Ghostwire: Tokyoで夏色の夢を見た
Ghostwire: Tokyo……RiJで目にした際、事あるごとに印を結んでいるのを見て「何だこのゲーム…」となっていた現代和風ホラーオープンワールドFPS、最近の大型アップデートでの盛り上がりを見てやりたいと思っていた。
バイク事故で半死半生となったことをきっかけに退魔の力を手に入れた主人公:暁人が、攫われた妹を取り戻すため 怨霊跋扈する東京を浄化する。
和製ホラーのじめっとした雰囲気と、リアルな東京の街並みにサイバーパンクな演出が融和した作品だ。
(15時間遊んだプレイ中レビュー)
◆何だこのゲーム!?
(おそらく)アップデートのせいでトンチキ度が上がっており、とりあえずで起動したフォトモードの様子がおかしい。初期からあるポーズに汎用性がまるでなく、いつ使えばいいのかわからないラインナップが並ぶ。
エモート選んでたら知らんおじさん※が出てくるフォトモードは初めて見た。
※のちにこれが主人公に憑依したKKというキャラクターの姿だと知る。
ベセスダ製であることに驚き、外国製のトンチキニッポンゲームを期待していたが、意外にも風景はリアルで空気感も日本っぽくてまた驚く。
冒頭の交通事故シーンでは「通りゃんせ」が流れ、TIPSではおにぎりの具ごとの解説を読むことができる。何かがおかしい。
…このゲームは発売元こそベセスダだが、開発のTango Gameworksはバリバリ日本のスタジオだった。つまりこのゲームは、海外の日本文化ファンがオー!ハンニャ!トリイ!クール!というノリで作ったのではなく、日本人が「般若…印結び…カッケェ……」と言いながら作ったゲームなのだ。それはそれで変だろ。
というわけで日本文化を熟知したスタッフが贈るゴーストワイヤーの東京の街並みは、とにかく解像度が高い。渋谷スクランブル交差点周りは現実の写真で見たまんまの見栄えであり、東京になじみのある人ならなお楽しめるだろう。
またジャパニーズホラーとしての演出も重厚。廃墟の汚れた畳やふすま、銭湯の錆びついた戸、ゴミ屋敷と化した一軒家の中にある仏壇、学校、病院…古来より慣れ親しんだ土着ホラーの味わいがそこにはある。
要するに雰囲気が超いい。
龍が如くくらい街歩きが魅力的だと感じた。
ちなみにホラーが苦手な人向けにホラー演出のオンオフ設定もあるが効果のほどは定かではない。
(個人的にはFPSゲームであることを活かした珠玉のホラー演出なのでぜひ体感してほしいと思う)
◆戦闘は難しいかもしれない
近接はお茶を濁す程度の性能しかなく、もっぱら右手から発されるショットを使って戦闘を行う。普通に敵のHPを削り切ってもいいが、ある程度ダメージを与えると露出するコアを引き抜くことでも倒せる。
遠隔のコア引き抜きは糸を手繰り寄せるようなモーションで、この演出こそがゴーストワイヤーなのだろう。
ねっとりと描かれる手のモーションはめっちゃカッコイイ。ショットのチャージ時には主人公が印を結ぶがこちらもめちゃめちゃカッコイイ。
敵の動きが素早い一方で、オートエイムがうまく機能しておらずクセがある(動いてない敵にすら照準を定めてくれない)。
ショットの残弾は敵を倒したり、オブジェクトを破壊することで回復するが、集団戦や連戦で敵をうまく処理できないとリソース不足に陥る。
つまり、FPSが苦手な人はかなり苦しむことになる。
遠隔コア引き抜き時やショットのチャージ時にしっかりダメージを食らい、行動がキャンセルされるのも厳しいところで、集団戦では相手を削り切れずもどかしい思いをする場面が訪れる。
ねっとりとしたモーションが魅力だが、勝つためには引き抜きやチャージを短縮するスキルを習得する必要が出てくる。
ショットがR2、ガードがL1、引き抜きがL2、近接がR3(!??)とボタン配置も悪く、ガードと近接がとっさに出せない※。緊急回避もL3で使い勝手が悪い。ゲームが下手だと避けるのにも苦労する。
場面場面で退魔の能力を失うが、索敵すらままならないまま所持上限の少ない弓矢と札で戦うことになる。生身の人間が霊相手に無力である描写はかなり正しいのだが、戦闘面は苦しい。戦闘中に引きはがされることもある。つらい。
ただし戦闘がつまらないということはなく、うまいことチャージ・ジャスガ・近接コア引き抜き・ステルスキルを決めればスタイリッシュに切り抜けることができる。敵を華麗に捌いた時の快感は確かなものだ。
FPSが下手だと苦しむことになる、救済措置もない、ちょっと難易度高いかもしれない、ただ戦闘自体はかなり楽しい、そんな感じだ。
◆Openworld:TOKYO
本作はオープンフィールドではあるが、神社を浄化していくことで探索可能エリアが広がっていく方式であるため、真に無制限に広大なエリアを探索したい人には向いてない。
ただ多様な収集要素、作りこまれた東京の街並み、縦方向への移動制度などの強度は確かなものだ。
特に収集要素は、高額で売れるお宝(接近すると猫の鳴き声がするので見つけやすい)・能力強化をしてくれる地蔵(散策ではまず見つからない、犬やお賽銭によって発見できる)・化け狸(尻尾が出ているオブジェクトを目視で見つけるのが楽しい)・フォトモードのスタンプが増えるグラフィティ(マジで見つからない)などその仕様やメリットも様々で、探索と発見の楽しみが大きい。
ふとした場所に落ちているログ等も世界観の構築に一役買っている。好奇心に誘われて移動すれば大概幽霊がいたりアイテムがあるので探索し甲斐がある。高所へは飛んでいる天狗に対してグラップル移動で簡単に上ることができ、落下ダメージもない。
マップやマーカーの見やすさ、マップに表示される情報の取捨選択、FTの配置などは便利すぎず不便ではなくちょうどいい。エリアごとに各収集率の確認ができ、上述の天狗の位置がマップに記されるのも丁寧だ。
雰囲気さえ気に入れば、広大な東京を十分に楽しむことができる。
◆トンチキフォトモードを乗りこなせ
前述のとおり、このゲームはフォトモードのエモートがおかしい。それ以外にも狂った要素が用意されており、ロケーションもいい。つまり何が言いたいかというと、フォトモードがかなりいい。フォトモードがいいゲームは神ゲー。
イベント中や戦闘中に無理矢理フォトモードに入ることもでき、ボスとのツーショットというトンチキフォトも撮影できるらしい。筆者はゴミ屋敷のノイズテレビとの記念撮影をし逃したことを後悔している。後続プレイヤーはぜひ撮影チャンスを逃さないでほしい。
スタンプのトンチキ具合はサイパンに、フレームの種類ではfalloutに軍配が上がるが、バカデカいロゴには可能性を感じる。
微妙に変な要素としてフォトモード中の主人公に妙な物理演算が働いており、これが遊びの幅を広げ、プレイヤーを大いに湧かせてくれる。
一番の特徴はフィギュアを置くことができること。これはガチャガチャマシンで入手でき、4体まで自由に配置することができる。ガチャは被りなしの超優良仕様だ。
通常主人公と既存オブジェクトは衝突判定があり、なかなか思うような写真が撮れないのだが、フィギュアにはなぜか衝突判定がなく、自由度の高い配置ができる。そしてフィギュアの中には動物もいる。
つまりどういうことか?動物を悪用した写真を撮ることができ、かつて夏色★ハイスクル青春白書で隆盛し規制され衰退していったズーフィリアフォトシミュレーターの強度があるということだ。
動物愛好家は今すぐ買おう!!!
ズー・マスト・バイ!
…それは冗談として、アイディア次第でこのフォトモードはかなり楽しむことができる。
◆その他スクショ集
地味に着せ替えも種類が豊富でいいんだけどvaultスーツがあったのでそればかり着てしまう
ホテルの受付デスクに無理やり座らせたかったやつ。無理やりの歪みが隣のおじさんに出ている。
ホラー演出中に無理やり撮影するのが楽しい
このゲーセンの描写もすごく良かったが静止画で上手く捉えられなかった
◆おわりに
というわけで楽しそう…と思い購入したゴーストワイヤーをかなり楽しんでいる。未プレイの人にもぜひ遊んでほしく、この記事を書いた。
今後はこの先撮ったスクリーンショットを上げる記事ができるかもしれないしできないかもしれない。
TIPSも読み応えがある。戦闘も楽しい。当初ダサいな…と思っていた過剰演出の数々にだんだんとハマってくる。
脳内に自分を乗っ取ろうとする別人格が住むサイパンシチュだが、ロックンローラー兼テロリストのキアヌ・リーヴスが出てくるサイパンと比較すると、冴えない元警官のおじさんが登場してくるのがなんか異様で面白かった。キアヌは偉大だ。
さあ、みんなもGhostwire: Tokyoで、至高のフォトモードを味わおう!十字キー右で即フォトモード起動できるぞ。