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綺譚 雷がもたらすものと、雷の不満
この国で、最も有名な西の古都。
古都の西に位置する、小高い山。
この山に古くから住まう雷の神(かみなりのかみ)。
彼(もしくは彼女)は、このところ不満であった。
人間が、自分に敬意を示してくれていないというのだ。
神も不満感を持つのだと驚くが、感情の在り方は人間のそれとは違うため、なんとも表現しづらいものがある。
少なくとも、会社の上司が部下に向ける種類の感情ではない。
せっせと貢いだ対象の女が、つれない態度を取ったその時に発する男の感情とも違う。
おそらく、親が子に対して抱くものに近い。
雷の神は、物理的に現出させる雷の電撃を通じて、あらゆる生命に霊感(インスピレーション)を与える。
せっかく人間たちにたくさんの霊感を与えてきたというのに、人間は自分の存在とその価値に気づいてくれない――。
雷の神はこうぼやく。
さかのぼると、豊富な有機物が充満した海に対して、生命のきっかけとなる光を振り下ろしたのは、雷の神の大先祖であった。
雷の神の大先祖は、当時はまだ生まれて間もなかった母なる地球に請われるほどの、偉大なる存在だったという。
生命たちが生きる場を、この身体に宿したい。
そう願った母なる地球が、父なる大空を司る存在に願った。
その願いを叶えたくて、父なる大空を司る存在が、わざわざ雷の神のところにまで協力を求めにやってきたのは、地球の時間で言えば35億年ほど前のことだった。
そんな具合に、過去から今に至るまで、様々な役割を果たしてきた雷の神の一族。
この古都の山に住まう雷の神は、その一族の末裔である。
もちろん、存在価値や存在意義を証明する必要もないし、承認欲求もないくらいに偉大なる存在である。
だが、それでも、さみしいとか、物足りないとか、いろいろと感じるところはあるらしい。
敬意を示してくれれば、もっと人間にいろいろなことを与えられるのだが。
超越的な存在であるといえども、この宇宙に充満している永遠なる法則――与えられた分に対して返すことができる――に従うしかない立場。
雷の神は歯がゆい思いを抱きながら、夕闇が迫る中、少しだけ雷を落としてみた。
幸いにして、人間たちには「雷は神の声」といういわれだけは、堅く伝承されているらしい。
雷の神は、人間の子どもたちが、「雷だ」とおっかなびっくり、面白がりながらきゃあきゃあ騒いでいる姿を見た。
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夕焼けの相模湾。本当は雷の映像がほしかったところですが。