もっと!Ghostwire: Tokyoの話
レビュー記事は既に書いた↑本記事はストーリーのネタバレを含む。
◆演出が本当に良かった
ジャンルとしてはホラーではなくオカルトらしい。基本的にじわじわ怖い雰囲気づくりが巧みな作品で、プレイヤーを追い詰めるような怖がらせ方はしないため、怖いのはあまり…という人でも楽しめると思うが、ホラー苦手ならやめたほうがいい。しっかりジャンプスケアもある。心霊写真の裏に目が書かれる演出と、ピアノのある家の演出はしっかりホラーの文脈の驚かせギミックだったので飛び上がった。
オカルト作品であることの何がいいか、霊障演出だ。精巧な風景の作りこみ×オカルト演出の取り合わせは他では味わえない魅力だった。
穢れによって構造の変わった特性ダンジョンの演出は、オカルトの枠に納まらない良さがある。
↑強個体特有のエンカウント演出が好き。ぜひゲームで味わってほしい。高架下を通ろうとしたとき裂紅鬼のせいで錆が広がる演出を見て感動した。
白無垢との初エンカウントがイベント戦闘だったので、路上歩いていたら雪が降りだして「あいつが来るのか…!?」と慌てたり。道路標示が脈打つ様子もいい。単純に雑魚エンカでも外灯の色が変わる。かっこいい。
プレイした者にしか通じないだろう、この演出はゲーム体験と合わさって最高だった。
小ネタ等で調べていても言及してる人がいなかったが、フォトモードで撮影した写真がランダムで心霊写真になるらしい。すごい小ネタ仕込むな!?という感動と、フォトモードという安全地帯にホラー演出を仕込むのはやりすぎじゃないか?という2つの意見がせめぎあったが、このゲームやるようなプレイヤーは多分喜ぶから大丈夫だろう。
初見はびっくりしたが
2回目はギャグみたいな発現して笑った
…あと撮影ボタン押してからスクショが生成されるまでにラグがあるため画面上は心霊写真になっているのにデータは無事な場合がままある
◆ボリュームとストーリーの話
ボリュームが少なく、ストーリーだけに集中してしまった場合呆気にとられるだろう。筆者は発生するサブクエをたぬき以外潰しながら進めていたが、中盤差し掛かったくらいか?と思った地点が終盤だった。
ストーリーに紆余曲折は必須ではないと思うが、「渋谷一帯24万人が消える」という怪異の規模から比較するとあっさりしすぎじゃないか?
サブクエや街中で拾えるメモもあっさりしているのはいいところでもあり悪いところでもある。移動の面倒さやおおつかい感を排したそれらは、オープンワールド特有の「ゲームを引き延ばすための無駄」が無くていいのだが、面倒を排しただけではないボリューム不足を感じる。
ゲーム自体は好印象なので長く遊ぶつもりだったが、これ以上遊ぼうとするとフォトモードで遊ぶしかない。分岐もないので2周目もな…。
ガッツリ遊んでもガッツリサブクエが残る龍が如くくらいボリュームが欲しかった。
ストーリーについて、起こっている事件の規模と比べて般若の目的が矮小だったため、その時点では超どうでもいい…と萎えたが、全体を見ると、両親が死に妹が危篤状態にある暁人、家族のために頑張っていたつもりがいつの間にか愛想をつかされていたKK、最愛の妻を喪い暴走する般若…と壊れた家庭を持つ3人の男を軸に、テーマはまとまっている。ある科学者=般若なのが分かってくると物語の深みが出る。
妹の死、KKとの離別があっさりしている後味がとても好みで、ここがクドい演出なく成立しているのは、妻の蘇生にこだわる般若が醜く描かれているが故だ。
登場人物の演技が過剰だと冷めてしまうタチなので、エンディングの薄味の進行をその時は好意的に受け止め、スタッフロールを見ながら反芻してじわじわと感動が湧いてきた。本当に好みだった。
暁人が妹に「次に会うときはオレが一生懸命生き切った後だ」と告げたこと、KKが暁人に「妻と息子にあきらめず生きたと伝えてくれ」と伝言を残したこと。どちらもグッと来た。
KKの「息子はもうスーパーカーを好きじゃなくなっていた」あたりの独白が好きだった。メインキャラの中では家族を喪ってはいないが、家族の機能は麻痺している。最後に目にする家族写真がこれまたいい。
すべて符合する美しいストーリーだけど、それでも般若の目的はしょーもないと思う。
◆無料アプデがすごすぎる
学校マップと追加のクエスト、追加要素がすごい。敵も増えている。チャージラッシュも心霊写真もカプセルトイも追加要素だった。神アプデ。
学校のクエストはかなりホラーゲーム文脈で恐怖演出苦手だと苦しい。ジンモーくんはマジで怖かったけど、花子さんはセーブ不可・進行&誘導&マップがよくわからない等ストレスの方が大きかった。
プレイ後に動画を見たが、怖くて駆け抜けたため見逃しているホラー演出が多い。保健室の影とか、トイレの張り紙の文字が…とか、音楽室は行って探索したはずなのにコーラス部を見てなかった。
↓そんな中、おそらく筆者が一番好みであろうこの演出を自力で見れたのが良かった。
ホラーゲームの鏡が怖いのは定番だが…急なメタフィクション!めっちゃ好き。
KKの後悔、暁人の逃げ…本編を補完するような要素があったのもより深みがあってよかった。KKが自身を絵がうまいと認識していたのが超面白い。
青い石エンドもよかった。最後の最後はしっかりオカルトで〆る。宇宙人目線だから分け隔てなくみんなヒューマンなのがバカでいい。
あと心霊写真探索中のドッキリ要素もいい。
総じて有料DLCと見まがうような凄いアプデ。むしろ実際のDLCが暁人のクソ衣装セットなのは何なんだ。
◆トロコンできなかった
幽霊100%が想定より楽だった※+幽霊100%でクリアした時の報酬である無尽珠でお札・弓も無限になったので、せっかくならトロコン狙うか?と思っていたプレイヤーの前に立ちふさがるのは2種の運ゲーだった。
既プレイ者は思うだろう、2種?おみくじ以外に何があるんだ…?と。確かにうち一つは悪名高きおみくじだ。実際この実績がトロコン最大の壁と呼ばれているほど確率が低い。大吉を3回引こうと大凶が引けず、あまりに面白味のない作業に断念した。
問題はもう一つ、おそらく多くの人が簡単に達成したであろう、全食べ物取得実績だ。屋台限定の食べ物が埋まってないのかと思いきや、どうも道端に落ちている「磯辺焼き」が拾えていないらしい。
貧乏性なので目に映る食べ物は拾ってきたつもりだったが、レアでも何でもないランダム出現の食べ物が入手できておらず、店売りされてないため、大凶以上に収集の宛てがない。
こうして筆者のトロコン道中は幕を閉じた。
◆蜘蛛の糸は楽しめる気がしない
※ライトとライクを区分してない
そしてアップデートで追加された蜘蛛の糸。ローグライクダンジョンだ!と勇んで乗り込んだが、ちゃんとシャッフルダンジョンしてて、ゲーム素材を活用して無料アプデでこれを追加したのはすごいと思う(巨大雨童とか突然のクイズタイムとか非常にユニークな発想でいい)が、個人的に全然好きじゃない。
筆者がローグライクで好きなところは、1ランの中でガンガン自機のレベルが上がっていき、ランダム要素によって「今回はこの先方が強い」と強化の方針を変えて毎回違った攻略法が軸になる…攻略の幅の広さ、ランダム報酬の嬉しさ、1ランごとのドラマなのだが、蜘蛛の糸はそれらの楽しみを与えてくれない。
せめてランダム入手の数珠が強ければ「今回はこの数珠拾ったから水のエーテルショットが強いぜ!」「弓でいくぜ!」「近接に賭けるぜ!」というバリエーションが生まれるのだが、永続所有の数珠を強化することが有用すぎるため存在感がない。
「ローグライク苦手だけど永続強化がだから粘り強く遊べばクリアできてありがたい!」「ローグライク好きならもっと楽しめるんだろうな…」というような感想を見た。実際オープンワールドアクションとローグライクはかなり別ジャンルだと思うが…。
ローグライク好きな人、楽しめているか?教えてほしい。シャッフルダンジョンが好きなら楽しいのか。筆者は好きじゃない。
◆オカルトと科学
オカルトの真逆にあるのが科学という信条(NITWのアンガスが好き)なので、般若マンが科学者であることに意義を感じない。
科学者がどう冥界や魂の解放に接続されるかを楽しみにしていた面もあったがストーリーでは特に触れられず。Fileの内容では合点がいかない。般若および愉快な仲間たちの面にも必然性がない。
最初は般若マンと愉快な仲間たちを期待していたが彼らには人格がなく…じゃああの能面のチョイスは?般若マンがオカルトオタクなだけだろ。
なんか妻の蘇生のために神学にたどり着いたとして、仕事と家族を愛していた一般的な科学者の趣向じゃないよねとか、ここいくらでも膨らませられたのにあっさりしてるのはなぜかとか。まあ多分無理に膨らませて般若マンに同情させるような作劇になってたら好みじゃないと思うが。
KKの仲間も科学者由来の人物がいて科学者の考えてることはわかんねえなあみたいな反応だったが…。エドは割と理屈付けようとしてるが…。確かにオカルト科学ジャンルはある、オーパーツに対して無理矢理科学考証しているような作品は大好きだが、このゲームで扱ってるオカルトは屁理屈こねてるタイプじゃなくてガチのオカルトだろ!
ところでエドのボイスレコーダーはともかく般若マンのボイスログがそこらで拾えるのはかまってちゃんの味がある。
◆その他
・かなり好きなゲームだったので、気になっていた同スタジオのハイファイラッシュもやるか!と思ったが現在PCとXbox版しかなかった
→PS版が来たらor気が狂ってXbox買ったらやるぜ
・アパートの一室に幽霊が300人くらい固まってるの何なんだ
・幽霊100%の報酬が弾数無限、今更何に使うんだ
→と思ってたけどお札や矢も無限になるためトロフィー取得にはかなり役立った
・「戦っててコイツ…となる敵は大体追加された敵」と言われてて、実際75%そうだったのですごかった。残り25%は照法師
・KKと暁人の会話はコミカルで好きだが、それはそうとキャラクターにまったく愛着がわかないので凄い。好きなキャラとかいない
・好きな猫又は根付コレクター。足で根付持ってて可愛い。くたびれた声といい、猫ランドセル・猫ルーズソックス・猫隈取・猫しっぽにツチノコ…猫又は本当に可愛かった。ヒントの出し方も可愛い
・かくれんぼ、グライダーの判定が厳しくて場所はわかっているのに高台にたどり着けず洋介に対して殺意を感じていたのだが調べると「泣いた」「感動した」みたいな反応が多く、「キレた」「ショット撃った」が無くて驚いた。下記と合わせて意外にもプレイヤーの治安がいい
・感想収集のためTwitterでサーチした結果カップリングの話ばかり出てきてビビった。普段はそういうツイートは読み流して感想を浚うが、ここまで割合高いのは普段筆者が好むゲームでは見ない現象なので驚いたというか、PS5メインで展開されているゲームでファン層がそうなることがあるのか…
◆いいスクショのコーナー
なんか他人のスクショ漁ってたら別の猫抱えてたんだけどランダム性があるのか!?黒白猫持ちたい
恐縮する暁人くん。
般若とKKをクソバカコンビみたいな扱いにした写真を撮りまくってたのでなんかストーリーの終盤変な気分になった
6月の最近に突如雨童衣装とケンケンパエモートが追加された、こうしてトンチキ衣装とトンチキエモートまみれになっていったんだな…と思った
屋内と猫の取り合わせはいい
龍穴めっちゃかっこよかった
巨猫vs東京タワー、どっちの写真がいいか
そんな感じ
楽しいゲームだった