【Vol.23】エクソソームとは? エクソソームの中身は一体どんなもの?

*幹細胞培養上清液・エクソソームは医薬品ではありません。
本記事は、幹細胞培養上清液やエクソソーム・サイトカイン・成長因子のことを正しくご理解いただくために記載しています。

エクソソームの中身に関して質問がありましたので、記載します。

エクソソームに関しては、以下の記事でも記載しています。
【Vol.6】幹細胞培養上清液の主要成分:エクソソームの驚くべき力
【Vol.7】幹細胞培養上清液の主要成分ーエクソソームとは!? -2-

エクソソームの生成プロセス

エクソソームは、細胞内の「多胞体」と呼ばれる構造内で形成されます。この多胞体は、細胞質内にある特定のタンパク質やリボ核酸(RNA)、脂質を取り込んでエクソソームを作り出します。
エクソソームが形成されると、多胞体は細胞膜と融合し、その後、エクソソームが細胞外に分泌されます。
このプロセスは、細胞の状態や環境の変化に応じて調節され、特定のシグナルやストレスに反応してエクソソームの分泌量が増加することがあります。

エクソソームの役割

エクソソームの最も重要な機能の1つは、細胞間コミュニケーションです。エクソソームは、送り手の細胞から受け手の細胞に特定のメッセージを運ぶことができます。
このメッセージには、タンパク質・脂質・核酸(特にmRNAやmiRNA)が含まれており、受け取った細胞に対して遺伝子発現や機能を調節する指示を与えます。
このようにして、エクソソームは組織や臓器の恒常性を維持したり、病気の進行や回復に影響を与えたりします。

また、エクソソームは炎症応答や免疫調節にも関与しており、感染症やがんの進行、さらには神経変性疾患の発症にも重要な役割を果たしているとされています。
近年、エクソソームは再生医療や治療のターゲットとしても注目されており、エクソソームの研究は急速に進展しています。

エクソソームの中身は一体どんなもの?

エクソソームの中には、細胞からの「メッセージ」を運ぶためのさまざまな分子が含まれています。
エクソソームの内容物は、その生成元の細胞の種類や状態によって異なりますが、主に次の3つの成分で構成されています。

1. タンパク質

エクソソームには、さまざまな種類のタンパク質が含まれています。これらのタンパク質には、膜タンパク質・細胞骨格関連タンパク質・細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質などが含まれ、エクソソームの構造や機能に寄与します。
具体的な例を挙げると、以下のようなタンパク質が含まれることが知られています。

■膜タンパク質(CD9・CD63・CD81)
これらのタンパク質は、エクソソームの表面に存在し、他の細胞との結合や相互作用に重要な役割を果たします。
また、これらのタンパク質は、エクソソームを識別するための「マーカー」としても利用され、研究や診断においてエクソソームを特定するのに役立ちます。

■ヒートショックプロテイン(HSP70・HSP90)
ヒートショックプロテインは、細胞がストレスを受けたときに発現し、タンパク質の折り畳みや安定化をサポートします。
エクソソーム内にもこれらのプロテインが含まれており、細胞外でのストレス応答やシグナル伝達に関与している可能性があります。

細胞骨格タンパク質(アクチン・タリン・フィラミン)
細胞骨格に関連するこれらのタンパク質は、エクソソームの構造的な安定性を保つだけでなく、エクソソームが他の細胞と相互作用する際に重要な役割を果たします。

2. 核酸(RNA)

エクソソームには、mRNA(メッセンジャーRNA)やmiRNA(マイクロRNA)などの核酸が豊富に含まれています。
これらのRNAは、細胞間の情報伝達を担い、受け取った細胞の遺伝子発現を調節します。

■mRNA
エクソソームに含まれるmRNAは、送り手の細胞から受け手の細胞に送られ、そこで翻訳されて新しいタンパク質を作り出すことができます。
これにより、送り手の細胞の遺伝情報を受け手の細胞に伝えることができ、細胞の機能を調節する役割を果たします。

■miRNA
miRNAは、遺伝子発現を制御する短いRNA分子です。
エクソソームに含まれるmiRNAは、受け手の細胞に到達すると、特定のmRNAの分解や翻訳を抑制し、細胞内のシグナル伝達を調整します。
これにより、がんの進行や炎症反応、免疫応答の調節に関与することが報告されています。

3. 脂質

エクソソームの膜は、リン脂質やコレステロール、スフィンゴリピッドなどの脂質から構成されています。
これらの脂質は、エクソソームの構造を維持し、細胞膜との融合やエクソソームの安定性に寄与します。
また、エクソソームに含まれる特定の脂質は、細胞内のシグナル伝達経路にも関与していることが示唆されています。

例えば、スフィンゴリピッドは、細胞内外のシグナル伝達に関与し、アポトーシス(プログラムされた細胞死)や増殖、分化などの重要な生理プロセスに影響を与えます。
さらに、エクソソームの脂質膜は、受け取った細胞との融合を容易にし、エクソソーム内の成分が効率よく受け渡されることを可能にします。

次の記事では、「エクソソームの機能と応用」について記載します。

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