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#58 雨が止まずともF××k I'm pretty

 雨が嫌いだ。空気だけでなく気分もジメジメしてしまうし、傘を差しながら歩いても結局靴とズボンの裾は濡れてしまうし、何より洗濯物が乾かない。オシャレに疎く、持っている服の数が少ない私にとっては、まさに由々しき事態だ。

 関東は、まだ梅雨入りこそしていないものの、連日の雨模様となっており、ただでさえ緊急事態宣言の発令によって窮屈な生活を送らざるをえない状況だと言うに、外出が更に億劫になってしまっている。

 ヒキコモリストの私と言えど、常にどこにも行けない状況というのは、流石に堪えてしまう。見たい映画や、行きたい美術館の展示などは積もる一方で、ひたすらにワンルームに閉じ籠もっていると、ふいに、自分の声ってどんな感じだったっけと思って「アーー」とか「イエーイ!めっちゃホーリデー」とか言ってみるほどにおかしくなってしまう。

 雨に限らず、私は定期的に気分が落ち込んでしまう。特にきっかけがある訳でもなく、突然現れては数日居座って、長い時は一週間以上になる。こんな時、どんな顔をすれば良いのかわからない私は、めちゃくちゃテンションの上がるお気に入りの音楽をガンガンにかけるという、超古典的な治療法を編み出した。つまり、雨で滅入ってしまう近頃、私の家は毎日のようにクラブ化しているということだ。

 私に元気を吹き込むベリーグッドな曲。その二大巨頭は、CHiCO with HoneyWorksの「私、アイドル宣言」とNENE feat.NIPPSの「地獄絵図」となっている。

 全くの対極に位置するこの二曲が、私の精神バランスを非常に支えてくれている。
 「私、アイドル宣言」は、カワイイの濃度が素晴らしい。アイドルとして頑張りながら、人気モデルの姉と自分をついつい比較してしまい、悩みと葛藤を抱きながらも頑張って、誰よりも輝いてやるという強い意志を感じる歌詞に心打たれる。

 「地獄絵図」は、ラジカセ宅録のような音質でNENEがゴリゴリにかましていて、初めて聴いた時から大好きな曲だ。
 現在放送中のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の第3話エンディングに起用されたこともあり、着々と名前を広げているラッパーの一人で、これまで可愛らしかったり、妖艶な雰囲気を漂わす曲の多かったNENEが、Dirtyなトラックに縦ノリしたくなるような乗せ方をしているのが新鮮で、中毒性が異様に高い。

 ボロアパートの一室で響く対極的なこの二曲が、雨雲を弾け飛ばしてくれることを信じて今日も寝ます。

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