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綺譚 森への訪問者
木の精霊たちとしては、今回はまたとないチャンスだった。
どうやら、精霊たちのことが認識できるらしい人間を見つけたのだ。
年齢は10代後半とおぼしき娘である。
森の精霊たちの本拠であるこの森に、たびたび花を摘みにやってくる。
空には機械仕掛けの鳥が飛び、人間は薄くて小さな板を後生大事に持ち歩く時代である。
精霊たちの姿を認識し、言葉を正しく受け取れる力を持った人間は、かつてないほどに減っている。
そんな折に、期待の人材が現れたのだ。
■
精霊は、彼女に見えるように姿を現した。
彼らなりに精一杯、白くてほぼ透明な肉体(どうやら人間たちにはその程度にしか見えないらしい)を懸命に動かし、彼女に存在を示したのだ。
娘ははっと気がつき、精霊のほうを見た。そして微笑んだ。
かつて人間たちは、何度も高度な技術文明を作りだした。
だがその技術文明が極まる頃に、人間同士で大規模な戦争を起こしている。
その結果、文明そのものが毎回、ほぼまっさらな状態に戻っているのだ。
そのたびに人間はほぼ全員死に絶える。
そして、残されたごく少数の人間でやり直す。
精霊たちからすれば、飽きもせず人間は同じことを繰り返している。
娘は、確実に我々を認識している。
そしていわば、この娘は、何度も何度もしぶとく復活してきた人間たちの末裔である。
森の精霊たちは、この娘の瞳の奥に、遠い過去にも見てきた人間たちの姿を幻視した。
森の精霊たちは思った。
せめて、この娘の命が続いている間は、この技術文明の終焉は来てほしくないと――。
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昔、あるシャーマンの女性から「奇麗な花が平和に咲いている野原で、静かに耳を澄ませていると、精霊たちの歌声が聞こえてくる」と打ち明けられたことがありました。私にはそのような能力はありませんが、少なくとも自然に敬意を示す心は持っているつもりです。