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#010 ソットボッセはカレー味

先日、あまりすることのないDJをする機会があり、そこで僕は「Sotto Bosseカバーイントロドン!」というクイズ企画を行いました。

これはSotte Bosseのカバー曲のイントロだけを流して、なにをカバーしているのかをお客さんに当ててもらうクイズ企画で、みなさん真剣に考えてもらったり、絶妙に回答を外してくださったり、わりと盛り上がったんじゃないかなと思っております。ご来場の皆さま、誠にありがとうございました。

で、なんでこの企画をやろうかと思ったのかというと、Sotte Bosseのカバー曲、というかオリジナル曲も含めていいかと思いますが、マジで全曲テイストが一緒なんです。これはディスとか悪意とかそういうことではなく、本当に全曲一緒に思えるので、どれがどのカバーかなんて出題者の僕ですらよくわかってません。なにをどのようにカバーしたって、すべてSotte Bosseになってしまう。

この感覚、なにかに似てるなって思いました。カレーです。どのお惣菜にしたって、どのお菓子にしたって、「カレー味」って鉄板ですよね。「カレー味」って言われただけで脳内に想像できる「カレー味」ってあるじゃないですか。で、食べてみたら寸分たがわないあの「カレー味」が口いっぱいに広がる。これは「Sotte Bosseのカバー曲」と言われただけで脳内で想像できる「Sotte Bosseのカバー曲」が、聴いてみたらその想像と寸分たがわない「Sotte Bosseのカバー曲」が流れてくるのと一緒です。

「あ~、今日はカレーが食べたいな」と思った瞬間にもうカレー以外食べることが許されないのも一緒。ちょっと油断して「Sotte Bosseが聴きたいな~」と思った瞬間、Sotte Bosse以外の音楽を聴きたくない現象ってあると思います。そのときには脳内で、ブラインドから朝の光が差し込み、無印良品のパジャマに身を包んだ僕は、そのまま朝食の準備のためキッチンに向かい、コーヒーを淹れて、オーブンでパンを焼き、目玉焼きとサラダをテーブルに出し、そこでのBGMはSotte Bosseの「接吻」になるんです。こうなったらカバー元のアーティストを聴くことも許されない。田島貴男の「接吻」なんて聴きたくないんです。なんか、男臭いから。

Sotte Bosseがちょっとたちが悪いのは、「Sotte Bosseはカレー味」という仮説を立てるには、あまりにSotte Bosseがシュッとしている点ですね。「ロックアレンジはカレー味」ってなんとなく分かる気がするんです。味の強さ、想像と現物の違いの無さ、一発ガツンと来るあの感じ、良い意味で雑でも大丈夫など。なんか親和性高い感じがしますよね。

それに対してSotte Bosseって一見、パンチの強さとか、雑ではないとか、カレーとはちょっと距離が遠そうな存在ですよね。でも先ほど言ったSotte Bosseの中毒性。だってSotte Bosse以外、あのテイストのものって聴けないんですよ。正直、小野リサとかでもダメです。小野リサは軽薄さが足りない。Sotte Bosseはカバーの選曲が軽薄で、良い意味で雑なんです。だから、「どの曲も同じように聴こえる」という境地に達することができるのです。「こういうテイストで、こういうJ-POPをカバーする」ことさえ決まれば、あとは本人たちが脳内無意識インプットされた作り方で製造していく。これがSotte BosseのJ-POPカバーです。僕はあの工場生産感がたまらなく好きなんです。で、そのときはいつも100円のレトルトカレーが食べたくなるんですよね。

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