天河大辨財天社(天河神社)【日本弁天巡礼】
日本で愛されている神仏の代表格、弁財天(べんざいてん)。この記事シリーズ「日本弁天巡礼」では、古来、日本の貴族から庶民に至るまで幅広い層に支持されてきた弁財天を祀る場を、筆者の独断で紹介している。
今回は、天河大辨財天社(天河神社)を紹介する。天河神社は日本三大弁財天、あるいは五大弁財天のひとつと言われている。天河神社の公式ホームページには、「修験の著名な文献「日本正法伝」天河祭祀のくだりに日本辨財天勧請の創めとして掲載されています。」とある※。これに従えば、この天河神社が日本の弁財天信仰の起源だとも考えられる。
※ 「天河大辨財天社 ご由緒」より。https://www.tenkawa-jinja.or.jp/about
天河神社は、奈良県の中央部やや南寄り、吉野郡天川村にある。創立は飛鳥時代の7世紀(西暦600年代)とされる。紀伊山地の吉野大峯(よしのおおみね)を修験道の本拠として開山するべくやってきた役行者(えんのぎょうじゃ)が、目の前に現れた天女を辨財天と感得し、この地の最高峰である弥山(みせん)の鎮守として祀ったことが始まりだという。また、弘法大師が高野山を開山する前に、この天河神社に参籠したとも伝えられている。かように、ここは日本の様々な精神的・文化的伝統と強く結びついていることがわかる。
弥山の山頂には、天河大辨財天社の奥宮が祭祀されているという。こちらを訪問するには本格的な登山装備が必要だ。記事執筆時点で50歳代を迎えた私としては、年齢的にまだ体力があるうちにトライしたいところである。
あらためて、天河神社の主祭神の一柱は、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)こと辨財天。インドで信仰される女神サラスヴァティとも同一視されている、水の神あるいは川の神である。水および川のせせらぎの音から弁舌や音楽の神ともされ、転じて財宝の神として信仰されるようにもなった。
先に触れたように、天河神社は奈良県中央部やや南寄りの天川村にあるが、公共交通機関でのアクセスはやや難儀する。大阪や京都中心部からだと特急(近鉄特急)を使っても合計3時間ほどは必要だ。
特に、最寄り駅から天川村へのアクセスがやや難しい。近鉄吉野線・下市口駅から、奈良交通バスで1時間程度。このバスの本数が、かなり限られている。頑張れば日帰りも可能ではあるが、できれば天川村内の宿泊施設を確保して、一泊はしたいところだ。
しかし、それだけの労力をかけてでも参拝したいと思わせる神聖な雰囲気で満たされている。それがこの天河神社である。
「神聖な雰囲気で満たされている」と述べたが、他者に対してこれをどのような言葉で表現すればいいのか、正直よくわからない。とにかく、日常生活では体験できない凜とした空気感が、この天河神社とその周辺の土地に充満しているのだ。神聖といっても決して緊張感が高いわけではなく、リラックスした空気も同居している。これを言葉にしようとすると、どうしても何かが足りなくなる。
つまり、こればかりは体験していただくしかない。私としては、日本人であれば一度はこの天河神社を訪問してほしいと強くお勧めする。
神仏に対しての姿勢は人それぞれで、単に歴史的施設として文化を学ぶつもりで訪問するもよし、個人の世俗的な願いをたくさんかけるもよし、であろう。だが、私としては天河神社に来ると、「自己より大きく偉大なる何か」への感謝への気持ちが湧いてくる。そして私としてはそれが、この世界において日本を日本たらしめている「何か」なのであろうと思う。
なお、私は以前、30代前半に一度ここを訪問している。この度(2024年秋)は御礼参りという位置づけで十数年ぶりに再訪した。写真はその二度目の訪問時に撮影したものである。鳥居外側からの写真にとどまるのをご了承いただきたい。天河神社側では、神社境内における写真撮影およびSNSなどネットへの公開は禁じている。
神社近辺の集落の散策もなかなか素敵だが、神社本殿に加えて特に参拝をお勧めしたいのが「禊殿」だ。こちらも素晴らしく神聖な雰囲気に満たされている。主に神職向けの拝殿とのことだが、感謝をもって参拝するぶんには問題ないだろう。本殿から徒歩5~6分程度である。道の途中、エメラルドグリーンの色味がかかった透明な天ノ川を脇目に見ながら、天川村の素朴で清々しい空気を存分に楽しめる。
今回、私は天河神社のごく近くにある「素泊まり専門の宿 Well(ウェル)」に宿泊した。天河神社への参拝を中心に据えた旅をしたいのであれば、ここWellに宿泊し、オーナーのお話を是非とも聞いていただきたいと思う。天河神社がいかに特別な場であるのかをあらためて認識することになるだろう。なお、WellのWebサイトは下記である。
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