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サイバーパンク2077 DLC 仮初の自由 感想
面白かった!
ドッグタウン自体は「広大なマップ追加!」というほどではないが、追加クエスト・要素の多さ※、濃厚なメインストーリー…ととにかく満足度は高かった。
※ ここら辺は2.0と混同している部分もあるかもしれない
◆メインストーリーの分岐
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大まかに リードとソミどちらの肩を持つかで分岐するが、この選択肢は「どちらも魅力的なので悩む」のではなく「どちらも信用できないから悩む」ことになった。
結果として秘密の場所に案内し、夢を語ってくれたソミの方が信頼できるか?と踏んだが…。
両者の立場や境遇に共感し、好感を抱きながら苦渋の選択をした者もいるだろうが、リード・ソミ・マイヤーズいずれにも共感できなかったプレイヤーも多いのではないか。
狙ってそういうキャラクター・構成になっているのだろうが、どうせならポジティブな方向で苦渋の選択をしたかった。
ぶっちゃけ「リードが嫌いだから」ソミルートに行った。そして友人も「ソミが嫌だから」でリードルートを選んでいて笑った。良くないと思う。
DLCとしてのエンディングはソミを月に打ち上げるエンディングを正規エンドとして描いていると感じた。
アレックスの生存条件であること、エッジランナーズファンの憧憬である月を目指すこと、公権力に中指を立てる選択であること、派手なバトルとリードとの対峙で〆られること、ミスターブルーアイズの影が見えること、「仮初の自由」というタイトルとの符合 など。
ソミの自由を説いているジョニーがいつ「仮初の、な…」と口走るかビクビクしていたがさすがにそんな露骨な演出はなかった。
リードにつくよりは助かる目があるという打算でソミについたが、まったく見る目がなく、最後の最後で裏切りを告げられ、別にソミのことを好きでもないが今更リードにつく気にもなれず…※。結局ボルテージの低いままなりゆきでソミを見守った。
※ リードとソミ両者に好感を抱いていればひと悩みできたはず
クリア直後は割と「一貫性を以て決断したはずなのに、信じる相手を間違え迷走していた」虚無感に襲われたが、収穫はある。
筆者は太陽エンドのVを「自暴自棄になってないか?」と心配していたが、このエンディングを踏まえると、太陽エンドの希望ポテンシャルが強化される。また、唐突だった「月に向かうV」にも一定の説得力が生まれる。
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個人的には太陽エンドが強化されたのが最大の恩恵だった。
あと冷静に考えると仮にソミが死ぬのだとしても、死体を宇宙空間に発射するエンディングは非常に好みかもな…と思った。
(リードルートについて)
対するリードルートは終盤で今までの経験がまったく活きないホラーステルスを強要される。このパートがストレスフルで面白くないことには反論の余地はないだろう。友人はこの展開を指して、「ハズレの選択肢を選んだことへの罰ゲーム」と称していた。
リードルートの特徴として、「手に入る報酬が豪華」というものがあるが、これは「DQ5でフローラと結婚した方が報酬がいい」に通じる厭らしさがあると感じた。
「愛で選ぶならビアンカ、打算で選ぶならフローラだよね~」と言われているような気分だ。
真の男ならデボラの犬になる道を選べ。
◆「その他大勢の世界へようこそ」
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そしてまさかの本編追加エンドである「塔」が非常に良かった。塔のおかげでこの記事が出来た。
新合衆国の協力によりRelicの分離に成功、死の恐怖から逃れた代わりにVはインプラントを導入できる身体を喪う。
また麻酔を受け、治療が完了に際して目覚めた時には2年が経過しており…という内容。
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インプラント抜きでナイトシティで傭兵をやるのは不可能であり、生き延びることにしがみついた結果、Vらしく生きることができなくなるエンディングだ。
「どう生きるかではなくどう死ぬかだ」「平穏な生涯か栄誉の死か」など、本作のテーマとも非常に絡み合っている。
Vが生き延びることを望むプレイヤーは多いが、力や栄誉、居場所、多くの友人を失ってまで延命を望んでいたプレイヤーは少数派なのではないだろうか?
このエンディングの魅力はテーマに対する強度だけではない。
メタフィクション的な演出がこれでもかと用いられている。現実の厳しさに打ちのめされるVは「他の選択肢があったと思うか?」「選択肢を間違えたと思うか?」とリードとヴィクにそれぞれ問う。
同じような問いを2度投げかけるのは、「選択肢を選ぶことでいずれかのエンディングにたどり着く」ゲーム構造とプレイヤーを意識してのことだろう。
Vが抱く疑問としては妙ではないが、それでもこの質問はサイバーパンクの世界から浮いて、プレイヤーに「ゲーム」を意識させる。
2年ですっかり変わってしまったナイトシティに居心地の悪さを感じ、ヴィクの診察で改めて現実を突きつけられたVはミスティに会う。
路上のチンピラにすら一方的に殴られる、どうやってナイトシティで生きていけばいいか悩むVに対して、ミスティは「路地裏を避け、銃声を聞いたら逃げる」と教えてくれる。私たちのような普通のNPCはそうやって生きてきた、と。
(そして、そういう風に生きているNPCをプレイヤーはよく知っているはずだ。)
最後にミスティが言い放つ一言が「その他大勢の世界へようこそ」だ。そこでカメラは一人称視点を離れ、あれほど際立った存在だったVは雑踏の中にまぎれ、消えてゆく。
Vは、主人公性を失いNPCに還る。
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追加エンド、待望の生存エンドでこんなものを出してくるのはすごい。こんな苦しいエンディングを望んていた者はいなかっただろう。
平穏な生涯を望む人間は、サイバーパンクの主人公になりえない。ミスティのセリフも、Vの問いも、まるでゲームの登場人物が話す規定のセリフであるかのように、物語から浮いてプレイヤーに訴えかけてくる。
圧巻のゲーム体験だった。
◆キャラ雑感
・アレックス
かなりお気に入りのキャラ。バーでもしもの未来を語り合ってへたくそな踊りを披露する展開が好き。ソミのルートを選ぶことの懸念点は彼女の無事だったが、リードを殺害しても恨まれないどころか、リードにつくと死亡してしまうので結果的によかったのかもしれない。ハッキリとした気持ちのいい人物。
・ソミ
Vの恐怖を真に理解できる唯一の存在だったとは思う。そしてブラックウォールと接触するのはVにも理解できない恐怖だろう。ここまで自分勝手だと逆に感心するというか…。
・リード
強烈に嫌いだったが、何がそんなに気にくわないのか忘れた。何がしたいか始終わからないところかな…。
・マイヤーズ
最初は好感を持てたが…冷徹で豪傑な政治家という印象。殺害できるルートが無いのが良くない。ハンセンともども排除してこの世界を混乱に陥れたかった。
・ハンセン
いまいち存在感がなく、絶対排除しなくては!という盛り上がりにも欠ける、中ボスとして見ると物足りない相手。
・ハンズ
ケモナーおぢちゃん。見た目も物言いもかなり好き。児童書読んでる!と思ったが実在するSF小説だった。
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・双子
兄は声が、妹は容姿が色っぽく、二人とも性格が悪くてカワイイ最高の双子。あっけなく射殺されたのがショックで、リード・アレックスへの不信に繋がった(作劇の意図通りだと思うのだが悲しい)。
兄の鼻につく声と喋り方が好きで吹替声優について調べた結果、LiSのジェファソン先生であることが判明した。たしかに…。
・ドジャー
バカ警官どものバカ行為を受け入れてくれる…意外にも懐が広い大物だったので、不殺バージョンの分岐も見たかった。後日談でビルがホットドッグ屋開いてるの好き。
◆その他
・ジョニーの精神性
ジョニーはファックザコーポすぎてかなり偏った判断を下している…というのを周回を経て今更実感している。
DLCの範囲だとミルコのクエストでネットウォッチはちんけな依頼人なんて構いやしねえ!と主張するが、反してネットウォッチは依頼人を保護し、悪の根源に対処し、追加の謝礼もくれるなど。
ロッカーボーイの言うことなんて聞くもんじゃない。
・ジョニーの記憶
オルトも言及している、「ジョニーの記憶はジョニーにより歪められている」について、ネット上では原作(2020)との矛盾点を中心に考察が行われている。これはジョニーに問題があるということではなく、そもそも人の主観の記憶とはそういうもの、という側面もある。
それはそうと、作中の描写でも①ローグがヘリでジョニーを救出し損ねるシーン ②ジョニーに突き放されたオルトが縋り付くシーン などは前後の描写と整合性が取れておらず、ジョニーの妄想の影響が強いのでは?と感じた。
・エッジランナーズ
ディビットの墓が追加されていたことは知っていたのに、実際に目にしたら割と涙腺に来た。また、ディビット・母親・レベッカの墓があるのは聞いていたが他の仲間に対してのコメントもあるのは知らなかったので良かった。
キーウィの墓がちょっと離れたところにあるのが良い。
・信仰
初回プレイ時、運転があまりに下手すぎて一瞬で終わったクエスト「罪人」を進行させたが、とんでもないクエストだった。
ヨシュアが何をしたいのか?目的が見えてこないままあれよあれよで決断を迫られる。主観視点でヨシュアの身体に杭を打ちつけるシーンは臨場感があり、このクエストに懸ける制作陣の意欲を感じた。杭を打つたびに自分の意志でボタンを押さねばならず、プレイヤーを引き込んでいくのがすごい。
快楽殺人鬼の改心の問題があり、彼の真意が崇高だろうと、その前には「頭のおかしい自殺志願者」という最高の商機を手に入れたメディアの俗欲があり…。
とにかく「とんでもないものを見てしまった」感がすごい。
・車両運搬
これのせいでエル・キャピタンが悪口言われてて笑った
とりあえずそんな感じ。
いつかスクショだけの記事が上がります。
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