国際結婚数の推移 〜2006年前後の変動の要因を追う〜
最近公共のオープンデータを可視化することがマイブームとなっています。今回は「結婚」、中でも「国際結婚」について深堀りしたのでご紹介します!
国際結婚する友人も周囲にいるので肌感覚的には増加傾向にあるという予想だったのですが実際のところはどうなのか?政府の統計調査から可視化した結果、2006年前後に気になる変化があったためその要因を深堀りしてみました。
概要
今回は2017年の「人口動態調査」のうち「夫妻の国籍別にみた年次別婚姻件数」の統計を対象としています。
このデータは、日本人が外国人と結婚し、日本の役所に書類を提出するケースを分析しています。外国人の方と結婚した日本人が外国籍になる場合を含まない点にご注意ください。
過去約30年の国際結婚の動向
1992年以降の国際結婚の推移を見ていきます。「夫婦どちらかが外国籍の組数」、「国際結婚比率(全婚姻数に占める夫婦どちらかが外国籍の婚姻数の比率」ともに2006年を境に上昇傾向から下降傾向に転じていることがわかります。
なぜ2006年を境に大きくトレンドが変わったのか?
明らかに2006年を境に国際結婚をとりまく環境が変わったと考えられます。それはなぜか。さらにデータを深掘りしていくことで追っていきます。
一口に国際結婚といっても夫が外国人、妻が外国人のパターンもありますし、国籍も様々です。どのようなパターンの国際結婚の数が減少したのか分解していきます。
まずは「夫日本人-妻外国人」と「夫外国人-妻日本人」のどちらのパターンが減少しているのかを見ていきます。
グラフを見ると「日本人夫と外国人妻」の組み合わせでより組数の変動が大きいことがわかります。
国籍別に見ると?
さらに「夫日本人-妻外国人」の組み合わせの中でどの国籍の婚姻数が減ったのか見ていきます。「夫日本人-妻外国人」に絞った上で婚姻数が多い上位4か国を可視化しました。
「夫日本人-妻外国人」の組み合わせでの婚姻数が多い国は「中国」・「韓国・朝鮮」・「フィリピン」・「タイ」(国名は元データのものを使用)であることがわかります。特に2006年前後に注目すると「フィリピン」で変動が顕著であることがわかります。
2006年を境にした変化は特にフィリピン人について顕著だということがわかる。
なぜフィリピン人妻は減少したのか?
フィリピン人妻が減少した要因について調べたところ、2005年の入国管理法改正の影響があることがわかりました。
この改正は「興行」目的で入国する外国人に対する要件の厳格化です。これにより日本人男性とフィリピン人女性の出会いの場であった「フィリピンパブ」で働く女性たちの入国が厳しくなったことが大きいようです。
改正内容に興味のある方は「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」をご参照ください。
おわりに
結論としては自身の予想とは異なり2006年をピークに国際結婚の数は減少していて直近では約30年前を下回る水準になっているようでした。
謎解きのようにデータを要素分解しながら知りたいポイントを深掘りしていくプロセスも合わせて伝わったら良かったなと思います!
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