三番目の台詞と完璧な“返し”
その日を境に森山からのLINEと電話の数が約3倍になる。
おはようのLINE、昼休憩のLINE、仕事終わりのLINE、帰宅の途で電話、寝る前に電話、おやすみのLINE。
「この人お付き合いするとこうなるんだ。ほほうほう。なるへそなるへそ」
とニマニマしていたわたしに、ふと、ある疑問が浮かぶ。
あれ?そういえば我々付き合ってるの?
わたし、大好きとは何度も言われたしわたしからも好きとは伝えたけど、“付き合って”みたいな、今後についての具体的な言葉はもらっていないし、渡してもいない。
その疑問が解けないまま一週間ほど経過した。
ところでわたしは、人生で一度は言ってみたい台詞が3つある。
一つは、幹線道路でタクシーを停め乱暴に乗り込み
「前の車を追ってくれ」
もう一つは、人で溢れかえるスクランブル交差点で「伏せろーーー!!!!!」
最後の一つが
「うちらって付き合ってんの?」
もしかして、
この三番目を言うタイミングが来たのではないか。
わたしは森山に電話。他愛のない話をしながら確信に迫ってみた。三番目を早く言いたい。
「ねぇねぇ、あのさぁ」
「んー?」
「あのー、あのさ」
「え、な、なんでしょう」
今だ!今こそあの、憧れの例の台詞を投げるとき!
「あのさ。うちらって付き合ってんの?」
一瞬シーンとなる。
シーンとなって、森山が言った。
「…付き合ってんじゃないの?」
!!!
おい待て、おま、返し、完璧かよ!!!w
ラブコメの波動はこんなところにまで!
てか知らなかったー!
やったー!わーい!!
知らんうちに彼氏できてたわ!!
そのあと「えーうそでしょ?!付き合ってると思ってたのおれだけ?へこむわーw」と嘆きのオマケつきだったけど、我々付き合ってたそうだ(←他人事
ただ、どこが記念日?なのかはいまだ不明。
でも記念日とか正直めんどくせw
3ヶ月くらい経ったら「3ヶ月くらい経ちましたね」ぐらいでもういいと思う。
もうね、人生にバツも2つとかついてくると、
セフレに2年近く振り回されたりすると、
こう、だんだんと、記念日がどうとかなくなってくるのかも知れないなぁ、人それぞれだとは思うけど、少なくともわたしは今はそうらしい。
っていう、約半年前のお話。
半年経ちましたがすこぶる仲良く、
ラブコメの波動に満ちたお付き合いしてます。
“持って”るんですよ、森山が。何故か無自覚に。
彼はきっと、そういうスタンド使い。