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暗殺依頼者

拝啓、暗殺者様
こんにちは。暗殺者様。実は依頼があって手紙を書かせてもらいました。
僕を殺してほしいのです。
どうして?と思われるかもしれませんがもう辛いのです。
ママが毎晩布団に入ってきます。かわいいねえと言いながら僕を触ってきます。ママは好きです。優しいです。だから僕が悪いのです。だから僕を殺してください。
お金はあまり持ってないです。ごめんなさい。だけど机の上の貯金箱に幾らかのお金が入ってます。もしそれでもよかったら殺してください。お願いします。

僕へ
残念ながらその依頼は受けられない。なぜなら君は私と同じだからだ。きっと私と同じものだ。だから私が君を殺すことは私を殺すことに等しい。だからできない。自殺はしない主義なんだ。代わりと言ってはなんだが君の心を殺すことはできる。20歳になったときに自動的に心が開くようにしよう。それならどうだい?
暗殺者より

暗殺者様
返信ありがとうございます。
僕の心を殺さなくていいです。僕が心を殺したら僕はたぶんママと同じものになります。だからいいです。

僕へ
そうか。そう感じているんだね。そしたら僕には君の幸運を願うことしかできない。君はそれを選ぶのかい?
暗殺者

暗殺者様
僕は死にたいです。

僕へ
私は君を殺すことはできない
暗殺者

〇〇年後

暗殺者様
まだ生きてらっしゃいますか?
暗殺者様がいらっしゃるのは危険な業界なことと思います。どうかご無事を願っております。最後にひとつだけ伝えたくて手紙を書いています。


あの時僕を殺さないでくれてありがとうございました。

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