渟熨斗姫命の謎②(金神社)
渟熨斗姫命の謎①では、神社の伝承や記紀からの
記述から、以下の事が推察できました。
・渟熨斗姫命は政略結婚で五十瓊敷入彦命に嫁いだ。
・夫である五十瓊敷入彦命が殺された後、美濃国で過ごした。
・その際自分の財産は八坂入彦命に搾取され、町の発展に使われた。
・美濃国で亡くなってから後、「金大神」として金神社に祀られた。
・祀ったのは物部臣賀夫良命(もののべのおみかぶらのみこと)。
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五十瓊敷入彦命は伊奈波神社に
渟熨斗姫命は金神社に
息子の市隼雄命は橿森神社に
主祭神として祀られました。
しかし、腑に落ちないことがあります。
金神社の本殿の屋根ですが、
![](https://assets.st-note.com/img/1693364895035-aR0fP9mpdN.jpg?width=1200)
「男千木」で「鰹木が5本」です。
千木が男千木ということは、祀られている主祭神は男性です。
しかも鰹木が奇数の場合、これも男性神を祀る形態です。
明らかに違っています。
しかし、神社が「主祭神は渟熨斗姫命である」と明言
していますが、間違いなのでしょうか?
考察ポイントは2つ!
①金石を奥州から持ってきた、金神社で渟熨斗姫命と一緒に祀られている
「五十瓊敷入彦命」を金大神とした。
②祀ったのは物部臣賀夫良命であることから、物部神社として
物部氏の祖である「宇麻志麻遅命」を金大神とした。
![](https://assets.st-note.com/img/1693366474826-k1TY88HtPP.jpg?width=1200)
私は①が正解に近いのでは、と思っています。
渟熨斗姫命の謎①でも触れましたが、祀られたのは
後のことだと伝承されています。
文章をそのまま読めば、こう解釈できます。
金石を大量に奥州から運んできて殺された五十瓊敷入彦命は
伊奈波神社に祀られていますが、金大神と呼ばれていた。
朝廷から派遣された物部臣賀夫良命(かぶらのみこと)は
この地に金神社を建てた。
金大神として五十瓊敷入彦命と渟熨斗姫命比売を
(ひょっとして息子の市隼雄命も)金神社に祀った。
伊奈波神社があることや、地域のために財産を搾取された
渟熨斗姫命を憐れんだ地域住民が主祭神として考えるように
なった。
と考えます。
そうすれば、もともと金大神として五十瓊敷入彦命を祀っていたことも
あることから、男千木となったんだと思います。
最後に、
金神社は多くの方が参拝に訪れますが、
神社の裏手にはほどんど足を踏み入れません。
金神社の後ろにはいくつもの摂社・末社があります。
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まず、手前には物部臣賀夫良命(かぶらのみこと)が祀られています。
![](https://assets.st-note.com/img/1693367389914-fF5A7imJgP.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693367430956-COK4u1pntn.jpg?width=1200)
その中でも金神社本殿のちょうど真裏にあるのが、「物部神社」でした。
関係はないでしょうけど、考察②で宇麻志麻遅命が主祭神と考えた理由が
これでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1693367867381-41Gvaw7fJ7.jpg?width=1200)
「金」=「鉄」
伊奈波神社も金神社も橿森神社も物部氏が関わっている神社です。
ついでに美濃国一之宮の「南宮大社」も鉄が関わっていますが、
あそこも物部系ですね。