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#17 エヴァの傑作二次創作

 アニメや漫画など、その作品が人気になるにつれ増えていくものが二次創作といわれるものです。二次創作とは、原作に出てくるキャラクターや設定を利用し、二次的に創作された独自の作品で、代表的なものにはSS(ショートストーリー)や同人誌などがあります。

 そして、カルト的人気を誇る「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズにおいても、その活動は目立つものがあります。90年代後半からその隆盛を極め、今なお新作が発表され続けているエヴァ関連の二次創作は、ネットの海の中に数え切れないほど存在しています。
 今回は、エヴァの二次創作で人気のある作品、傑作と名高い作品を紹介していきます。

※二次創作は法律上は基本的に合法ではありませんが、先に挙げたコミケなどの存在からわかる通り、ファン活動の一環として黙認されている節があります。多くの作品に二次創作が存在しますが、快く思われていない原作者さんもおりますので、創作、閲覧の際は原作を尊重し、配慮を忘れないようにしましょう。

・レイ「絶対に笑ってはいけないNERV」

 人気バラエティ番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」が毎年大晦日に放送する「絶対に笑ってはいけない○○」シリーズのエヴァ版SSです。
 シンジ、レイ、アスカ、マリ、カヲルの5人のチルドレンが、NERVで様々な仕掛けにあいながら見学をするという設定です。エヴァを見たことある方ならば普通に笑ってしまうような仕掛けが満載になっています。個人的には、ゲンドウが風呂に入ってくるシーンと、アスカのドイツ語教室で腹ちぎれるくらい笑いました。グーテンモーゲン!

・青き空に雲は流れ・・・

 90年代後半に発表されたSSです。TV版、旧劇場版の結末がアレだっただけに、当時、ハッピーエンド好きなエヴァヲタたちから賞賛されまくった作品です。LRS派もLAS派も読めるものだと思いますので参考までに。少し長いと思うので、時間がある時にでも是非。

・シンジ「強くてニューゲーム」

 逆行SSの名作です。逆行とは、登場人物が記憶や能力を引き継いだまま過去に戻り、ストーリーをやり直すというものです。ちなみに強くてニューゲームとは、逆行と同じ意味で、初出は「クロノトリガー」(つよくてニューゲーム)になっています。この分野自体はそれより前からありますが。
 補完後、シンジ君が初めてエヴァに乗った日からやり直すのですが、裏死海文書に記載されているシナリオをすでに知っているシンジ君は、”ある目的”のために使徒との戦いに臨みます。設定も違和感がなく進められ、ラストは本当にこんな世界線があったんじゃね?と思える程のクオリティーです。ヒロインは、やっぱりカヲル君です。

・シンジ「こうなったら、開き直ってやる・・・w」

 こちらも逆行SSです。上のSSとは違い、シリアス感が無いのでリラックスして読めます。
 5度目のループに入ったシンジ君が、開き直って好きなように振る舞うという内容で、使徒戦も終始サクサク進められ、レイ、マヤ、サクラが次々と陥落されていきます。
 また、シンジ君やアスカによる様々なアニメ作品のオマージュ演出があるので、それらを知っているとより楽しめます。ゲンドウとゼーレの面々に施される仕打ちも痛快です。

・のび太の人類補完計画

 エヴァとドラえもんのクロス作品です。
 「もしもぼくがエヴァンゲリオンのパイロットだったら・・・」もしもボックスでそんな世界に改変したのび太でしたが、当然のように上手くは行かず。使徒と戦いながら、元の世界に戻るための手がかりを探していきます。
 ドラえもんタッチでエヴァの世界が描かれ、シリアスとポップが丁度良いバランスになっています。碇ユイがまじで美しいです。ドラえもんの大長編を見ているような感覚になります。

・マツコ「私がエヴァに乗るの!?」夏目「はい」

 テレビ朝日系列で放送されていた「マツコ&有吉の怒り新党」とエヴァのクロス作品SSです。もしもマツコさんがエヴァのパイロットになったらという設定で、搭乗して最初の使徒サキエルとの戦いに臨みます。
 ごねるマツコさん他人事の有吉さん淡々と進行する夏目さんの掛け合いがまさに怒り新党そのもので、脳内再生余裕です。リアルタイムで見ていた方々にとっては、懐かしく感じると思います。

・RE-TAKE

 LASの同人誌です。これこそまさに傑作と呼ぶべきものでしょう。
 赤い海のほとりにアスカと二人取り残されたシンジ君。しかし次の瞬間、第12使徒レリエルの内部に広がるディラックの海から生還した後の病室にて目覚めました。
 人類補完計画の発動されたあの世界は夢だったのだと気づいたシンジ君は、夢に見た最悪の事態を防ぐため、そしてアスカを守るために戦い続けます。最強の使徒ゼルエルを破った後、彼は想いを告げ、見事アスカと結ばれます。
 しかしその直後、夢で見た重傷姿のあのアスカが目の前に現れます。少しずつ狂っていく運命の歯車、徐々に明かされる真実。幾重にも重なる世界の中で、シンジ君が自ら選んだ命の在処は…。
 数あるエヴァ同人誌の中でも、その重厚なストーリーから高い評価を獲得しているこの作品は、LAS派から「これを本編にしてくれ!」という声も上がるほどの完成度です。
 性的描写も含まれていますし、入手方法も難しいですが、是非一度読んでほしい作品となっています。
最期は、一緒に死んでちょうだい」LAS派にはたまらないです。

番外編

 二次創作とは違いますが、エヴァに影響されて作られた作品には曲なんかもあります。以下は、エヴァの二大ヒロインである惣流・アスカ・ラングレー綾波レイが題材となった曲です。気になる方は聴いてみてください。

・speena「ジレンマ」

 アスカについて書かれた歌詞構成で、LAS派にとっての聖歌となっています。詳しくは、以前に書いた記事を参考にしてみてください。

・BUMP OF CHICKEN「アルエ」

 綾波にガチ恋したボーカルの藤原基央さんが、綾波を想って作詞作曲した作品で、タイトルの「アルエ」は綾波のイニシャルR・Aからとっています。以下一部歌詞を抜粋します。

「白いブラウス似合う女の子 なぜいつも哀しそうなの? 青いスカート似合う女の子 自分の場所を知らないの」

「君は人より少しだけ 不器用なだけの女の子 ウレシイトキ ドンナフウニワラエバイイカワカンナイ・・・」

「ハートに巻いた包帯を 僕がゆっくりほどくから」

 綾波が着ている第壱中学校の制服や、ラミエル戦後の名シーンなど、随所に綾波への強い想いが見てとれます。レイ好きの方にとっての聖歌です。才能があるヲタってのはここまで違うものなのですね。

 エヴァの二次創作は、ひたすらネタに走っているもの、ガチでいいストーリーのもの、勢いだけで中身がないものなど、無数に存在します。未だに新作が出続けている所を見ると、それだけ凄まじい人気を誇る作品なのだと改めて実感させられます。
 上記のもの以外にも面白いものはありますし、もちろんエヴァ自体が面白い作品なので、これまでしてこなかった楽しみ方を試してみることも良いかもしれませんね。

 兎にも角にもシン・エヴァの公開が待たれます。

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