意図的に描いてるなら凄い。
ダナエは比較的無害なしょーもない女なのでまあ好き、マチルダの被害者という印象。
エスカデ
剣士の名家というよりはエアロビクスの伝道師といった格好をしていないか?
この編がエスカデ編と銘打たれているのが肝で、エスカデは到底主人公性から離れた人物で、クエスト進行上も何がエスカデ編なの?というくらい端に追いやられている、下手したら「エスカデとは何だったのか?」というルートを辿るプレイヤーもいるであろう中、本人が英雄という言葉に拘っている通り、俯瞰してこの事件を見ればシンプルな「エスカデ英雄譚」になる。
エスカデは、旧時代の考えに囚われた人物として配置されるらしいが、アーウィンがどう見ても旧時代の魔王なので、旧時代の勇者じゃないと抵抗できなくない?
人類滅亡を目的としている悪魔がいたら、人間の立場からしたら「ハイあなたの自由意志を尊重します」とはならんだろ。
あと友人から25歳と聞いていたのでふーんと眺めていたが、28歳らしい。マチルダとアーウィンが同級生の年下カップルなの、見方が変わるな~(エスカデに対して悪意ある設定だと思う)。
こいつの服装一生ネタとして擦っていけそう。
マチルダ
人の話を聞かない集団に放り込まれた「話をしない」という変化球。
ウフフ言動が不気味すぎるせいで、あれだけ描写されてなお「悪魔に洗脳されておかしくなった」ように見えてしまうのでやっぱり話はした方がいい。
特にダナエにはじっくりと、自分がいかにアーウィンを愛しているか、愛ゆえに自分の境遇に納得がいっているかを話してやってほしかった。(ダナエはマチルダに丁寧に説明されても聞かない?……(^〜^))
アーウィンへの愛ゆえに「己の死」や「老化」など全てを受け入れた、その超然とした態度を好意的に見てたので、ラストで平然と若い姿を選び、アーウィンの決断に泣き伏せる浅さを見て評価がひっくり返った。
外見は本質ではないみたいなこと言ってたのに「その姿だとアーウィンががっかりする(そうかな?)」と言われて「じゃあ若い姿に戻ろっと!」になる、……なるか?
「悪魔に魅了された司祭が人類を裏切って、全てを捧げて万物の敵になったが、普通に捨てられた悪女」みたいなストーリーラインは好きかもしれない。そんな話だったか?
どうでもいいけど奈落でやりたい放題やっている2人を見て「墓地効果が強いカードなのに、効果テキストを読んでないから全然手放さない決闘者ダナエ」みたいな幻覚が見えた。奈落が第二の手札すぎる…。
アーウィン
「こいつ何なの?」を「まあ悪魔だしな…」で無理やり成立させるとんでもない存在。まあ悪魔がどれだけ傍若無人に振舞っても何も言うことは無いかな…。
直前の雷連打してくるボスの方がキツいのにフリーズのせいで一敗した。
凡百なシナリオならこいつに善性を付与するので、こいつがブレずに「悪魔の血ゆえに破壊衝動が第一になっている(=一見フラットなダナエの主張が通る余地がない)」のは豪腕だと思った。悪魔と人間、分かり合えな過ぎる…。
その上でエスカデがその態度故にプレイヤーから嫌われているらしいのも面白い。
プレイヤーもみんな、醜い人間は滅ぶべきだと思っているのかもしれない。
ニキータ
草人への容赦ないヘイトスピーチの中の「この世界には無駄な生き物が多すぎる」「ネコとウサギだけの世界に生まれ変わりたい」あたりの話を聞いて、「人間は滅んだほうがいいと考えているニキータ」ミームを信仰していたため、アーウィンの言葉に呼応しててビックリした。
エスカデ編とは、ニキータ英雄譚だったのかもしれない。