【邪念走】第22回 完全に息を吹き返す。
ランニングが習慣になってくると、周囲から度々「マラソン大会には出ないんですか?」なんて言われるのだが、これまで私はただ気持ちいいから、ストレスが発散されるから走っていただけであって、いわば自分のため、自己の快楽のみを目的に走っていた。そしてこれからも独りでひっそりと走り続けようと思っている。なぜなら仕事では人の顔色ばかり窺って過ごしているので、自分の趣味くらいは自分のペースで楽しみたいと思っているのだが、ここまで考えて不意に妻の顔が脳裏に浮かんできた。
そうだ、マラソン大会